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「森のアイスクリーム」アテモヤの栽培方法を農家が解説。失敗しない「人工授粉」と「剪定」のベストタイミングは

「森のアイスクリーム」アテモヤの栽培方法を農家が解説。失敗しない「人工授粉」と「剪定」のベストタイミングは

アテモヤは「森のアイスクリーム」と呼ばれるほど濃厚な甘みとなめらかな食感を持つ熱帯果樹である。完熟した果実は香りがよく、果肉はクリーミーで、一度食べると忘れられない魅力がある。そんなアテモヤは比較的育てるのも簡単であるが、栽培する上で特に重要になるのが、温度管理、剪定、そして人工授粉である。木そのものは丈夫で育てやすい面もあるが、高品質な果実を安定して実らせるには、人の手を入れるべきタイミングを理解しておく必要がある。本記事では、沖縄で熱帯果樹を栽培する農家の視点から、アテモヤの基本的な育て方やおすすめ品種、最難関とされる人工授粉のコツや剪定の方法まで解説する。

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アテモヤの基本情報と特徴

アテモヤの基本的情報

アテモヤの果実

アテモヤの果実

アテモヤ(Annona × Atemoya)はバンレイシ科バンレイシ属の熱帯果樹である。樹勢が強くヨーグルトのような風味のチェリモヤ(A. cherimola)と実なりが良く甘味が強いバンレイシ(A. squamosa)を交配して生まれた果樹で、両方のよい特徴をあわせ持つハイブリッドフルーツである。果実は丸形からハート形に近い形をしており、表面には独特の凹凸がある。

完熟すると果肉は白く、なめらかで、濃厚な甘みと香りを持つ。その食味から「森のアイスクリーム」と呼ばれている。日本では、沖縄県や鹿児島県の奄美地域、小笠原諸島など、冬の寒さに比較的弱い地域で栽培されている。高品質な果実を安定して収穫するには、温度管理、剪定、人工授粉などの作業が重要になる。特に人工授粉は、アテモヤ栽培の成否を左右する大切な管理である。

世界一甘いとも言われる「アテモヤ」の魅力

台湾で見つけた巨大なアテモヤと筆者

台湾で見つけた巨大なアテモヤと筆者

アテモヤの最大の魅力は、なんといってもその強い甘みである。完熟した果実は、スプーンですくえるほど果肉がやわらかくなり、口に入れるとカスタードクリームのような濃厚な甘みが広がる。平均的な糖度は20°前後であるが、個体によってはまれに30°程度のアテモヤもある。酸味は控えめで、バナナや洋梨、パイナップル、バニラを思わせるような香りも感じられる。

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アテモヤの栽培カレンダー

アテモヤ栽培暦

アテモヤの栽培暦

アテモヤの栽培管理は地域や栽培環境によって変わるが、ここでは沖縄県での栽培を基準にした、おおまかな作業の流れを紹介する。本州で鉢植え栽培する場合は、冬越しの管理をする必要がある。

時期 主な作業 冬の収穫モデル
3~4月 春剪定、植え付け、植え替え 樹形を整える強い剪定を行い、新梢の発生を促す。植え付けや植え替えなどもここで行う。
7~9月 夏剪定 果実をつけるための切り返し剪定を行う
8~11月 人工授粉、摘果 切り返し剪定後に出てきた新梢に花が来るので人工授粉をする。肥大が悪い果実の摘果もする
12~2月 冬果実収穫 人工授粉を行った順番ごとに収穫をしていく。

 

アテモヤは、春から秋にかけて枝を伸ばし、その新しい枝に花を付ける。そのため、剪定のタイミングによって新梢を発生させる時期をコントロールして、夏や秋ではなく、果実が少ない冬に収穫をする方がよい。

アテモヤは剪定すると新梢が伸び花がさく

アテモヤは剪定すると新梢が伸び花がさく

果実の品質を高めるには、開花期から果実肥大期にかけての水分管理も大切である。乾燥しすぎると果実が大きくなりにくく、逆に水はけの悪い場所では根傷みの原因になる。暖かく、日当たりが良く、水はけのよい環境で育てることが基本である。

初心者が知っておくべき「アテモヤ栽培」の難易度

アテモヤは比較的丈夫な樹種

アテモヤは比較的丈夫な樹種

木を育てるだけであれば、アテモヤはかなり丈夫な果樹である。暖かい環境を好み、日当たりと水はけのよい場所で管理すれば、枝葉は比較的よく伸びる。カイガラムシなどの病害虫は果実には発生するが、樹自体に大きな悪さをする病害虫はほぼいない。風通しのよい状態を保てば、かなり楽に育てられる。

一方で、果実を安定して収穫するには少し難易度が上がる。その理由は、アテモヤが自然任せでは結実しにくい性質を持つためである。花はよく咲くが、そのまま放置していると実が付かなかったり、付いても形の悪い果実になったりすることがある。したがって、高品質な果実を作るためには、人工授粉の作業が重要になる。

また、寒さにも注意が必要である。沖縄県などの暖地では露地栽培が十分に可能だが、冬に霜が降りる地域では地植え栽培は難しい。本州で育てる場合は、鉢植えにして冬は室内や温室へ取り込む方法が現実的である。

初心者におすすめな品種はどれ?

アテモヤの果実「ジェフナー種」

アテモヤの果実「ジェフナー種」

アテモヤには、ジェフナー、アフリカンプライド、ピンクスマンモスなど、いくつかの品種がある。品種によって果実の大きさ、甘み、香り、結実のしやすさ、樹の性質が異なるため、最初にどの品種を選ぶかは意外と重要である。

ジェフナー

ジェフナーは着果が良い

ジェフナーは着果が良い

初心者がアテモヤを育てる場合、まずおすすめしたいのは「ジェフナー」である。 果実は中玉からやや大玉になり、果肉は白く、なめらかで甘みが強い。ジェフナーは、アテモヤの中でも比較的育てやすく、結実性がよい品種である。人工授粉は行う必要があるが、かなり実つきがよい方だ。ジェフナーであれば、苗木が手に入りやすい点もおすすめである。栽培に慣れてきたら、アフリカンプライドやピンクスマンモスなど、他の品種と育て比べてみるのも面白い。

アテモヤの果実「アフリンカンプライド種」

アテモヤの果実「アフリンカンプライド種」

アテモヤの育て方

糸満フルーツ園けんちゃんのアテモヤ圃場

糸満フルーツ園けんちゃんのアテモヤ圃場

アテモヤ栽培で最初に意識したいのは、環境づくりである。アテモヤは、木そのものは比較的丈夫な面もあるが、寒さ、強風、水はけの悪さには弱い。 暖かい環境で、日当たりが良く、風が強すぎず、水はけのよい場所を選ぶことが重要だ。

温度管理が最優先!適温と耐寒性の限界を知る

アテモヤは、熱帯から亜熱帯の環境を好む果樹である。生育が活発になるのは、気温が十分に上がる春から秋にかけてである。暖かい時期には枝葉をよく伸ばし、新梢に花を付ける。そのため、春以降にしっかり成長させることが、その後の開花や結実にもつながる。

一方で、アテモヤ栽培で最も注意したいのが冬の寒さである。アテモヤはバンレイシよりは低温に耐えるとされるが、霜に強い果樹ではない。特に幼木は寒さの影響を受けやすく、強い冷え込みに当たると枝葉が傷んだり、場合によっては枯れ込んだりする。

沖縄県や奄美、小笠原諸島などの暖地では露地栽培も十分可能だが、それでも6~7℃程度まで冷えるような瞬間的な寒波が来ると、木が傷んで落葉が進んでしまうため、冷たい北風が直接当たるような場所は避けよう。
本州で育てる場合は、少し大きめの鉢に植えて栽培をするとよい。春から秋は屋外の日当たりのよい場所で育て、冬は室内や温室、簡易ハウスなどに取り込んで寒さを避けるとよい。

日当たりと風通し。アテモヤが好む理想的な環境条件

2024年秋に定植し、1年半経過した取り木苗

2024年秋に定植し、1年半経過した取り木苗

アテモヤは、日当たりのよい場所を好む。日照が不足すると、枝が間延びしやすく、花付きや果実の品質にも影響しやすい。特に果実をならせたい場合は、できるだけ一日を通してよく日が当たる場所で育てるのが理想である。

鉢植えで育てる場合も、春から秋は南向きの庭先やベランダなど、明るい場所に置くとよい。
ただし、アテモヤは、強すぎる風を嫌うため、防風対策はしっかりと行う必要がある。
果実が大きくなってから強風を受けると、枝折れや落果の原因になることもある。
しっかりと、主幹を支柱で支えて、防風設備を用意する。

鉢植えから地植えまで。栽培スタイルに合わせた土壌選びと水はけ

鉢植えでも十分育てられる

鉢植えでも十分育てられる

アテモヤは、水はけのよい土壌を好む。根が常に湿った状態になると、根傷みを起こしやすく、生育が悪くなる。特に粘土質で水がたまりやすい場所や、大雨の後に長く水が残る場所は避けた方がよい。バンレイシに接ぎ木をしているアテモヤであれば、地植え後、排水不良だとすぐに枯れることがあるので、鉢植えで管理することが必須だ。アテモヤかチェリモヤの台木であれば、ある程度は耐えられる。

鉢植えで育てる場合は、赤玉土、鹿沼土などをメインに組み合わせ、排水性と保水性のバランスがよい用土を使うとよい。市販の果樹用培養土を使う場合でも、水はけが悪いと感じたら、追加で鹿沼土を足して使用してもよい。加えてアテモヤは水切れが早いので、春~秋にかけては、毎日しっかりとかん水を行う必要がある。

【時期別】アテモヤの作業カレンダー

アテモヤは、剪定のタイミングで、果実の収穫時期をコントロールできる果樹である。そのため、時期別の作業がとても大切になってくる。収穫時期としては、市場に果実がない1~3月あたりの端境期に果実が出せると、単価を上げやすいため、冬に収穫をすることを考える。冬に収穫ができれば、台風の心配もなく、さらに夏と違って収穫作業が暑くなく割と快適にできるためおすすめだ。施肥は、果実が収穫できるサイズの木であれば、年間を通して、10アールあたり、チッソ、リン酸、カリを20kg程度、春、夏、秋に入れて様子をみよう。

春:植え付けや強剪定

春になると新芽が出てくる

春になると新芽が出てくる

春は、アテモヤ栽培のスタートとなる大切な時期である。気温が上がり始めると、休眠していた樹が動き出し、新芽が伸び始める。植え付けや植え替えを行うなら、寒さがやわらぎ、樹が生育を始める春が適している。地植えにする場合は、霜の心配がなくなってから行う。

鉢植えの場合も、寒い時期に無理に植え替えるのではなく、暖かくなってから作業するとよい。
春は、剪定にも適した時期である。この時期の剪定は果実を作る枝というよりは、前年に成長した枝を整理する目的で、強い剪定を行う。混み合った枝や内向きに伸びる枝、上に伸びた強すぎる枝、弱った枝などを整理し、樹全体に光と風が入るように整える。

若木も大きく切り返そう

若木も大きく切り返そう

アテモヤは、新梢に花を付ける果樹であるため、春剪定以降伸びた枝から開花が始まるが、ここでは人工授粉はせずに無視する。ここで人工授粉をすると、夏~秋に収穫が始まるためだ。そのため、7月にもう一度新梢を出す目的で切り返し剪定をして、ここに伸びた枝についた花に着果させる。

夏:成長を加速させる水分管理、剪定

2~3日に一回はかん水をする

2~3日に一回はかん水をする

夏はアテモヤが最もよく成長する時期である。気温が十分に上がると、枝葉が旺盛に伸び、花も咲きやすくなる。この時期の管理が、果実の数や大きさ、樹勢に大きく関わる。

夏に重要なのは、水切れを防ぐことである。アテモヤは過湿を嫌う一方で、果実肥大期に乾燥しすぎると、果実が大きくなりにくい。特に鉢植えでは、真夏に土が乾きやすいため、土の表面だけでなく、鉢の中まで乾き具合を確認しながら水を与える。地植えの場合も、雨が少ない時期には乾燥に注意する。葉がしおれたり、新梢の伸びが止まったりする場合は、水分不足の可能性がある。

7月あたりには、冬の果実を収穫するための夏剪定も行う。枝を30cm程度残して切り返し剪定を行う。上から葉を2枚落としておくとよい。摘葉した数日後には、新しい新梢が発生し、花が咲いてくる。この花に人工授粉をするが、果実収穫期が重ならないように、複数の木があれば、切り返し剪定を1週間ずつずらして行うなどの工夫をする。

剪定前

剪定前

剪定後

剪定後

秋~冬:収穫と、耐寒対策と休眠に向けた準備

秋~冬になると、人工授粉に成功した果実が徐々に肥大してくる。果実が十分に大きくなり、表皮の色がやや淡くなってきたら、収穫をする。

パンパンになったものを収穫する

パンパンになったものを収穫する

アテモヤは収穫してすぐに食べる果物ではない。収穫後に常温で追熟させ、果実がやわらかくなってから食べる。完熟すると果肉はなめらかになり、アテモヤらしい濃厚な甘みと香りが楽しめる。

一方で、秋から冬にかけては、気温の低下に注意が必要である。アテモヤは寒さに弱い果樹であり、霜や冷たい風に当たると枝葉が傷むことがある。特に幼木や鉢植えの株は低温の影響を受けやすい。鉢植えで育てている場合は、冬の寒さが本格化する前に、室内や温室、簡易ハウスなどへ移動する。屋外で管理する場合でも、寒風が直接当たらない場所に置き、不織布や防寒資材で保護するとよい。

アテモヤ栽培の最大の難所「人工授粉」を完全攻略

アテモヤの人工授粉と結実の様子

アテモヤの人工授粉と結実の様子

アテモヤ栽培で最も重要な作業の一つが人工授粉である。アテモヤは花が咲いても、自然任せでは安定して実が付かないことが多い。木は元気に育っているのに、なぜか果実がならない。そのような場合、原因の多くは受粉不良である。

人工授粉を行うことで結実率が上がるだけでなく、果実の形も整いやすくなる。
アテモヤは受粉が不十分だと果実の一部だけが肥大し、いびつな形になることがある。
きれいな形で、大きく、食味のよい果実を作るためにも、開花期の人工授粉はとても大切な作業である。

なぜアテモヤは自然受粉しにくいのか?

アテモヤの花は、「雌雄異熟」という性質を持っており、雌しべが受粉できるタイミングと、雄しべから花粉が出るタイミングがずれる。アテモヤの場合は、先に雌しべが受粉できる状態になり、その後、時間が経ってから雄しべが花粉を出す。

つまり、同じ花の中に雌しべと雄しべがあっても、機能する時間がずれているため、自分の花粉でそのまま受粉しにくいのである。また、アテモヤの花は大きく花弁が厚いため、ミツバチのような一般的な昆虫が入り込みにくい。まれに、デオキスイなどの甲虫が花の中に入り込み受粉をしていることもあるが、数が少ないので虫媒だと結実率もそこまで上がらない。

アテモヤの花にくる甲虫

アテモヤの花にくる甲虫

人工授粉を行うと、果実全体が綺麗に膨らみやすい。アテモヤは受粉した部分が肥大して果実になるため、受粉が偏ると果形が乱れやすいのだ。形のよい果実を作るためには、雌しべ全体に花粉をやさしく付けることが大切である。

受粉のタイミングと具体的な作業手順

アテモヤの受粉できる状態の花

アテモヤの受粉できる状態の花

アテモヤの花は、時間の経過とともに雌ステージの状態から雄ステージの状態へと変化していく。受粉できる花は花弁が少しゆるみ、やや開いてきた頃が目安である。花が硬く閉じすぎている状態では早すぎることがある。一方で、花弁が大きく開きすぎていたり、雄しべから花粉が出ている状態は、雌しべの受粉適期を過ぎているので、そういったものは花粉採取に使う。

人工授粉の方法は2通りある。花が少ない場合には同じ花の雄しべを雌しべにあらかじめ付けておく方法と、花数が多い場合には花粉を採取しておいて、筆などで雌しべにつけていく方法である。どちらも夕方ごろ、さらに湿度の高い時間帯に行うと成功しやすい。

前者の方法では、雌ステージの状態の花びらを2枚落とし、基部の雄しべを耳かきなどでほじくって採取した上で同じ花の雌しべにつけていく方法である。これだと、翌日もしくは翌々日には雄しべから花粉が出てきて、雌しべが機能しているどこかのタイミングで受粉ができる。花数が少ない場合におすすめだ。

人工授粉

人工授粉

後者の方法は、雄ステージの花から筆や小さな容器を使って花粉を集める。次に完全には開ききっていない別の雌ステージの花の花弁を取り除き、集めた花粉を筆などを使って、雌しべにつけていく。やさしくなでるように全体的にまんべんなく付ける。

カップに花粉を集めての人工授粉

カップに花粉を集めての人工授粉

人工授粉をしてからしばらくすると、うまく受粉した花は小さな果実として膨らみ始める。反対に、受粉しなかった花や受粉が不十分だった花は、しばらくして落ちてしまう。果実が付き始めたら、すべてを残すのではなく、樹の大きさに合わせて摘果する。1本の枝に対して1つの果実程度にすると、質のよい果実が作れる。特に若木では実を付けすぎると樹に負担がかかるため、無理をさせないことが大切である。

結実率を左右する「花粉の保存」と「筆選び」のコツ

人工授粉を成功させるには、花粉の扱い方も重要である。できるだけ新鮮な花粉を使うのが基本である。最もおすすめなのは、当日に採取した花粉を、その日のうちに使う方法である。

新鮮な花粉は発芽力が高く、受粉後の結実も安定しやすい。ただし、花粉を出している花と、受粉に適した花のタイミングが毎回ぴったり合うとは限らない。そのような場合は、採取した花粉を2~3日の短期間だけであれば、保存して使うこともできることがあるが、保存はやはり最終手段である。

花粉を保存する場合は、湿気を避けることが大切である。水分が多い状態で保存すると、花粉の状態が悪くなりやすい。小さな容器に入れ、冷蔵庫などの低温環境で保管するとよい。

ただし、保存した花粉は時間が経つほど受粉能力が落ちやすい。家庭栽培では、長期間保存するよりも、できるだけ翌日までに使い切るつもりで管理した方がよい。筆選びも、人工授粉の成功率に関わる。おすすめは、やわらかく先端が細い小筆である。耳かきの後ろについている梵天でもよい。

アテモヤ栽培でよく発生する病害虫とその対策

アテモヤは、比較的丈夫な果樹であるが、病害虫がまったく発生しないわけではない。特に、風通しが悪いと、途端に病害虫が発生しやすい樹種でもある。

風通しが悪いとすぐにコナジラミが発生する

アテモヤは風通しが悪くなると、かなり早い段階でコナジラミが目立ち始める。コナジラミは葉の裏に付きやすい小さな白い虫である。葉を軽く揺らしたときに、小さな白い虫がふわっと飛び立つようであれば、コナジラミが発生している可能性が高い。

コナジラミは葉から汁を吸い、樹を弱らせる。発生が少ないうちは目立ちにくいが、増えてくると葉の状態が悪くなり、新梢の生育にも影響することがある。

特に問題なのは、コナジラミが発生すると、すす病につながりやすいことである。コナジラミは甘い排泄物を出すため、その上に黒いカビが発生し、葉や枝、果実の表面が黒く汚れたようになる。これがすす病である。すす病が発生すると見た目が悪くなるだけでなく、葉の表面が黒く覆われ、光合成もしにくくなる。

特に、枝が混み合って樹冠内部が暗くなっている木、鉢同士を近づけすぎている場所、湿気がこもりやすい環境では注意したい。風通しの良い環境づくりを心がけよう。

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カイガラムシは果実の品質を落とす

カイガラムシ

カイガラムシ

アテモヤで発生しやすい害虫として、カイガラムシがある。カイガラムシは、枝や葉などにもつくが、特に果実に付きやすい。果実に発生すると、果実肥大が悪くなるだけではなく、色づきも悪くなる。見た目が悪くなり、商品価値や食べるときの印象も下がる。

また、カイガラムシは甘い排泄物を出すため、そこにすす病が発生することもある。すす病が出ると、葉や枝、果実の表面が黒く汚れたようになる。

吸汁加害されると黒くなってしまう

吸汁加害されると黒くなってしまう

カイガラムシの対策で大切なのは、早期発見である。発生が少ないうちであれば筆者の場合、水圧で一気に落とすことがあるが、場合によっては歯ブラシや布などでこすり落とすこともある。枝が混み合って見えにくい場所に発生しやすいため、剪定で樹冠の内部まで観察しやすい状態にしておくことが重要である。

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剪定の基本テクニック。「樹形を整える」ことが結実への近道

アテモヤの剪定

アテモヤの剪定

アテモヤ栽培では、剪定も重要な管理の一つである。剪定というと、「どこを切ればよいのかわからない」「切りすぎて枯らしてしまいそう」と不安に感じる人も多い。しかし、アテモヤは剪定すると新しい枝が伸びやすく、比較的樹形を作り直しやすい果樹である。

そのため、初心者でも剪定に挑戦しやすい。一度で完璧な形を作ろうとしなくても、枝の伸び方を見ながら、少しずつ樹形を整えていけばよい。

アテモヤは、新しく伸びた枝に花を付ける果樹である。そのため、剪定によって新梢を発生させることが、その後の開花と結実につながる。基本的には、枝を20~30cm程度の長さで切り返し、新しい枝を出させる。その後、内向きに伸びる枝、交差している枝、混み合っている枝を間引くことで、かなり管理しやすい樹形を作ることができる。

剪定でまず意識したいのは、樹冠の内部に光を入れることである。枝が混み合うと、内側の枝に日が当たりにくくなり、弱い枝や枯れ枝が増えやすくなる。また、風通しが悪くなることで、コナジラミやカイガラムシ類、すす病などの発生リスクも高まる。樹の内側まで光と風が入るように、内向き枝や交差枝を整理することが大切である。

次に大切なのは、作業しやすい高さに樹を抑えることである。アテモヤは人工授粉が重要な果樹であり、開花期には花を一つひとつ授粉する必要がある。樹が高くなりすぎると、人工授粉、摘果、袋かけ、収穫の作業が一気に難しくなる。脚立が必要な高さまで樹を大きくしてしまうと、管理の手間も増え、花の状態や病害虫の発生を見落としやすくなる。家庭栽培では、手が届く高さで管理できる樹形を目指すとよい。

低めに樹形を作っておくと、花の状態を確認しやすく、人工授粉のタイミングも逃しにくい。剪定では、強く上に伸びる枝も整理したい。上向きに勢いよく伸びる枝ばかりを残すと、樹が高くなりやすく、管理しにくい樹形になる。

ただし、アテモヤは枝がよく伸びるため、多少樹形が乱れても、次の剪定で修正しやすい。剪定をしたことがないという人でもぜひ恐れず挑戦してみよう!

まとめ

アテモヤは濃厚な甘みとなめらかな食感が魅力の、とてもおいしい熱帯果樹である。筆者も初めて育てて食べた時には本当に衝撃的な果樹だった。一方で、木は比較的丈夫で剪定後も枝が伸びやすく、樹形の修正もしやすい。人工授粉などのポイントを押さえれば、初心者でも十分に栽培を楽しめる。

熱帯果樹を育ててみたい人にとって、最初の1本としてもおすすめできる果樹である。ぜひ育ててみていただきたい!

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