
松本聰氏 東京大学名誉教授、一般財団法人日本土壌協会 前・会長/兵庫県立農業大学校 有機農業アカデミー 講師
腐植が減ると、肥料は効かなくなる
日本の農業は本来、適度な降雨に支えられてきました。ところが昨今は、降れば土砂降りの豪雨で土壌粒子が流され、降らなければカラカラに乾いて土壌水分が不足し、作物生産の場として非常に厳しい状況です。
「本来なら植物遺体や根が土に戻り、数年かけて腐植になりますが、地表の植物が枯れれば材料が供給されません。腐植が蓄積されなければ、土壌の柔らかさ、水分の保持、肥料持ちといった機能が失われます。極端に進めば砂漠化へ向かう。今の日本は、その一歩手前です」と松本先生は話します。
――見直すべきは「土づくり」
「腐植が減った土壌には、いくら肥料を入れても無駄になります。しかも、肥料成分は酸とアルカリの化合物ですから一種の塩です。土が乾けば塩が濃縮されて、塩類土壌となり、作物には過酷な環境になります」と松本先生。これは畑でも水田でも起こりうる問題だと指摘します。
入れた肥料を無駄にしないためにも、施肥設計を見直す前に、植物が根を張り、養分を吸収できる土壌へ整えることが先決です。
カルシウムとイオウがゆっくり長く効く
土壌改良材『エコカル』は、石膏(硫酸カルシウム)を主成分とする土壌改良資材です。アルカリ性のカルシウム[Ca]と酸性の硫酸[H2SO4]が化学的に等量で結合したもので、ほぼ中性です。作物に適した土壌pHは6.6〜7付近(弱酸性寄りの中性~中性)とされ、石膏はマイルドに働き、その範囲を保ちやすいのが特徴です。

エコカル 通常版パッケージ
――この2成分が、作物を支える
「カルシウムは必須元素のひとつです。人間の骨と同じ役割で、植物体内に入るとまず体を丈夫にして害虫や病原菌の侵入を防ぎます。さらに、植物体内での物質の運搬を助ける働きがあります。例えば、イネではカルシウムの存在下で、でんぷんが穂へ輸送されるのを助けます」と松本先生は説明します。
もう一方のイオウは、含硫アミノ酸やビタミンB1・B7の構成元素で、タンパク質の合成に欠かせない必須元素です。ネギ類やアブラナ科野菜の香りや辛みのもとにもなっています。
「近年、イネではイオウが不足気味で硫黄欠乏症が出ています。イオウは土壌中で硫黄細菌の働きにより硫酸になりますが、カルシウムの存在により強い酸性にはならず、硫酸カルシウムとしてpHがほぼ中性に保たれます」と松本先生。エコカルはカルシウムとイオウを同時に供給するため、酸性化を招かずにイオウを補えるということです。
これら2成分とも、作物の植え付けから収穫まで一貫して必要です。エコカルは施用後ゆっくりと溶けるため、6カ月近く成分を供給し続けます。

エコカルを施用し育ったイネ
『エコカル フルボ酸入り』は何が違う?
『エコカル』には、純国産のフルボ酸を配合した『エコカル フルボ酸入り』があります。フルボ酸は、有機物が土中で長い時間をかけて分解されてできる腐植の一種で、腐葉土のエッセンスにあたる成分です。石膏再生協同組合によると、カルシウム資材とフルボ酸を配合した製品は他にないといいます。

エコカル フルボ酸入りパッケージ
――フルボ酸の働きは「キレート作用」
「かつて腐植は複雑すぎる化合物として敬遠されていましたが、現在は成分ごとに土壌中での役割が解明されてきました。その働きとして確認されているのが、フルボ酸のキレート作用です。カニがハサミで挟むように、水に溶けない鉄やマンガンを包み込み、植物が取り込める形にします」と松本先生。
――根が伸び、養分を吸収する「口」が増える
『エコカル フルボ酸入り』の施用により、根の伸長が良くなることも、石膏再生協同組合の試験で確認されています。
「根は、植物にとって口にあたります。植物は動けませんから、根を通じて養分を吸収するしかありません。ごく小さな根が網目よりも密に広がり、その表面積多いほど養分が吸収させ、地上部を充実させます」と松本先生は話します。

写真左:エコカル フルボ酸入り施用前の芝生 写真右:エコカル フルボ入り酸施後の芝生
――カルシウム資材とフルボ酸を一体にする意味
「カルシウムとイオウが石膏という形で同時に土に入ることで機能が多様化され、フルボ酸の良さが加速されます。つまりバイオスティミュラント(生物刺激剤)効果が向上します」と松本先生。伸びた根は1年後にはすべて腐り、微生物に分解され、2~5年かけて腐植になります。それがまた土づくりにおける石膏と同様に、土壌環境を良くしていきます。

分析:国土防災技術株式会社
実例『エコカル』施用で期待できる効果
『エコカル/エコカル フルボ酸入り』は、ほぼすべての作物に施用でき、実証データも蓄積されています。
――水稲での実証データ
石膏再生協同組合の実証圃場(滋賀県)で『フルボ酸入り』の施用田と未施用田を比べたところ、10株あたりの分げつ数は238本(未施用185本)、穂の重量は427g(同339g)、稲丈は101cm(同93cm)。周辺で倒伏が相次いだ年も施用田では無事に収穫できたといいます。

――カルシウム含有量の向上
リンゴ、コメ・玄米、ソバがら、レタス、サツマイモでは、無施用区と比べてカルシウム含有量の向上が見られました。
――糖度についての実証データ
エコカルを施用した圃場では、トマト(桃太郎)平均8.9Brix%、トウモロコシ(ピーターコーン)平均19.1Brix%、カボチャ(かちわり)平均15.6Brix%と、糖度計メーカーが公表する一般的な糖度を上回っています。

エコカルを使用した農作物の糖度を計測
――玄米の食味への影響
フルボ酸入りおよび通常版を施用した圃場の玄米では、分析で品質向上が見られました。
「でんぷんの転流をカルシウムが担うため、籾のでんぷんが充実します。エコカルを使うと食味値が上がることは、科学的にあり得ると言えます。とくにフルボ酸入りが、その充実度を増すことが明らかになりつつあります」と松本先生。
石膏再生協同組合によると、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモの生産者はリピーターが多いとのこと。果樹でも、ブドウやナシの生産者から報告があるそうです。
廃石膏ボードを農業へ。国内循環する資材
天然の石膏は日本では採掘できません。『エコカル』の原料は、建物の解体時に発生する廃石膏ボードです。
石膏再生協同組合は2007年から再資源化に取り組み、粉砕、ふるいによる紙や木片の除去、化学的処理による重金属などの除去という工程を10年の実証実験で確立。再生した石膏粉に水のみを加えて練り、加熱してペレット状に成形したものが『エコカル』です。
「解体で出た石膏は、従来ほとんどが埋め立てに回っていました。それをもう一度使えるようにした意義は大きい」と松本先生も評価します。
『エコカル フルボ酸入り』に配合されるフルボ酸の原料は堆肥や植物繊維で、国土の7割近くが森林である日本では純国産でまかなえます。腐植からフルボ酸をきれいな状態で抽出するには、高度な技術を要します。
「循環型の資材として、資源の争奪が世界中で始まるなか、その抑制にも寄与できるのではないか」と同組合は話します。
根が張れば、肥料は効く
「肥料成分を効率よく吸収させるには、根の張りを良くすることが重要です。エコカルは土壌環境を良くし、根の伸長を助ける資材です。物質循環のなかで効率よく肥料を使う手助けになるでしょう」と松本先生は締めくくります。
科学的に判断するには、土壌診断でpHと塩基バランスを把握することから。根量をより重視するなら『エコカル フルボ酸入り』という選択肢もあります。
根が張り、その根が腐植になり、土がまた良くなる。この循環を回し始めることが、肥料に頼り切らない栽培基盤への第一歩です。
お問い合わせ
石膏再生協同組合
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