出荷契約に猶予期間
集荷を巡る状況が1年前と180度変わった。2025年は集荷業者が収穫前から農家を訪ね、コメを買い付けに回っていた。その影響で農協の集荷率が各地で落ちた。米価の高騰を背景に起きたことだった。
26年は一転、集荷競争が沈静化した。25年産の古米が卸会社の倉庫に積み上がっており、25年と同じように業者に集荷を依頼できる状況にないからだ。売り先がなければ、集荷業者も買い付けに回れなくなる。
置かれた状況は農協も共通だ。関東地方のある農協は「25年の実績量しか受け付けられない」と組合員に通知した。集荷業者に比べればまだ前向きとも言えるが、量を制限するのは異例のことだ。
JA秋田ふるさとも当初は似た姿勢だった。出荷契約を結ぶ期限は5月末。契約を上回る量を持ってきたときは仮払金(概算金)を大幅に低くし、結果的にもし高値で販売できればその分を後から上乗せするルールにした。
そうした中、小田嶋さんが6月末に組合長に就いた。6年ぶりの組合長復帰だった。5月末で出荷契約の受付を打ち切ったことを知った小田嶋さんはこう指示した。「猶予期間を設けた方がいい」

集荷競争が沈静化した(写真はイメージ)
売り先を見つけるのが農協の役割
小田嶋さんの決めた措置は、出荷契約をしていなかった農家とすでに契約済みの農家の両方が対象。新たに出荷契約を結ぶことと、契約量を増やすことをともに認めることにした。期限は7月いっぱいとした。
その結果、契約数量は600トン増えた。増加分がそれほど多くなかったのは、コメ騒動の過程で集荷業者に流れた量がそれほど多くなかったからだ。農協と組合員の関係がしっかりしていることの証左だろう。
重要なのはなぜ小田嶋さんが猶予期間を設けようとしたかだ。この質問に対する答えは「農協の役割」を考えるうえで示唆に富むものだった。

小田嶋契さん
「農家が自分で作ったコメを自分で売るのは仕方がないことだと思っている。もし余ったら持ってきてくれればいいいというのが農協の基本」
これは決して消極的な言葉ではない。小田嶋さんの話をもう少し続けよう。
「農協は売り先がない農家のためにある。だから農家が売り先を失ったら、代わりに売り先を見つけてくるのが農協の役割」
こう考えるからこそ、ここ数年の農協の集荷の姿勢には疑問を持っていたという。「コメを出してくれと農家にうるさく言って、家族が食べる分から一部回してくれとまで頼んでいた」。集荷競争の激しさを示す。
「そうやって集荷していたのに、コメが余り始めたら持ってくるなというのはおかしい」。農協の組合長としてこれほど強い言葉はないだろう。
「途方に暮れていてはダメ」
「いまは夜明け前。真っ暗だからといって途方に暮れていてもダメ。明るい兆しを探して、光に近づいていくことが大事だ」。
















