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イチゴ栽培で儲けるために考えること

イチゴ栽培で儲けるために考えること イチゴ栽培で儲けるために考えること

儲かるイチゴ栽培のポイント

収益性の高さが注目されるイチゴ栽培ですが、ただ栽培するだけでは儲かるとまでは言いにくいのがじつのところ。
3つのポイントを押さえて、儲かるイチゴ栽培を実現しましょう。
1.経費削減
2.差別化による単価アップ
3.収穫量を増やす

経費削減のためにできること

利益率を上げるには、経費の削減が必須です。
とは言っても、やみくもに資金を切り詰めるだけではイチゴがうまく育たなくなってしまうこともあります。
投資する先を見極めて、効率的なイチゴ栽培を目指すのがおすすめです。

設備や資材への投資

目指す姿に応じて、設備への投資が必要な場合があります。
儲かるイチゴ栽培を目指すことを考えると、ある程度の規模まで栽培面積を広げる必要があります。
そうすると、一人では手が回らず、従業員を雇用することもあるでしょう。
安定した雇用のためには、作業環境が良いことも重要です。
高設栽培で作業負担を軽減する、ハウス内の温度が上がりすぎないようにするなど、
環境整備も検討しましょう。

また、適切な資材を使用することで、収量増食味改善が期待できます。
目的や課題に応じて、設備や資材に投資することは必要と言えるでしょう。

病害虫が発生しにくい環境づくり

全ての作物で言えることですが、病害虫の被害は収量の減少、ひいては収益の減少に直結します。
そのため、病害虫を発生させないことが非常に重要です。

イチゴの病気は高温多湿状態で発生しやすいものが多いので、
ハウス内の温度・湿度の管理や、栽培方法の工夫が重要です。
例えば、炭疽病は夏場の頭上からのかん水により発生・拡大しやすいので、
底面給水など、葉を濡らさずにかん水できるシステムを導入することで発生を避けられます。

また、IPM(総合的病害虫・雑草管理)などを取り入れて病害虫が発生しにくい環境にすることで、
農薬やなどの資材の使用量を減らし、結果的にコスト減となることが期待できます。

IPMについて詳しくはこちら

作業の効率化

授業員やスタッフの人数に関わらず、作業時間は短いに越したことはありません。
人件費の削減にもつながりますし、浮いた時間を他の作業に当てることもできます。
イチゴの高設栽培は、土耕栽培よりも労働時間が10%少ないという研究結果があります。
しゃがみ作業など身体的負荷が高い作業も避けられるのも特徴の一つです。

また、イチゴ栽培ではハウスの温度・湿度の管理が重要です。
温度管理システムを導入することで、ハウスの空調や換気設備を遠隔や自動で操作して、
ハウス内をイチゴの生育に適した環境に保つことができます。
手動での管理はかなり手間が掛かるので、
管理システムや自動化システムを導入する生産者が多いポイントでもあります。

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単価アップのために
できること

販売単価を上げるには、高単価に見合うイチゴを作り、差別化ポイントをアピールする必要があります。
また、市場出荷だけでなく、より高い金額で出荷できる販路の確保も重要です。

育てる品種を選ぶ

イチゴは品種により販売される場所や金額が異なります。
高単価で出荷をしたい場合、まだあまり出回っていない新品種や、知名度の高い人気品種
高級青果店などで販売される高級品種や、白イチゴなどの希少品種などを狙うのも良いでしょう。
中には、独自にオリジナル品種を作り出して栽培・販売している生産者もいます。
ただし、農協や市場に出荷してしまうとどんな品種も同じ金額になってしまうので、
自分で販路を見つける必要があります。

市場出荷でも高単価を期待できるのは、イチゴの流通量が少ない7~11月です。
この時期は卸売価格も非常に高額になります。
就農する地域とこの時期に収穫できるイチゴの相性が良いのであれば、挑戦する価値はあります。

ブランディング戦略を取る

高単価で販売されるイチゴは、品種だけでなくブランド戦略が優れていることも多いです。
こだわりの栽培方法や栽培環境優れた食味や見た目などをもって
独自のブランドを立ち上げる自治体や生産者グループも存在しています。

難易度は非常に高いですが、成功すれば安定して高単価で販売することができるでしょう。
半面、ブランドや販売価格に質が伴わない場合、消費者が離れていってしまう危険性もあります。

観光農園や直販でファンを作る

直接販売では手数料などが発生しないので、利益を最大化することができます。

日本のイチゴは柔らかい品種が多く、完熟状態ではダメージを受けやすいため、
一番おいしい状態で楽しんでもらうには直接販売が一番。
味を知ってもらい、直接コミュニケーションを取ることでリピーター獲得も期待できます。

また、イチゴ狩りをはじめとした観光農園の経営形態では、
収穫や梱包の手間が省けるという利点もあります。

海外に輸出する

イチゴをはじめとする日本の果物はその品質から海外でも注目され、高価格で販売されています。
海外輸出に取り組んでいる生産者は多くないので、今ならトレンドに先乗りできる可能性も。

ただし、海外輸出をする際は使用する農薬や資材に制限がありますので、
輸出を視野に入れるのであればそれを前提とした栽培が必須になります。

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収量を増やすためにできること

当たり前の話ですが、収量アップは収益アップに直結します。
安定して収量を確保することは安定した経営に必須です。
ただし、収量が増えるほど収穫や梱包などの作業も増え、資材などの経費もかさみます。
労働力などとのバランスも考え、目標を決めると良いでしょう。

多収量の品種を育てる

単純に収量を増やす場合は、多収量の品種を育てるのが良いでしょう。
もちろん、収量は栽培の環境にも左右されますが、
特に就農直後は多収で丈夫な品種も育てておくと安心かもしれません。

栽培環境を見直す

既にイチゴの栽培をしていて収量が安定しない場合、どこに問題があるのか発見するのが重要です。
・イチゴに合った土作りができているか
・花芽分化はうまくいっているか(温度管理は適切か)
など、環境や土壌の状況を分析しましょう。

同じ地域でイチゴを栽培している先輩農家に相談するのもおすすめです。

病害虫対策を行う

病害虫が発生すると、収量が大幅に減ってしまいます。
発生してしまった場合には原因を特定し、次年度で発生しないように対策することが重要です。

病気を防ぐには、ウイルスフリー苗を使うことも効果的です。
初期コストは掛かりますが、病気のリスクを減らせるので収量が安定し、
結果的に収益アップにつながる可能性もあります。

栽培規模を拡大する

今できることは全てしたが、更に収量を増やしたいという場合は、規模拡大を検討しましょう。
物理的に面積が増えれば、植え付け株数も増やすことができ、収量が増えます。

ただし、規模拡大に対応できる労働力があるのか、
もし雇用が必要になる場合、その経費は規模拡大した場合の収益に見合うのか
というようなシミュレーションも事前にしておきましょう。

むやみに規模拡大し、作業が追い付かない、人を雇った分だけ赤字になってしまった、
というのでは本末転倒です。

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伸びしろがあるイチゴ栽培

人気の果物であり、新品種も続々と登場しているイチゴ。近年は施設栽培で新規就農する事例も多く、比較的安定して収益を得られる品目として注目されています。
大きな可能性を秘めたイチゴ栽培ですが、無策に飛び込んでは失敗する可能性も……。事前リサーチやシミュレーションで、儲かる農家になれるよう検討が重要です。

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