「高設栽培システム」の導入で、作業負担の軽減と収量アップを同時に実現
苺香農園の2代目として、河合さんはおよそ3900坪のイチゴハウスを管理しています。毎年クリスマスの時期から出荷が始まり、大型スーパーなどからクリスマスケーキ用のイチゴの注文が相次ぎます。苺香農園では摘み取りも箱詰めもすべて手作業。この時期は、全13人のスタッフによるフル稼働体制。それでも人手は足りず、人手不足の問題は、もはやどの業界でも当たり前になっています。
そこで少しでも作業が楽になり、さらに収穫に時間がかからないように導入したのが『イチゴ高設栽培システム』です。栽培槽を高く設置し、立ったまま作業ができることが最大の特徴です。培地には肥料分が含まれていないヤシガラや培養土を使用し、水と肥料成分はイチゴに必要なタイミングで供給しています。
内山さんが続けます。「特に高設栽培は地方によってスタイルが異なるのですが、このあたりで採用されているのは“愛知県方式”。幅75cmの独立プランターを複数個一列に並べるスタイルで、万が一土壌伝染による病気になった時でも、該当するプランター内に留まり、感染リスクを下げることができます」。
一方で、河合社長が気になっていたのが、土耕栽培と比べると味が落ちてしまうことでした。そこでトヨタネと共に、ハウス内の環境制御に取り組むことに。データに基づいた室温の管理やCO2の制御、さらに光合成を促進し、糖度を高めるなど、植物生理に基づいた研究により、甘みや旨みをアップさせることに成功しました。
「夜冷庫」は効果絶大!ランニングコストを考慮の上設置
もう一つ、2024年から導入したのが新しい「夜冷庫」です。昨今の異常なまでの夏季の気温上昇により、花芽の分化が遅れ、定植後に花がつかない。結果、書き入れ時のクリスマスに実がならないという事態が起こっています。
そこで活躍するのが、イチゴ苗を夜だけ冷蔵庫に入れて冷やす「夜冷庫」です。
河合さんは以前から使用していましたが、すべてのイチゴ苗を格納できる規模ではありませんでした。しかし、最近は、夜冷処理した苗でなければ年内の収穫量が減ってしまうような年が続いたため、思い切って約2万株を一気に冷やせる「夜冷庫」を設置。
河合さんが採用している「夜冷庫」は、パイプハウス式ではなく、冷房効率の良い、鋼板と断熱材の複合パネルを採用した屋根型式のもの。合計130㎡ほどの6つのベンチに苗を並べます。ベンチは幅6m×奥行7mの庫内に3段・2列に収納し、省スペース・省エネに夜冷処理ができます。
一方の内山さんはこう語ります。「暑さ対策は、今やすべての農家さんの課題です。安定した収量と質の担保のために、“冷やす”ことが重要になります。「夜冷庫」はとても有益ですが、農家さんの予算に応じた対策を考えていくことも我々の役目です。例えば資材を白色のものに換えるだけでも温度上昇の抑制にもなりますし、養液栽培システムなどでも対応できないかなど、農家さんと一緒に試行錯誤しています」。
自然環境に応じた施策を農家さんと共に考え実践する
最近は、資材などすべてが高騰しており、イチゴ農家にとっては厳しい状況が続いています。ただ、下ばかり向いていても何も解決しません。地球温暖化は進む一方ですから、それにどう対処していくか、前向きに考えていくことが必要だと内山さんは力強く語ります。
「絶対に無理とは言いません!農家さんと一緒に課題を解決していきたい。そのために私たちは研究農場も持っていますし、他県のイチゴ産地の栽培情報も収集しています。同じ苗や資材を使っていても、農家さんの“手”の違いで、栽培状況はまったく異なります。一人一人の農家さんとの対話を大切に、あらゆる可能性の中から最良の施策を共に探っていきたいと思っています」。
最後に河合さんにとってイチゴ栽培の醍醐味は?
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