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6次産業化に必須のブランディング手法を学ぶ3つの成功実例

6次産業化に必須のブランディング手法を学ぶ3つの成功実例

2017年08月26日

パクチーペースト「PAKUCI SISTERS(パクチーシスターズ)」を販売したパクチー農家や、ブタの脂の融点を商品名にした「32℃豚」、地域性を島全体でアピールした「喜界島のそら豆醤油」など。6次化成功の事例とポイントを株式会社MISO SOUP代表の北川さんに教えてもらいました。

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6次産業化に興味はあるけれど「やり方がわからない」と躊躇していたり、「やってみたけれどうまくいかない」と悩みを抱える1次産業従事者の方もいるのではないでしょうか。

そんな方々を支援するために設立されたのが株式会社MISO SOUP(ミソスープ)。事業提案から商品開発、販売チャネルの開拓、事業モデルの確立まで6次産業化をトータルで支援するサービス「6つく(ろくつく)」を提供しています。

今回は、代表取締役の北川智博(きたがわともひろ)さんに、「6つく」のブランディング手法について詳しくお話をうかがいました。人・こだわり・地域性にクローズアップした実例とともに、詳しくご紹介します。

関連記事:商品作りはゴールではない「6次産業化を成功させる」3つの秘訣

【CASE1】人の魅力でメディアを惹きつけたパクチー農家


千葉県でパクチー生産者として活動する立川あゆみ(たちかわあゆみ)さん。農家の長女として生まれ、アパレル会社のデザイナー、お笑い芸人、フラワーアレンジメント教室主宰など異色の経歴を持つ2年目の新人就農者です。ご主人を亡くされ、シングルマザーとして2人の子どもを育てる母でもあります。

農家を営む高齢の両親が懸命に土地を守ろうとしている姿を見て、「実家の農家を元気にして、育った土地や両親に恩返しをしたい」と、就農を決意しました。

立川さんのパクチーは、収穫したらすぐに出荷するため、フレッシュな状態で消費者のもとに届くのが魅力です。しかし、北川さんは「それだけでは他のパクチー農家と差別化するには足りない」と考えました。

そこで、千葉県船橋市のダイニングバー「hygge(ヒュッゲ)」のオーナーシェフと共に共同開発したパクチーペーストを販売することに。その名を「PAKUCI SISTERS(パクチーシスターズ)」として、立川さんの似顔絵をロゴマークにしました。

 

「立川さんの人柄に着目しました。元お笑い芸人ということもあるのでしょうか、快活で楽しい方で、話しているとどんどん引き込まれていくんです。そこで彼女の人としての魅力を前面に押し出すことで、注目されやすくなるのではないかと考えたんです」

自身の似顔絵を商品ロゴにして、立川さんには似顔絵を大きくプリントしたTシャツを着てPR活動も行ってもらい、キャラクターの印象づけも試みました。するとメディアからの取材申込みが相次いだそうです。

「様々なメディアに紹介されたことで、知名度も認知度も格段に上がりました。さらに主婦向けの通販雑誌から商品カタログで取り扱いたいという話がきて、表紙にも取り上げられました。立川さんのキャラクターが同年代の女性から共感を得やすかったという側面もあったのではないかと思います」

【CASE2】こだわりを商品名に「32℃豚」でシェフにアプローチ

「豚肉を作っているのではなく、ブタという生き物の命を育てている」と、情熱をもって養豚に取り組んでいる高清水養豚組合。「豚肉の味は原種豚、種の配合、エサが大きく影響する」という考えのもと、メーカーなどから仕入れたエサではなく、自分達の工場で配合したエサを与えてブタを育てています。

高清水養豚組合の養豚業への真摯な姿勢に感銘を受けた北川さんは、そのこだわりと思いを前面に出した商品作りを提案します。

「彼らの養豚に対する情熱や意識がおいしさに繋がっていることを可視化することで、強みに変えられると思いました。まずはブランド名を『32℃豚』と名づけました。高清水養豚組合の豚肉の脂はとても上質で、融点が32〜34℃なので、舌の上でとけるんですよ。ネーミングを見た方は、ほぼ「なぜ32℃なの?」と思ってくれるので、32℃の説明の中で、生産者の想いやこだわり、素晴らしい技術をストーリーとして伝えていく手法をとりました。」

さらに、高清水養豚組合の生産者が自分たちの豚肉の価値をさらに上げてくれるのは、プロの料理人だと考えていることから、ターゲットとして飲食店に注目します。種の配合や飼料にこだわり、ストレスフリーな環境で育った『32℃豚』は食味も良く、付加価値が高いので、良質な飲食店でニーズがあるはずだと考えたのです。

そこで、同業者間での認知度を向上させ、「使ってみたい」という思いを喚起させるよう、『32℃豚』を使っている飲食店へインタビューをして、ホームページなどで紹介することにしたそうです。その結果、月々20から30件の問い合わせがくるようになったといいます。

【CASE3】 地域性を島全体でアピール「喜界島のそら豆醤油」

奄美群島の北東に位置する喜界島では、この島の伝承作物である島そら豆を使った6次産業化を島全体で取り組んでいます。島そら豆は島民が減少していく社会背景の中で、食卓に登場する機会が減っていました。

喜界島ではこれをもう一度見直して地域の活性化につなげようと、乾燥させた島そら豆を原料に醤油を作り、製品化することにしました。そら豆醤油はグルテンフリーという特長があり、小麦や大豆アレルギーの方でも安心して食べられ、ダイエットや美容などの作用も期待できます。

グルテンフリーを前面に出す商品化の案もあったそうですが、グルテンフリーはまだ国内で大きなマーケットはないと判断。まずは喜界島が持つ希少な地域性に興味を持ってもらい、島の取り組みに共感してもらえるようにプロデュースするという話になりました。

「喜界島は、現在も隆起し続けている隆起サンゴ礁の島です。そのため、島の土壌は弱アルカリ性でミネラルが豊富。島そら豆の栽培にも適しています。さらに島の一番高い山場は、10万年前の珊瑚礁が隆起してできています。そんなストーリーを消費者にアピールすることにしました」

この取り組みの認知拡大のため、クラウドファンディングも活用しました。クラウドファンディングというと資金調達のために行うと思われがちですが、MISO SOUPでは生産者の想いを広く伝えるため、また地域の方など、周りの理解を得るために活用しているそうです。

「支援者が増えていくことが数字でわかるため、周りの方の理解が得やすいのです。生産者自身も、支援者が増えて共感してくれるのは励みになります」

こうして、そら豆醤油のプロジェクトは、生産者や協力者だけでなく、行政や地域の企業なども巻き込み、島を上げてのムーブメントに発展していったそうです。全国からの注目度も高まり、メディアで喜界島のそら豆のことを知った企業からの引き合いがくるという展開もありました。

 

3つの成功事例をご紹介しましたが、ブランディングが成功した理由は手法によるものだけではなく、商品そのものの魅力あってこその成功です。

北川さんは、「商品作りがイコール6次産業化ではない。商品を作って、売って、プロセスを回して、持続的に収益が出るようにならなければ」といいます。

自分たちが作っているものに自信がある。でも、それをどう広げていけばよいかわからない。そういう方にこそ、ぜひ一度6次産業化について具体的に考えてみてはいかがでしょうか。

関連記事:商品作りはゴールではない「6次産業化を成功させる」3つの秘訣

株式会社MISO SOUP

住所:東京都目黒区駒場1-28-5 ACCUMN408
https://www.misosoup.co.jp
写真提供:株式会社MISO SOUP

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