農林漁業の6次産業化とは? そのメリットと事業例

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農林漁業の6次産業化とは? そのメリットと事業例

農林漁業の6次産業化とは? そのメリットと事業例
最終更新日:2019年09月17日

近年、農林漁業者の高齢化による担い手不足により、6次産業化が注目されるようになりました。
情報化社会が進み、人々の生活が変化する中で、農業をはじめとする1次産業の在り方にも変化が求められています。
ここでは、6次産業化とは何か、そのメリットや事業例などをご紹介します。

生産から販売まで一貫して行う6次産業

6次産業化とは、1次産業である農業や林業、漁業の従事者が、生産物の持つ価値をさらに高めることにより、所得の向上などにつなげていくための取り組みのこと。つまり、生産するだけでなく、2次産業である製造業や3次産業である流通や販売も一貫して行うことによって、生産物の価値を引き上げ、事業の活性化を目指すものです。
6次産業という言葉は、1次産業・2次産業・3次産業の数字を掛け合わせたもので、東京大学名誉教授の今村奈良臣(いまむら・ならおみ)氏によって作られた言葉です。

6次産業化における3つのメリット

1次産業者が6次産業化を目指すことによって、どんなメリットがあるのでしょうか。代表的な3つのメリットをご紹介します。

1.所得の向上

まずは、6次産業化の本来の目的でもある所得の向上が挙げられます。生産から流通・販売までを一貫して行うことで、生産物の価格設定の主導権を持つことができるため、より安定した収入を得ることができます。
また、通常であれば加工や流通は別の事業者が対応するため、関わった事業者の数だけ販売時の価格が高騰することになり、安い金額で消費者に届けることが難しくなってしまいます。しかし、6次産業化を行うことにより、質の良い製品を消費者に安く届けることが可能になるのです。
また、天候や農作物の出来具合によって収入の増減が発生してしまう1次産業ならではの弱点を、加工などの2次産業で補うことで、事業全体の収益の安定化を図ることも可能になります。

2.生産物のブランド化

生産から販売までを一貫して行うことで、生産物のブランド化も自社で行うことが可能になります。
独自の技術だけでなく、その土地でしか購入できないという他の商品との差別化や付加価値がつくことにより、ブランド力が向上します。
有名な事例としては、北海道の素材を使用した「花畑牧場」の生キャラメルが挙げられます。花畑牧場で取れた新鮮な素材を使用し花畑牧場で作られ販売されていることや、こだわりの製法などが話題になり、ほかにはない独自のブランドとして受け入れられ、価値が大きく向上しました。

3.地域の活性化や雇用の拡大

2次産業・3次産業まで担うことで、業務量が増えるため、必然的に雇用の拡大につながります。また、雇用が増えることにより、地域の活性化にもつながります。
さらに、地域住民の雇用だけでなく、地域が活性化することにより人が集まり、携わる労働者も増えることになります。そのため、6次産業化はこのような良い循環をもたらすきっかけになるともいえます。

6次産業化の成功例

農林水産省の政策を受けて設立された株式会社農林漁業成長産業化支援機構では、商品開発や販路の開拓などに対して「農林漁業成長産業化ファンド」による支援や、ブランド化のサポートなどを行っています。他にも、金融機関や自治体などさまざまな機関が支援を行っているため、6次産業化を行う企業が増えています。
実際に、6次産業化によって事業が好転した事例についてご紹介します。

自社工場の設立で売上10億円突破

山形県の舟形町にある有限会社舟形マッシュルームでは、自社で生産したマッシュルームを原料としたカレーやハンバーグなどの加工品を製造し、インターネットや産地直送レストランなどで販売しました。
その後、加工施設を新設し、自社で加工品の製造を開始。商品の開発力が向上し販路を拡大できたことにより、売上が2010年の2億5000万円から、2016年には10億9000万円にまで成長しました。

先進技術の導入で売上が安定化

石川県七尾市にある株式会社鹿渡島(かどしま)定置では、漁価低迷の解決のために、鮮度維持のための技術を導入しました。「神経抜き」という技術は、魚の死後硬直を遅らせることで鮮度を保つというもの。これにより、新鮮なまま魚を輸送できるようになりました。また、加工と販売を兼ねた施設「魚工房 旬」では、漁師自ら魚や海藻の一次加工、干物づくりなどの二次加工を行っています。
技術による付加価値向上と販路拡大などにより、売上の安定化を実現するとともに、若者の地域定住化の促進にもつながりました。

ブランド化の成功で雇用数が5倍に増加

鳥取県の八頭(やず)町にある有限会社ひよこカンパニーでは、鶏をケージで飼育するのではなく、平たい地面の上で放し飼いにする「平飼い」で育てその卵のブランド化に成功しました。
「天美卵(てんびらん)」と名付けた朝採れ卵の通信販売から始まり、天美卵を使ったパンケーキやスイーツなどが楽しめる施設を開設しました。さらに農家レストランも開業し、6次産業化を推進した結果、2016年の売上は2011年の2.5倍に増加、雇用者数は2008年の5倍となりました。

6次産業化サポートセンターに相談しよう

6次産業化は、農業や林業、漁業従事者にとって非常に大きなメリットをもたらす可能性があります。農林水産省では、資金の支援だけでなく、6次産業化についての相談に応じアドバイスを行う「6次産業化サポートセンター」を各自治体に設置するなど、6次産業化の推進に力を入れています。
収入の安定や事業の拡大のためにも、専門家のアドバイスを受けながら事業を進めてみてはいかがでしょうか。

【参考】農林漁業の6次産業化

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