ハマグリの紹介
ハマグリの漢名は「文蛤(ブンコウ)」、「花蛤(カコウ)」と言います。体内における熱寒性を表す生薬の薬性「五気」は、解熱作用などを持つと言われる「寒」、生薬の味である「五味」のなかでは、「甘」と「鹹(かん)」を持つ食材です。
ハマグリは、ちょうつがいを外すと他にどんな貝と合わせようとしても、元の貝とでなければ合わないという特徴を持っています。このことから、夫婦和合の象徴としてもハマグリは有名です。また、この特徴を活かして、「貝合わせ」という遊びの道具としても用いられた食材でもあります。
ハマグリの歴史
ハマグリは、日本のほかにも朝鮮半島や中国沿岸、台湾、フィリピンなど、幅広いエリアに分布している食材です。歴史を見てみると、中国では3,000年前から食材として使われていたという記録があり、長い歴史を持つ貝であることがわかります。
ハマグリの働き
ハマグリの良い働きについて見ていきましょう。
喉の渇きや寝汗、二日酔いに
喉の渇きや寝汗は、体内に熱が停滞することで起こります。ハマグリを煮て食べることで、これらの症状を良くする働きがあるとされています。
そのため喉が渇く時、また二日酔いなどにも良いとされます。
ハマグリを食べる際の注意点
ハマグリを食べる際は、どんなことに注意すべきなのでしょうか。どんな食材にも言えることですが、食べ過ぎには注意しましょう。逆に体へ害を与えてしまうことがあります。ハマグリの食べ過ぎは、かえって痰が出てしまうなどの原因となるケースがあるようです。
ハマグリを使った漢方薬膳
ここからは、ハマグリを用いたおすすめの漢方薬膳の作り方を紹介します。
「ハマグリの当帰(トウキ)入りブイヤベース」には、血行を良くするとされている当帰とサフランが入っています。クセのないさっぱりとした味わいと香りが魅力の薬膳です。
「ハマグリの当帰入りブイヤベース」
ハマグリの当帰入りブイヤベースの材料(2人分)は、次の通りです。
・ハマグリ…6個
・当帰…5グラム
・サフラン…20本
・鶏ガラスープ…カップ2
・タマネギ…1/2個
・ニンニク…1かけ
・トマト…大1個
・白身魚…2切れ
・生ガキ…10個
・ホタテ貝柱…6個
・サラダ油…大さじ2
・白ワイン…大さじ2
・ブーケガルニ(香草の束)…1組
・タイム・塩・こしょう…各適量
作り方
1.ハマグリは事前に砂を吐かせておきましょう。
2.当帰はカップ2の水で、1/2の量になるまで煎じておきます。鶏ガラスープを水カップ2と合わせておきましょう。
3.タマネギとニンニクをみじん切りにします。
4.トマトは皮を湯むきして、2センチ角にします。
5.白身魚は一口大に切ります。
6.生ガキは洗い、ざるで水気を切っておきましょう。
7.ホタテ貝柱は横2つに切ります。
8.鍋でサラダ油を熱し、タマネギ・ニンニク・トマトを炒めます。そこに当帰・水・鶏ガラスープで作ったスープを注ぎましょう。煮立ったら魚介類とブーケガルニを加えて、強火で煮ます。あくが浮いてきたらすくいましょう。あくを除きつつ中火にして、10分ほど煮ます。
9.最後に白ワイン・タイム・塩・こしょうそれぞれを少々加えます。サフランを入れたら4~5分煮込み、火を止めたら完成です。
女性にも良い働き
ハマグリの薬膳としての働きや、ハマグリを使った漢方薬膳のレシピなどをご紹介しました。
ハマグリは、二日酔いだけでなく女性にもおすすめな食材です。漢方としての働きを取り入れることで、健康促進に役立つはずです。体をあたためながら、無理なくやさしい症状改善が期待できるのもうれしいポイントではないでしょうか?
二日酔いで気分が悪いときは、ハマグリを食事に取り入れてみてください。
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)