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「米屋の“とらや”になりたい」隅田屋商店【後編】

連載企画:お米ライターが行く!

「米屋の“とらや”になりたい」隅田屋商店【後編】

最終更新日:2018年11月07日

東京・浅草のお米屋「隅田屋商店」は、北海道大納言小豆をとらやが加工すると「とらやの羊羹」になるように、独自の精米の仕方で「隅田屋商店のお米」を販売しています。その手法は、ゆっくり時間をかけて玄米の皮を剥いていく「古式精米」。薄皮を残すことでお米が黄みがかって仕上がります。でも、お米は白いほど良いと思っていませんか?私たちは無意識に白いお米を選びがちです。それはどうしてなのでしょうか?

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お米は白いほうがいい?

左が一般的なお米、右が隅田屋商店のお米。色の違いに注目

スーパーのお米売り場で米粒を見たとき、真っ白いお米と、黄みがかったお米。どちらを選びますか?

多くの方が真っ白いお米を選ぶのではないでしょうか。

隅田屋商店のお米は黄みがかっています。それは、古いからではなく、薄皮を残した、いわゆる「古式精米」で仕上げているからです。

ところで、私たちはなぜお米は白いほうがいいと感じるのでしょうか。

隅田屋商店代表の片山真一(かたやま・しんいち)さんが答えてくれました。「明治時代以前の精米技術は今ほど高くなく、お米を白くすることが難しかったため、当時の人たちには『白ければ白いほどおいしい』『精米技術が良いと白くておいしい』 という価値観がありました。要するに、現在のような精米機がないころから『白米はおいしい』『銀シャリ』『炊きたて』『白い』『つやつや』と“おいしいお米のイメージ”だけが残っていて、そのイメージに向けて米業界は差別化を図るためにどんどん精米技術を進歩させてお米を白くしていきました。今はそれが行きすぎてしまったのです」

稲に詳しい農学者の佐藤洋一郎さんによると、「江戸時代は、精白(精米)の技術がなかったため、籾を外してから玄米を搗くのではなく、籾をそのまま臼で搗いていました」。そのため、精米できているところとできていないところとで、お米がまだらになっていたそう。「精米機の実用化は地域によって違って、江戸では元禄時代あたりから白米になったのかもしれません。白米だけのご飯を多くの日本人が食べるようになったのは昭和30年以降でしょうね」(佐藤さん)。

さらに、1995年の食管法廃止(※国がお米の生産・流通・消費を管理する食糧管理法が廃止されたことでお米販売の多様化が進んだ)をきっかけに、相対販売だけでなくスーパーなどの棚に陳列販売されるようにもなりました。すると、お客がお米を選ぶときの判断基準は、銘柄、産地、価格、見た目しかなくなってしまいます。「お米のことを知らなければ、誰だって白いお米のほうがいいに決まっていますよ」と片山さん。

同時にお米の白さは精米する側の都合もあると言います。「工業用精米機は一度に大量のお米を搗くため、お米ごとに合わせて圧力を微調整することができません。本当は毎回圧力を調整しながら行うべきですが、いつのまにかお米は工業製品になってしまいました。やわらかいお米は皮を剥きにくく、硬いお米は剥きやすい。うまく剥けていないとクレームにつながるため、一番やわらかいお米を基準に圧力を調整する。すると、お米がどんどん白くなってしまうのです」

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