「かながわブランド」と県の取り組み
かながわブランドとは、神奈川県内で生産される産品の優位性を保つために発足した制度です。登録のためには細かな要件を満たす必要があり、2016年4月時点では、野菜や豆類、米、果実、畜産物や水産物など、幅広い分野から57品目90品の生産物が登録されています。
県はニーズに応じて、かながわブランド登録品の流通販売支援やPR支援も行っており、県民への認知度アップや消費拡大、多彩な産地づくりのための取り組みを実施しています。また、かながわブランドをはじめとした県産品を積極的に取り扱う店である「かながわブランドサポート店」の登録制度も作られています。ここからは、神奈川県の代表的な生産物をみていきましょう。
三浦のだいこん
三浦市と横須賀市で生産される「三浦のだいこん」。かながわブランド登録品です。冬でも温暖な気候で、ダイコン作りに適した土壌が広がる三浦半島や横須賀市で、有機質肥料をメインに育てられています。
かつては白首の「三浦ダイコン」が主流でしたが、昭和50年代の終わりに青首大根への転換が進み、現在では小〜中型の根の上部が淡緑色の青首ダイコンが主流となっています。
三浦だいこんは、辛み・甘みが強く、水分も多い点が特徴です。生食から煮物まで、幅広く利用することができます。また、切り干しダイコンや割干しダイコンといった加工品としても販売されています。
ブドウ
伊勢原市で生産される「伊勢原ブドウ」と、厚木市で生産される「厚木のぶどう」があり、共にかながわブランド登録品です。
神奈川県のブドウは、糖度、鮮度がどちらも高いという特徴があります。また鮮度保持が困難で、入手が難しいといわれている赤色の大粒ブドウも生産しています。
栽培品種の主流としては、「巨峰」「デラウェア」「藤稔(ふじみのり)」「紅伊豆」などがあげられます。7月下旬から9月下旬にかけて収穫されます。
うでピー(落花生)
秦野市で生産される落花生のうでピー。日本の落花生の栽培は、神奈川県の大磯町がはじまりとされています。また、秦野盆地は落花生栽培に適した土壌が広がっており、秦野の落花生は品種改良を重ねた独特の風味で、その伝統的な味わいで親しまれています。かながわブランド登録品です。
足柄牛(あしがらぎゅう)
足柄上郡大井町・山北町・中井町・秦野町・小田原市で生産されている足柄牛。豊かな自然環境で育まれており、かながわブランド登録品です。
特に育成前期には「足柄茶」の粉末が与えられており、健康的に育てられているという特徴があります。ステーキやしゃぶしゃぶ、すき焼きや焼肉など、バリエーション豊かな肉料理で食べられます。
湘南しらす
相模湾の沿岸域(横須賀市長井~中郡大磯町)で獲れる湘南しらす。湘南の生しらすは、新かながわ名産100選にも選ばれています。収穫日にのみ味わえる貴重品です。
また、相模湾でとれたシラスをその日のうちに釜茹でし、天日干しした「シラス干し」は、添加物が塩分のみの自然食品です。
湘南しらすは総菜としてそのまま食べてもおいしいです。大根おろしと良く合います。また、シラス干しやたたみイワシ、釜揚げシラスといった加工品としても販売されています。
3月11日から12月31日にかけて収穫されますが、生産状況を見てみると資源的な理由から、生産量には変動があります。
ワカメ
横須賀市・三浦市・鎌倉市で生産されるワカメは、かながわブランド登録品です。三浦半島一帯のワカメは葉が薄く、柔らかいです。また、風味豊かな味わいが特徴的でもあります。
特に漁協の直売所などで入手できる生ワカメは磯の風味豊かで格別な味わいを持ち、しゃぶしゃぶや刺身への使用に適しています。また、乾燥ワカメや塩蔵ワカメ、湯がきワカメといった加工品としても販売されています。
ここまで、神奈川県の主な生産品についてみてきました。自然環境も整っており、幅広い分野の生産品が親しまれている神奈川県。
かながわブランドの高い品質も注目されているため、気になる方はブランド取扱い店やホームページなどをチェックしてみてはいかがでしょうか。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)