薬膳の観点からみたニンジン
薬膳の世界でニンジンは、五気は平、五味は甘、辛の食べ物です。中国の名称である漢名は「胡蘿蔔(コラフク)」といいます。
ニンジンは、消化を助け、胃腸を補う働きがあります。胃腸が疲れていると感じるときや、食欲が出ないとき、お腹の調子を整えるときなどに食べると良いとされています。
薬膳の世界では、ニンジンは滋養に良いとされ、体力を補う為の食材として、重宝されてきました。体力が無い人や、お年寄りや虚弱体質な子どもへの食材として取り入れることがおすすめです。ニンジンのほんのりとした自然な甘みを生かした調理法にするのが、その甘さを生かすことができるでしょう。
ニンジンを料理にとりいれる時のポイント
ニンジンの主な栄養成分であるβ-カロテンは、ビタミンAの素となる栄養素です。
ただし注意したいのは、大量の酢と一緒にニンジンを食べること。酢がβカロテンを分解してしまうため、気をつけてとりいれましょう。
β-カロテンは、目に良い働きがあると期待されます。パソコンやスマートフォンの操作などで、目を酷使している現代人には欠かせない栄養素です。βカロテンは油に溶ける性質があるため、油で炒めた料理にして食べると、吸収が良くなります。
ニンジンを使った薬膳料理
β-カロテンを効率良く摂取するためには、脂に溶けやすい性質を利用すると良いでしょう。たとえば、豚レバーとニンジンを一緒に炒めることで、βカロテンの吸収率がアップするのでおすすめです。また滋養に良いとされるニンニクを使ったニンジンの炒め物も、おいしくβカロテンを摂取できるので作り方を紹介します。
元気回復、ニンジンの炒め物レシピ
材料(2人分)
・ニンジン 1/2本(短冊切り)
・レンコン 4センチ(いちょう切り)
・ホウレンソウ 2~3株(ざく切り)
・キクラゲ 5グラム(もどして切る)
・ニンニク 小1かけ(みじん切り)
・サラダ油 大さじ2
・酒 少々
合わせ調味料A
・鶏のスープ 1/2カップ
・しょうゆ 小さじ1
・砂糖 小さじ1
・ゴマ油 小さじ1
・塩コショウ 少々
・葛粉 小さじ1
作り方
1.材料の野菜をそれぞれ切っておきます。
2.合わせ調味料Aを混ぜます。
3.サラダ油を入れてフライパンまたは鍋を熱します。1度火を止めてからニンニクを入れ、香りが出るまで炒めます。
4.強火でホウレンソウ以外の野菜を入れて炒めます。
5.ある程度野菜に火が通ったらホウレンソウを入れ、酒を入れます。
6.2の調味料を入れて沸騰させ、2~3回かき混ぜて器に盛ります。
ニンジンは炒めるだけでなく、生でもおいしく食べられます。むくみや体がだるいときのメニューにも、率先してとりいれてみてください。老若男女問わず健康維持や胃腸のケアにおすすめなニンジンは、赤ちゃんの離乳食にも用いることができる食材です。比較的安価で手に入れやすいので、常備野菜として台所にストックしておきましょう。
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)