薬膳の観点から見た鶏肉
薬膳の世界で鶏肉は、五気は温、五味は甘の食べ物です。
滋養のある鶏肉は昔から、病後食に適した食材として重宝されていました。やせていて、体力がない方に最適とされ、胃腸が弱い方や、お腹が弱い方にもおすすめの食材です。
病後の栄養補給や、食欲が無いときに
病気が続き長く寝込んでいたり、安静を強いられたりすると、誰もがストレスを感じるはずです。病気によって減退するのは、体力だけではありません。
そんなときに、薬膳では鶏肉が良いと考えられています。鶏肉を食べて栄養補給したり、お腹を温めることで食欲を増進させる働きがあり気力も補うとされています。
また、お腹が温まることで胃腸の働きを助けて、喉の渇きなどの改善も期待できます。
産後の栄養補給に
鶏肉は産後の体力を戻したいときにも適しているといわれています。鶏肉は栄養を補ったり、体を温めたりする作用が期待できることから、女性にうれしい効果があるとされています。
そして、胃腸の冷えには砂肝が良い効果があるとされて用いられてきました。
注意しておきたい点
鶏肉はアレルギー反応を起こす場合があります。卵アレルギーを持っている方など、鶏肉の摂取量が多くならないよう気をつけてください。
鶏肉の薬膳的利用法
薬膳食材として鶏肉が優れていることを紹介していますが、生薬と合わせることで、効果をあげることができます。
体力低下やお腹が弱い方に
鶏の骨つきもも肉に、高麗ニンジンとショウガ、ニンニクを混ぜたおかゆがおすすめです。
健康促進や産後・病後の疲労に
干したナツメと当帰(とうき)を鶏肉と一緒に煮込んだスープが良いとされています。
女性におすすめ
鶏もも5本とゴボウ10グラムを入れてスープにします。女性に良い働きがあると言われています。
低カロリーで体力をつけたい時に
鶏ささ身と豚の赤身肉に、千切りにしたキュウリ、キクラゲを加えスープにします。カロリーをおさえながら、栄養補給することができます。
鶏肉を使った薬膳料理
漢方のスパイスと鶏ガラを使用した食養スープです。多めに作り冷凍しておけば、あらゆる料理のベースに利用できます。最近では漢方スパイスを扱うスーパーマーケットや食料品店が増えてきましたので、材料も比較的揃えやすいことでしょう。
鶏ガラスープ
材料(2人前)
・鶏ガラ 300グラム
・桂皮、当帰 各2〜3グラム
・八角、花椒、丁字 各2グラム
・玄米 1/2カップ
・ショウガ ひとかけ(皮付きのまま薄切り)
・野菜クズ 適量
・長ネギ 1本
・調味料A しょうゆ、酒 各大さじ2、塩少々
作り方
1.鶏ガラの血抜き、脂抜きのため、熱湯で2〜3分ゆでてから水洗いします。
2.深鍋いっぱいに水と1の鶏ガラを入れて強火で沸騰させる。沸騰したらアクを除き、弱火にします。
3.長ネギは適当な長さに切り、焼いて焦げ目をつけます。スパイスは布袋かガーゼに入れて口を縛ります。玄米も同様にします。
4.野菜クズと3を鍋に入れて、弱火で2時間以上煮込みます。途中でアクを除きます。
5.4のスープをこして、調味料Aで味を調えます。
漢方スパイスをふんだんに使用したスープは、そのまま温めて飲んでも、リゾットや煮物のベースにしても良いでしょう。初心者でも作りやすいレシピですので、材料が手に入るようでしたら、ぜひ挑戦してみてください。
鶏肉は比較的リーズナブルで手に入れやすい肉です。漢方スパイスを上手に使って、鶏肉で健康維持や栄養補給に使ってみましょう。
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)