薬膳の観点から見た豚肉
薬膳の世界で豚肉は、五気は平、五味は甘の食べ物です。
漢方では、人の体や機能などを「陰」と「陽」の2つに分けて考えます。「陰」は体液や血液、骨などを指し、「陽」は体の機能面を言います。豚肉は「陰」を補う食材と考えられていて、乾燥が原因となって起こる不調から胃腸の働きを改善し咳を抑えたり、肌のかさつきなどに効果的で、体の調子を整える食材として扱われています。
豚足は健康に良い効果がある
豚肉にはモモ、胸など様々な部位が販売されていますが、特に豚足は栄養補給に良いと言われています。そのため産後の女性におすすめで、足腰の弱って元気を出したい方にも最適と考えられています。
豚肉を食べるときの注意点
豚肉を食べる際に注意しておきたいのが、必ず加熱することです。豚肉の生食は厳禁。肉の内側までよく加熱して食べるようにしましょう。また、熱が高い時や、痰がからみやすい体質の人は、豚肉の食べすぎは避けたほうが良いでしょう。
豚肉の薬膳的利用法
豚肉は体の調子を整える働きがあるといわれているため、水分不足になってお腹の調子がよくない方はぜひ積極的に食べるようにしましょう。
特にお腹の調子を整えるのにおすすめなのが、豚肉のスープです。用意するものは、角切りにした豚ロースと、サラダ油、チンゲンサイと塩少々。
素揚げした豚ロースと、強火でサラダ油で炒めたチンゲンサイをおかゆに入れます。30分程煮込み、塩で味を整えるだけ。簡単にできるので、試してみてください。
栄養補給や、健康維持には豚肉スープ
体力不足だけど健康維持を考えている方は、豚肉のスープをアレンジするのもおすすめします。
用意するものは、豚肉250グラムとハスの実50グラム、ほぐしたユリ根1個(約100グラム)。
これらの食材をあわせてスープを作り、塩やしょうゆなどお好みで整えるだけ。和洋中どんなメニューにもアレンジできるのではないでしょうか。柔らかく煮込んだスープが、体を温めて潤いを届けてくれるでしょう。
豚肉を使った薬膳料理
中華料理を代表する定番料理・酢豚は、実は立派な漢方薬膳料理です。健康維持に欠かせない、豚肉のビタミンB1を効率的に摂取することができます。さっぱりと口当たりの良い甘酢も食欲をそそるでしょう。
酢豚
材料と下ごしらえ(2人前)
・豚肉の赤身かたまり 200グラム
調味料A
・ショウガ汁、酒 少々
・卵白 1個分
・しょうゆ、水 各大さじ1
・葛粉 大さじ3
・タマネギ 1個(乱切り)
・ニンジン 1本(乱切り)
・キュウリ 2本(乱切り)
・ピーマン 3個(乱切り)
・パイナップル 2枚分(乱切り、缶詰でも可)
甘酢
・黒酢 大さじ3
・水 大さじ2
・三温糖 大さじ1
・トマトケチャップ 大さじ1
・しょうゆ、陳皮(ちんぴ) 各小さじ1
・刻みニンニク、ゴマ油各小さじ 1/2
・葛粉 小さじ2
・ウスターソース 小さじ1
作り方
1.豚肉を1.5センチ角に切り、包丁のみねで叩きます。
2.Aと甘酢の材料をそれぞれ混ぜ合わせておきます。
3.Aを豚肉にからめ、10分程経ったら葛粉をまぶします。
4.揚げ油を中華鍋で約170度に熱し、豚肉を1〜2分間揚げて、ざるにとります。
5.続けて、パイナップル以外の野菜を、タマネギ、ニンジン、キュウリ、ピーマンの順で油通しします。
6.揚げ油を別の容器に移し、4の豚肉と5の野菜、パイナップルを炒めてから甘酢を加えて、さっと混ぜ合わせます。
子どもやお年寄りが食べるときは、豚肉や野菜を小さめにカットしてあげると食べやすくなります。マイルドな酸味の甘酢ソースが食欲を刺激します。
豚肉はニンニクやショウガなどの生薬とも相性が良く、煮たり焼いたりしてもおいしく食べることができます。健康を維持するためにも、豚肉料理を食生活の中に賢く取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)