ヘルシー食品の代表! 豆腐と納豆
豆腐の体内における熱寒性を表す生薬の薬性「五気」は、「涼」となっています。また、生薬の味である「五味」のなかでは、「甘」を持つ食材です。一方納豆の「五気」は「微温」で、「五味」は豆腐と同じく「甘」です。
どちらもダイズを原料としており、ヘルシー食品のなかでも代表的な豆腐と納豆。ダイズと同等の栄養機能を持ちながらも消化吸収にも優れているため、胃腸が弱い人におすすめです。
豆腐は、ダイズを煮潰して作った豆乳に、にがりを加えたものです。ダイズよりも炭水化物の栄養素は劣るものの、たんぱく質・脂質のどちらの栄養素も消化されやすくなっているので、別名「畑の肉」とも呼ばれています。健康食・ダイエット食品としても欧米でブームとなりました。
納豆は、ダイズを煮冷ましたものに納豆菌を植え付け、発酵させたものです。こちらもたんぱく質が消化されやすい形になっていて、さらにさまざまな酵素が付加されていることで、優れた栄養を持つ食品となっています。
豆腐と納豆の歴史
日本には奈良時代に伝わったとされている豆腐。中国では漢時代に発明されたと言われているため、約2,000年もの歴史がある食材です。
また、納豆は中国から日本へ伝わりました。しかし伝わった納豆は「塩辛納豆」と呼ばれているもので、糸を引くタイプは日本独特の納豆です。
豆腐と納豆のパワー
一般的に、豆腐も納豆も黄ダイズが使われています。食品としての働きは黄ダイズとほとんど同じと言えます。まず豆腐の働きとしては、次のようなことが挙げられます。
・胃腸の不調の緩和
・喉を潤す
・便通を良くする
・目の充血や口の渇きの改善
一方納豆には、次のような働きがあります。
・胃腸の調子を整える
・食欲促進
お腹の不調を繰り返すタイプの人におすすめする食材です。
豆腐と納豆の主な利用法
まず、豆腐の食べ方としては、「湯豆腐にする」「冷奴にする」といったことが挙げられます。
湯豆腐にする
湯豆腐を酢醤油にして食べると、下痢の症状を和らげる働きがあります。温かく、胃腸にもやさしい食べ物です。
冷奴にする
ミョウガやシソ、ゴマ、ネギなどの薬味と合わせて食べるのが定番の食べ方です。特に食欲がない夏場などにも食べやすく、食欲を促進させる作用があります。
また、納豆の利用法としては、「常食する」「スープやおかゆにする」などの食べ方がおすすめです。
常食する
納豆を常食することで、胃腸の働きを助けます。継続して常食することで、下痢や便秘の改善にも期待できます。
スープやおかゆにする
納豆の一種である「浜納豆」は、長ネギと合わせてスープにすることがおすすめです。また、おかゆにして食べても良いでしょう。発汗することで新陳代謝が上がり症状を緩和させる働きが期待できます。
豆腐を使った台所漢方
ここからは、豆腐を使用するおすすめの漢方レシピを紹介します。
「本格派麻婆豆腐」は、豆腐の「畑の肉」としての長所を特に引き出してくれるメニューです。材料と合わせ調味料を用意して、さっそく作ってみてはいかがでしょうか。
「本格派麻婆豆腐」
本格派麻婆豆腐の材料(2人分)は、次の通りです。
・もめん豆腐…1丁
・サラダ油…大さじ1と1/2
・刻みニンニク・ショウガ…各5グラム
・刻み長ネギ…10グラム
・刻みニラ・干しシイタケ(もどしてからみじん切りにしたもの)…各大さじ2
・豚ひき肉…100g
・豆鼓(トウチ)または細かく刻んだ大徳寺納豆…小さじ少々
・赤トウガラシ(小口切り)…1本分
・A…みりん小さじ1と1/2・しょうゆ大さじ1/2・酒小さじ1
・B…鶏ガラスープ カップ1/2・八丁みそ大さじ1/2・豆板醤小さじ1
・くず粉…小さじ1
・ゴマ油…小さじ1/2
作り方
1.豆腐は熱湯に通し、軽く重しをかけて水を切ります。2センチ角ほどのさいの目かひし形に切りましょう。
2.中華鍋にサラダ油を注いで熱し、一度火を止めます。刻みニンニク・ショウガ・ねぎを炒めて、香りが出てきたら火をつけましょう。刻みシイタケ・ニラ・豚ひき肉・豆鼓・赤トウガラシを加えて炒め、Aをさっと加えて調味します。
3.さらに豆腐とBを加えて炒めます。鍋を上下に大きく返すようにして混ぜ入れましょう。
4.中火で約1分煮ます。水溶きくず粉を回し入れ、とろみがついたらゴマ油を入れて軽く混ぜます。
5.深めの器に移せば完成です。
胃腸の調子を整えるのに最適
豆腐と納豆の薬膳としての働きや、豆腐を使った漢方薬膳レシピなどを紹介してきました。
豆腐や納豆はそのまま食べるだけでなく、バリエーション豊かに味わうことができる食材で、常食しやすいという特徴があります。
ダイズと比較しても消化吸収に優れているため、胃腸が弱い人でも安心して毎日食べることができます。便秘や下痢に悩みやすい人は1日1食には必ず取り入れてみるなど、意識してみてはいかがでしょうか。
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)