古い文献に薬として登場するダイズ
ダイズの漢名は「大豆(ダイズ)」で、体内における熱寒性を表す生薬の薬性「五気」は「平」となっています。また、生薬の味である「五味」のなかでは、「甘」を持つ食材です。
日本でも古くから親しまれているダイズ。「正倉院文書」には、僧侶が足の病を患った際に、ダイズを薬として下賜してほしいと書き付けた記録が残っています。
ダイズには黄ダイズと黒ダイズがありますが、特に幅広い働きを持つのが黒大豆です。そのため、常食したり漢方薬膳に使ったりするダイズとしては、黒ダイズが推奨されています。
ダイズの薬効と作用
黄ダイズ・黒ダイズともに、補腎・利尿作用を持ちます。むくみ改善につながるため、腎臓が弱い人やむくみやすい人に効果的です。また、寝汗をかきがちな人、疲れやすい人にもおすすめです。
血流促進効果もあるため、産後の女性の体力回復や生理不順の改善につながることもあります。また湿疹や出来物の改善にも効果があったという例もあります。
補腎作用があるため、体力のない人やお年寄りも積極的に食べることが推奨されています。そのため、ダイズはできるだけ柔らかくなるよう煮てから食べることがおすすめです。また、煮汁を飲むだけでも効果があります。
現代栄養学でもダイズは高く評価されており、特にコレステロールを除く作用がある成分が注目されています。ダイズの脂質の多くは「リノール酸」や「レシチン」「サポニン」が占めており、これらにコレステロールを除く働きがあるとされているのです。(常食する場合は、主治医に相談した上でタイミングや量などを調整することをおすすめします)
ダイズを食べる際の注意点
ダイズを食べる際は、どんなことに注意すべきなのでしょうか?ダイズはアレルギーの抗原となっていることがあるため、人によっては注意が必要です。アトピー性皮膚炎や喘息持ちの方は、食品成分など特に注意するよう心がけましょう。
ダイズの主な利用法
ダイズの利用法としては、煎じて服用したり、酢や酒に漬けたりするといったことが挙げられます。
煎じて服用する
黒ダイズの皮9グラムと、コムギのフスマ9グラムを水カップ2で煎じます。服用することで、疲労回復や寝汗改善に効果があります。
ダイズを使った漢方薬膳
ここからは、ダイズを用いたおすすめの漢方薬膳の作り方をご紹介します。黒ダイズと同様の働きを持つ枸杞子を加えたサラダは、実年・熟年世代の活力アップに効果的です。
「黒ダイズと枸杞子(クコシ)のサラダ」
黒ダイズと枸杞子(クコシ)のサラダの材料(2人分)は、次の通りです。
・黒ダイズ…カップ1/2
・枸杞子…大さじ1
・赤ワインまたは酒…大さじ1
・糸寒天…5本
・タマネギ…1/2個
・紫タマネギ・レタス…適量
・ドレッシング…紅花油カップ1/4・レモン汁1/2個分・おろしタマネギ大さじ2・ワイン大さじ2・塩・こしょう各少々
作り方
1.黒ダイズはカップ1の水に一晩浸したものを使用します。水ごと鍋に入れ、最初は強火で煮ます。あとは弱火で水を少量足して、30分ほど煮ます。柔らかくなったら10分おき、水を切って冷ましましょう。
2.枸杞子をさっと洗い、赤ワインに30分ほど浸します。軽く煮てから冷ましましょう。
3.糸寒天をぬるま湯でもどしたら、3~4センチの長さにカットします。
4.野菜類を切り、皿へ敷きます。
5.皿に糸寒天と黒ダイズを盛り、枸杞子を散らします。ドレッシングに枸杞子を浸した際のワインを加えてかけたら完成です。
作り置きには黒ダイズの甘酢漬けを
黒ダイズの甘酢漬けは作り置きできるおすすめの調理方法です。
黒ダイズを多めに煮て、玄米酢カップ1、ハチミツ大さじ1、しょうゆ少々を加えて瓶に入れて冷蔵庫で保存します。別の瓶に、水洗いして水を切った枸杞子を赤ワインか酒に漬けたものを入れて保存します。黒ダイズを食べる際に、枸杞子のワイン漬けを散らせば完成です。
さまざまな悩みのある方にもおすすめ!
ダイズの薬膳としてのパワーや、ダイズを使った漢方薬膳のレシピなどをご紹介してきました。
節々の痛みや筋肉痛、女性特有の体の不調などにも効果的なダイズ。漢方薬膳のレシピも豊富なため、日々の食事や習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)