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放棄地を活用した地域貢献 農作物を化粧品に活かす(3/3)

放棄地を活用した地域貢献 農作物を化粧品に活かす

一般社団法人JCC(ジャパン・コスメティックセンター)は、美容・健康産業による地域経済の活性化を目的に、2013年に佐賀県唐津市に設立された産学官の連携組織です。最近では、耕されなくなった放棄地から、ミカンの花を摘み取り、植物エキスを抽出しています。化粧品原料を生み出し、農家の新しい収入の形を目指す取り組みが注目を集めています。JCCチーフコーディネーターの小田切 裕倫(おだぎりひろつぐ)さんに話をうかがいました。

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ネットワークが農業のリスクを軽くし、地域の力にすることもできる

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『ネロリラ ボタニカ』の原料となった花々は、10反ほどの放棄地から採取されたものです。

「花を摘むことで果実の収穫がなくなり、人が出入りすることで鳥獣対策にもなります。そしてこの摘み取り作業は、アクティブシニアや時間を限定して働きたい女性たちや障害のある方々に関わっていただくことにより、地域振興、福祉としても成立しました。また、放棄地のあるエリアへの収入や、メディアによる活動の発信などが地域の活力になったことは間違いありません」。

こういった取組みは安定供給、大量生産を確約できるわけではないので、「一般的な大企業向けではない」と小田切さん。その年ごとの生産物の個性を理解してもらえる企業と地域が、共に自然と向き合い、長期的な信頼関係を築いているようです。

「農業が、経営を行う上でハイリスクと捉えられているままだと、ますます新規就農者が減っていくでしょう。それを防ぐには収入の安定を図っていくことが大事です。全国の仲間と繋がり、コミュニティで助け合う。これからの農業では、もっとビジネス面を考えた繋がりの意味が強くなっていくと思っています。

最近は宅配サービスも充実して、インターネットを使った販売方法もあります。モノを作ることだけで評価された時代から、農作物や商品の魅力を表現して伝えることが大切になってきています」。

多くの農作物で、可食部分よりも茎や葉のほうが美容成分に富み、化粧品の原料に適しているとされます。この点も、通常利用していない部位の有効活用の一つの理由になります。農作物に含まれる美容成分の効果が実証されて、さらに栽培地域の独自性やストーリー性が加われば、なおさら貴重な原料になることでしょう。化粧品と農業は、今後もっと密接に繋がっていくことでしょう。

一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター

参考
※1 総務省統計局

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