自分の代で火を消したくない 経営継承とは
農業における経営継承とは、後継者を探している農家と、これから就農を希望する人をマッチングすることで、農業経営を途絶えさせないようにする方法です。農家の高齢化が進み跡継ぎが問題となっている中、国も経営継承を支援しています。
全国新規就農支援相談センターでは、農林水産省の補助事業として「農業経営継承事業」を運営。後継者がいないため今後5年以内に経営を中断する意向の農家と、まだ農業を営んでいない原則45歳未満の人を対象に、両者のマッチングを支援しています。
マッチングが成立し、経営が継承されるまでには(1)作物や作付地域などお互いの希望を1~6週間程度ですり合わせ(2)合意の上でノウハウを引き継ぐ研修を最長2年実施(3)自治体やJAなどの関係機関をメンバーとした支援チームによる専門的な助言を受けながら、お互いの納得する条件を盛り込んだ経営継承合意書を締結、という流れを経る必要があります。(2)の研修費用については、年間最大120万円を国が助成します。
継承者を探している人にはどこで会える?
後継者を探している農家の情報などはどうやって探せばよいのでしょうか。
たとえば、NPO法人などが開設するオンラインサロンを活用してみるのも一つの手です。有料会員サイトでは、農業に関心のある人たちが農業ビジネスについてインターネット上で情報交換できるほか、定期的に開催される会員限定イベントに参加できることがあります。
また、地元の経済団体などが農業振興に特化したイベントを無料で行っているケースもあります。後継者不足など農家の悩み相談を受け付けるイベントに参加すれば、実際に会って話を聞くことができそうです。
その他、「全国新規就農センター」のホームページにも、「移譲希望農家リスト」(※1)が掲載してあります。こうした自治体や団体のホームページなどをこまめにチェックするのもよいでしょう。
経営継承をスムーズにするために
経営継承をスムーズに進めるためには、いくつかのコツがあります。
経営移譲を考えている農家は、高額な価値のある資産を第三者に譲ることになります。つまり、経営を受け継ぐ側は、研修中から雇用契約を結ぶなどして確かな関係を築き、早い段階から経営状況を開示してもらえるよう信頼を獲得することが大切です。
そして、なによりも資産取得のための資金を準備することが必須です。事前のすり合わせで適正金額を見極め、研修中も金銭面などの待遇について納得がいくまで協議します。一方で、移譲してくれる農家がこれまで培ってきた栽培方法や経営手法を、敬意をもって理解するように心がけましょう。
以上、経営継承についてご紹介しました。経営継承には単に農家の土地だけではなく、その土地に合った栽培ノウハウや販売ルート、移譲元が長年続けてきたことで得た信頼なども受け継ぐことができるなど多くのメリットがあります。新規就農を考えている方は、方法の一つとしてぜひ検討してみてください。
上記の情報は2018年3月20日現在のものです。