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「おむすび権米衛」のおむすびが大きいワケ【前編】

柏木 智帆

ライター:

連載企画:お米ライターが行く!

「おむすび権米衛」のおむすびが大きいワケ【前編】

首都圏を中心に国内43店舗、海外3店舗を展開するおむすび店「おむすび権米衛」は、契約農家直送のお米を店内で炊き上げ1つ1つ手でむすんでいます。その大きさは具も含めて140グラムとコンビニおむすびの1.5倍。この大きさにも象徴されるように、目指すは一貫してお米の消費拡大。立ち上げ当初から農家が再生産可能な一定価格でお米を買い取るなど、生産現場の下支えにも貢献しています。パンやパスタといった輸入小麦による主食の多様化が進むなか、お米の消費を増やして田んぼを守るという強い信念を持っておむすびの販売を拡大し続けています。

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サウジで日本の食糧自給率の低さに愕然

おむすび権米衛を運営している「株式会社イワイ」の岩井健次(いわい・けんじ)社長は、大学卒業後は飲食業界とは畑違いの仕事をしていました。子どものころから「食糧」「エネルギー」「平和と安全」のいずれかの分野で「国のためになる仕事」に就くよう父親から言われ続け、選んだのは「エネルギー」分野。大手総合商社・住友商事に入社して、石油産出国であるサウジアラビアとの取引を担当しました。

「お米の消費を増やして田んぼを守る」という強い信念の下、おむすび権米衛は生まれた

そして、現地で日本とサウジアラビアの食糧自給率がほぼ同じことを知った岩井社長。緑豊かな日本と、砂漠だらけのサウジアラビア。石油危機を体験したからこそ、今後日本で起こり得る食糧危機に対して強い危機感を覚えました。食糧の自給は、すなわち国防。パンやパスタといった輸入小麦による主食の多様化が進むなか、日本人の主食であるお米の消費を増やして農地を守ろうと起業を決意しました。

住友商事を退職した岩井社長は、ガスの充填供給の仕事で1日20時間働き、起業のための資金を貯めました。しかし、飲食店経営の経験もノウハウもありません。そこで、世界をまたにかけるサンドイッチチェーンで勉強しようと、「サブウェイ」とフランチャイズ契約を結び、都内で4店舗を経営。そして、1999年12月、東京・大崎におむすび権米衛1号店をオープンしました。

それからは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県と、首都圏を中心に商業施設や駅構内などで店舗を拡大。2018年2月現在で国内だけでも43店舗を経営しています。

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