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「野菜を全部買って農家を守れ!」リスクを取って発展する地域農業のカタチ

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

「野菜を全部買って農家を守れ!」リスクを取って発展する地域農業のカタチ

イタリア料理などで使う珍しい野菜を栽培し、注目を集めるさいたまヨーロッパ野菜研究会。今でこそ売り先のレストランが1200軒に達し、都市近郊農業の新たなあり方として存在感を示しているが、見たこともない野菜を作り始めた当初は試行錯誤の連続だった。成長を可能にしたのは、若い農家たちを支えるサポーターの尽力だ。

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「農家は役所を信頼しない」から始まった

さいたまヨーロッパ野菜研究会(以下「ヨロ研」)は、発足が2013年。13人の農家を中心に卸会社やレストラン、種苗会社が連携するためのチームで、市の外郭団体のさいたま市産業創造財団が事務局を務めている。
ヨロ研が扱う野菜は、イタリア料理やフランス料理などで使われているが、日本にはまだあまり定着していない野菜が中心。細長いロングパプリカや断面が星形のオクラ、赤や金色のカブ、真っ白いナスなど。ズッキーニやケールのようにすでになじみのある野菜も含む。
躍進の背景には、何人かのキーパーソンがいる。その一人が、さいたま市産業創造財団の福田裕子(ふくだ・ゆうこ)さんだ。中小企業に経営についてアドバイスするのが仕事で、地元の農産物を使って飲食店をサポートできないかと考えていた。イタリア料理店を運営するノースコーポレーション(さいたま市)の社長で、以前から知り合いだった北康信(きた・やすのぶ)さんに相談すると、答えは「地元でイタリア野菜を作ってほしい」だった。

さいたま市産業創造財団の福田裕子さん

この提案には、大胆な発想の飛躍がある。ふつうの地域興しなら「地元の隠れたおいしい野菜」の発掘などを考えそうなところだろう。だが、本格的なイタリア料理を目指す北さんの要望は「地元にない野菜」を使うことだった。
北さんの提案を受け、福田さんはレストランと農家がともに参加するチームを作ることを思いついた。新しい野菜を作り、メニューに取り入れるには両者が直接連携することが不可欠と考えたからだ。
キックオフは2013年1月。市内のホテルに農家を集め、北さんらが輸入物のヨーロッパ野菜を使い、どんな料理を作れるのかを説明した。だが珍しい野菜を見て盛り上がるかと思いきや、一部の農家は浮かない表情を見せた。

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