「いつか農業を」
夫婦で移住し夢を実現
車いすでも農業はできる
病に負けずブドウ農園を開設
病に負けずブドウ農園を開設
Q1.農業を始めたきっかけは何ですか?
夫婦の共通の趣味がスキーで、シーズン中は隔週で出かける程でした。一層のことスキー場の近くに住みたい! と移住を考えるようになり、移住後の収入源として農家になろうと思いました。退職後では何年も経験を積めないので早く始めたいと思い、夫婦で早期退職をして移住&就農することにしました。
友人の多くが都内にいるので、東京からのアクセスが良くてスキーができる場所として、山梨県の勝沼、長野県の須坂、群馬県の沼田をメインに検討しました。移住セミナー、宿泊体験、組合行事への参加、また夏の暑さや冬の寒さを実感するために季節ごとに出かけたりもしました。1年以上かけて検討して最終的に沼田市に決めたのですが、研修先や自宅などが決まった矢先に脊髄の髄内腫瘍が見つかり、8カ月半も入院をすることになってしまったんです。その後も車いす生活になってしまい、農業を諦めようかと夫婦で悩みましたが、何かの縁だと思い、就農を決意しました。
Q2.作物はどうやって決めましたか?
沼田市の果物は市場出荷はほとんどなく、観光農園が主流です。そのため、観光農園に来て楽しんでいただけるものとして、子供からお年寄りまで手軽に食べられるブドウを選びました。垣根仕立ての「マンズレインカット栽培」という手法のため、ブドウが腰の位置にあり、車いすでも農作業ができます。
Q3.土地はどうやって決めましたか?
土地は2つあり、1つは研修先の農家から引き継ぎました。もう1つは、市役所やJAに探してもらい農地中間管理機構から借りています。
Q4.師匠は誰ですか? どうやって修業しましたか?
地域の先輩農家さんです。「農業次世代人材投資事業」という制度を用いて、1年4カ月指導を受けました。
Q5.助けになっている存在は?
近隣の農家さん達。観光農園が密集しているので、農作業で顔を合わせた時に声をかけて、アドバイスをもらったりしています。今年は天候不順だったので、農薬散布や摘粒等を開始するタイミングなど聞きながら参考にさせていただきました。
Q6.農業をやっていて良かったことは? 逆に良くなかったこととは?
自分たちが作ったブドウを直接販売でき、お客様の感想を聞ける事。良くない点は初期投資が思いのほかかかったこと。開墾したり、砂利道の整備やトイレの設置など、予想以上にお金がかかりました。
Q7.「農業女子あるある」といえることは?
主人よりも決断が早いこと。摘粒の時にどの粒を取り除くかをあまり迷わない。
Q8.おすすめアイテムを教えてください。
車いす用のスタッドレスタイヤ。冬に限らず、ブドウ園では細いタイヤだと沈んでしまうので、幅があり、凹凸が大きいタイヤだと滑らないので、お薦めです。
新規就農&移住だったので、特に始めはお金がかかりました。農業次世代人材投資事業という補助金を受けることは出来ましたが、障害者や子供に優しい農場&売店にするための整備については補助金等はないため、予想以上の出費になりました。
東京生まれ東京育ち。ご主人と「いつか2人で農業をしたい」という夢を叶えるために移住を計画。ところが就農直前で病気になり、車いす生活に。悩んだ末に2019年1月に就農し、障害者や子どもに優しいブドウ園を目指して、夫婦+猫2匹で奮闘中の農業女子です!