ホテル業界で20年「一流」の視点で高級トマトをプロデュース

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ホテル業界で20年「一流」の視点で高級トマトをプロデュース

テーマ:農業を継ぐ

Profile

榎本 房枝(えのもと・ふさえ)さん

作っているもの
働いている場所
農業女子PJ

農業を継ぐホテル業界で20年
「一流」の視点で
高級トマトをプロデュース

榎本 房枝(えのもと・ふさえ)さん

実家のトマト農園を弟と共に引き継ぎ、2013年に就農。400坪ハウス2棟を含む計約1ヘクタールの土地で色とりどりのミニトマト30種類と野菜を栽培しています。有名百貨店や複数の有名レストランといった販路開拓を可能にした緻密な戦略と粘り強い交渉力には、ドイツ料理などの料理人10年、高級ホテル・リゾートでの接客10年の経験が生かされています。

作っているもの
ミニトマト30種類を含む野菜全般(年間200種類ほど)
働いている場所
さいたま榎本農園
  • Q1ご実家の農園を継いだきっかけを教えてください。

    大玉トマトを栽培していた父が、病気で倒れたことから、公務員をしていた弟と一緒に農園を継ぎました。当時、大玉トマトは年々価格が下がっていて父は「儲からないからやめろ」と言いましたが、せっかく農園があるので「もったいないよね」と。料理の経験があったので、今のニーズに合わせたミニトマトに切り替えてレストランや高級食材を扱うところで販売できれば、うちのような栽培量が多くない小さな農家でもやっていけるのではないかという気持ちもありました。

  • Q2異業種からの就農でご苦労されたこと、それをどのように乗り越えて来られたかをお聞かせください。

    もともとは継ぐつもりのなかった農業。最初は栽培でも販売でも苦労しました。
    「最低20品種はそろえよう」と意気込んだものの、栽培はほとんど素人だったので、樹勢が極端にバラバラだったり、甘くなるはずの品種がまったく甘くならなかったり…。栽培のコツをつかむのに3年はかかりました。ミニトマトを栽培している農家をインターネットや農業女子プロジェクトなどで探して、関西や九州まで出向いては頭を下げて栽培のコツを教えてもらいました。

    また、販売も前途多難でした。父は都内にある大手の宅配専門業者と契約してトマトを全量買い取ってもらっていたのですが、病状が悪化した時点で契約を切られてしまったのです。父の闘病中も家族で栽培を続けていたのですが「お父さんとの契約なので」とにべもない対応をされたことが悔しくて、「絶対に見返してやる!」と奮起しました。

  • Q3料理とサービスの世界で得た技術や感性の中で、今のお仕事に生かされていることはありますか?

    料理人としての経験は「シェフの心を動かす野菜」を見極めることに、また、サービスの経験は「商品の価値をどのように伝えるか」ということに役立っています。色・味・触感が様々なミニトマトから「この料理にはこれとこれと、これ」というように、すぐに2~3種類は提案できます。また、ホテルで培われた人脈も大切な財産です。

    那須の高級リゾートでサービスの仕事は「一流」を知るよい経験でした。滞在されるお客様と同じ目線で話ができるように、休日のたびに東京に来ては百貨店や高級ホテルをめぐって商品や調度品を研究しました。また、ヨーロッパ20カ国の500都市を旅して各地の野菜や郷土料理、お菓子を食べ歩いた経験があったので、職場では「野菜といったら榎本に聞け」と言われて、お客様のお席に野菜や料理の説明に伺う機会にも恵まれました。「富裕層」と呼ばれる人たちが何を求め何に価値を見出してお金を払うのか、商品の価値をどう伝えたらいいかを仕事を通じて学んだことが、トマト農家として「自分のブランド」を築くのに大きく役立ったと思います。

  • Q4農業女子PJにも積極的に関わる榎本さん。どのような思いから消費者や他の農業者に情報発信しているのですか?

    ホテルのレストランやリゾートで働く中で、食材に特別なこだわりを持つ人がいる一方、お客様にもシェフにも野菜の魅力が十分に伝わっていないのでは、と思うことも多々ありました。「野菜の魅力をもっと伝えたい」という思いから、リゾートホテルで勤務していた時に野菜ソムリエの資格をとって、野菜の魅力の伝える発信方法を勉強しました。他の農業女子たちに対しては、できるだけ外に出ていろいろな情報を吸収して自ら発信していってほしいという思いがあり、そのサポートになればと活動しています。農家は昔からの考え方やしきたりが強く残る地域もあり、「なんで女性のあなたが表に出るの」と言われ、女性が意見を言うのさえ難しい場合もあります。しかし、日本の農業が変わっていくためには、内にこもるのではなくて、様々なものの見方を取り入れてチャレンジしていくことが大切。女性がもっと意見を出せる環境になればと思っています。


  • Q5農家レストランや輸出などすでに様々な取り組みをされていますが、今後の展望を教えてください。

    行政やJA、業者を通すのではなく、いち農家が輸出に取り組んで海外でも評価されたら、それがさらなるブランド力になるのではという思いから輸出にも取り組み始めました。今まで栽培が忙しく手が回っていませんでしたが、今後は加工品づくりにも取り組んでいきたいです。料理人でもあるので、農産物そのものだけでなく、食卓など最終的にお客様の目の前に提示される形の商品をプロデュースしてみたいです。

    1日のスケジュール

  • 農業女子あるある

    作業中、話し相手がいないので、作物に話かけることが多い(笑)

  • 特技

    野菜を使ったお菓子作りです。3種類のカボチャをピューレにして作るカボチャのパウンドケーキは特に自信作。

  • 必須アイテム

    トマトのぬいぐるみです。作っているのが小さなミニトマトなので、商談会や試食販売でなにを扱うブースかをアピールするのに役立ってくれています。

  • 私の癒し

    都内のホテルでのアフタヌーンティー。一人でも行きます(笑)。畑とは全く違う環境に身を置いて癒されるだけでなく、使っている紅茶の銘柄やお菓子のトレンドチェックもしています。

農家ならではのご近所トラブルがあるとき、どう対処しますか?

たとえば、堆肥が臭いとか、トラクターの土で道路が汚れるとか、あぜ道の雑草とか……

埼玉の農家 篠崎さんからのお答え

土が湿っている時にトラクターを掛けない、臭いが多少抑えられる完熟堆肥を使うなど工夫しています。

畔の除草は共同で出来れば良いけど、取り決めが無ければ自分でハンマーカッターで一気に草刈りしてしまいます(シャクだけど!)。