農業って何でもできる!
家業を継いでわかった、農業経営のおもしろさと稲作農家のかっこよさ
Profile
Q1.農業を始めたきっかけは何ですか?
稲作農家の長女として生まれ、将来は農業をやると刷り込まれてきました。農業に就くまでは好きなことをしようと、高校は普通科に進学。短大卒業後は栃木県にパートタイム職員として勤務する傍ら、実家の農業簿記と加工品を手伝っていました。結婚・出産後の15~17年前、正式に就農。加工をメインに担当して、仕込み・製造・配達までを行い、2017(平成29)年に父からの経営移譲で農園主となったことを機に、この数年はトラクターに乗ったり、水田管理作業も行っています。
Q2.作物はどうやって決めましたか?
実家が代々稲作農家でした。自家製堆肥を入れて化学肥料や農薬の使用を極力抑えて栽培し、栃木県の特別栽培米として出荷しています。新しいことに前向きだった父の代から加工品を始め、おにぎり、いなり寿司、赤飯、冬場は餅などをつくり、直売所で販売しています。
Q3.土地はどうやって決めましたか?
代々この土地で水稲を栽培しています。日本名水百選の一つでもある「尚仁沢湧水(しょうじんざわゆうすい)」を水田に取り入れています。水田の作業受託もしていますが、作業の効率化のため、以前は自宅から10km先まであった範囲を7km以内に集約しました。
Q4.師匠は誰ですか? どうやって修業しましたか?
就農時にアドバイスをもらったのは両親です。特に私が農業をやるときは全部教えると宣言していた父は一番の師匠です。言った言わないでしょっちゅう親子喧嘩をしていますが、何もわからないところから教えてもらっているのである程度で落としどころをつけて父の言うことを聞きます(笑)。特に水管理は父の教えを守っています。町や農協の職員さんにもご指導いただいております。
Q5.助けになっている存在は?
とちぎ農業ビジネススクールの同期です。私たち第一期生20人のうち女性は4人。農家の娘や嫁いでからも実家の農業に携わるなど、境遇が似ていてよき相談相手です。そのうちの一人、私よりも経営歴が長い稲作農家の友人には、困りごとはもちろん、今更両親には聞けないことにもアドバイスをもらっています。このほかにも、Facebookでつながっている全国の農業女子の活躍が励みになります。
Q6.農業をやっていて良かったことは? 逆に良くなかったこととは?
良かったことは、圃場に行けばトラクターに乗って一人黙々と仕事ができて、除草など日々の作業の成果が目に見えてわかり、頑張ったぶんだけ身になることです。良くなかったことは、農家は時間を自由に使えるとよく言われますが、上手に回していかないと見動きが取れなくなってしまいます。天候によっても左右され、今年は雨で作業が遅れ、できないこともあったので、計画的に早め早めに動かなければならないと痛感しました。
Q7.「農業女子あるある」といえることは?
ついつい作業に没頭して夕食の支度を忘れてしまいます。母親に子どもの送迎を頼むと誰も作る人がいなくなり、夫がほったらかしになることも(笑)
Q8.おすすめアイテムを教えてください。
ソリマチの『農業簿記』です。パソコンで帳簿を付けるようになり、親から青色申告を引き継ぎました。日々の支出や収入を入力することで自動転記されることはもちろん、減価償却費の計算も取得価格などを登録するだけで自動で計算してくれるので、決算書作成までの経理業務がすごくラクです。
栃木県塩谷町で7代続く稲作農家の農園主として2017年に父から事業を継承。水田管理面積は20ha。トラクターを駆って田を耕し、会計を預かり、加工品の開発、製造、販売、ブランディングまで農業経営に奮闘中。