弁護士秘書からの就農 農泊のメッカへ
Profile
結婚して就農弁護士秘書からの就農
農泊のメッカへ
宮田 紀恵(みやた・のりえ)さん
弁護士秘書から一転、西日本随一のブドウの里・大分県宇佐市安心院(あじむ)町で約50年続く農園の一員となった宮田さん。就農のきっかけは結婚といえども、軽いフットワークと向上心を持ち、主体的な姿勢で農業に励んでいます。
- 作っているもの
- ブドウ
- 働いている場所
- 宮田ファミリーぶどう園
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Q1就農のきっかけは何ですか?
弁護士秘書時代、同僚に誘われて彼女の知り合いが経営する農園へ農業体験に行きました。そこで出会った農業青年が現在の夫です。2010年、結婚を機に就農しました。
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Q2現在、農園が力を入れている取り組みを教えてください。
観光農園やグリーンツーリズムです。ここ安心院は、「農村民泊」に全国で初めて取り組み、グリーンツーリズム先駆けの地として注目を集めてきました。義父が「安心院町グリーンツーリズム研究会」を立ち上げたため、農園でも農村農泊の受け入れやイベント開催をしています。こだわりのブドウは、ありのままの美味しさにこだわった種あり巨峰などを、4.5ヘクタールの畑で作っています。ドライフルーツ加工や販売といった6次産業化にも力を入れています。夫は若い農業者たちと会社を作り、米・ニューヨークへの加工品輸出もしています。
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Q3農作業で起きたハプニングや、大変だったこととは?
この辺りは盆地のため寒暖の差が激しく、ブドウの栽培に適してはいるのですが、冬の寒さは厳しいです。今年1月末の気温は-10℃まで下がり、畑の水道管が凍って破裂してしまいました。大量のツララができ、畑の中に凶器がある状態でした。この地域で同じ被害に遭った人は多かったようです。驚きましたが、自然に任せてゆっくりと回復を待ちました(笑)
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Q4それでも、農業をやっていて良かったと思う瞬間は?
思いもよらないことに出合うときです。私は職種を選ばないタイプで、どんなことでも目の前にあるものを一生懸命やることが大切だと思っています。しかし、農業は農作業、販売、事務、東京への出張…と、やることが多くて驚きました。いまではその一つ一つを楽しんでやっています。
人との出会いが多いのも長所です。幸いにも義理の両親と夫は畑の外へ出ることに理解があり、県内外で開催されるセミナーに足を運んでいます。夫は、「その勉強が為になるかどうかは、後からでしか分からないけど、とにかくネットワークを作るのは大事なこと」と話しています。東京で開催された女性農業者育成塾にも通いました。勉強会やセミナーに参加したことで、県内外問わず色々な人と出会えたのはとても良かったです。農家の仕事場は決して畑だけではなく、会社員の頃では考えられないほど、遠い距離の人々と繋がる事業なのだな、と感じています。1日のスケジュール
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Q5今後、農業を通して叶えたい夢は?
いまやっていることの“一歩先”へ行くことです。6次産業化の工房を工場にする。ブドウ生産者から(加工も担う)ブドウメーカーになる。グリーンツーリズムを、農泊体験からより大規模な農泊ホテルにすることなど。正確に言うと、この夢を持つ夫を支えながらうまく動かすこと、です(笑)
もう一つは、次世代の誰でもすぐに栽培できる“使える土地”を作り、引き継ぐことですね。
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農業女子あるある
農家は経営者だから、想像以上に「畑以外での仕事」が多いです。そして、(身体に付いた土で)部屋がザラつきます。
※直売所では、ブドウと加工品販売を行っています。
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特技
ハウスの建設。夫より身軽で高い所が苦手ではないので、高さ3.5メートルほどの骨組みに命綱なしで上り、20代の女子と一緒に新しくハウスを建てました。
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必須アイテム
虫よけネット付き帽子にサングラス、指先を切った軍手です。先を切るのは、ブドウを病気から守ってくれる実の表面に付く白い粉を、繊維でこすってふき取らないためです。
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私の癒し
5歳の犬「JO太郎」です。大型の猟犬とビーグルの雑種で、顔はビーグルですが身体は大きいです。一緒に散歩をしています。
園主(私の場合は夫)の操縦方法を教えてください!あとは、効果的な虫対策があれば教えてください。
会社設立までは農場主である夫の尻を叩き、規模拡大後は社長として「立てて」います。
虫対策は、手作り虫除けスプレーがおすすめ。ハッカ油20~60滴、無水エタノール10ml、精製水90mlを混ぜて作ります。