不慣れな人も自宅でできる! 刈払機の管理とメンテナンス

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不慣れな人も自宅でできる! 刈払機の管理とメンテナンス

不慣れな人も自宅でできる! 刈払機の管理とメンテナンス
最終更新日:2020年02月10日

秋まで酷使し続けた刈払(かりばらい)機。草刈りシーズンが終わり一息つくこの季節に、しっかりとメンテナンスして、翌年もがんがん使いたい。でも、どこを見ればいいのだろう? 今回は、筆者がお世話になっている機械屋さんに、誰でも簡単にできるメンテナンス方法を教えてもらった。

刈払機の仕組み

刈払機のメンテナンスについて教えてくれたのは、大阪府池田市にある「有限会社 秋田屋チェーンソーサービス」の主任・秋田誠一(あきた・せいいち)さん。
秋田屋チェーンソーサービスは、農林業関係の機械・道具を扱って36年の老舗機械屋さん。私も、祖父の遺品である年代もののチェーンソーをメンテナンスしてもらったことがあるが、日々やるべき管理方法まで、懇切丁寧に伝授してくれた。
そんなわけで今回は、私が使っている刈払機を持参し、「機械に不慣れな人でも自分でできる刈払機のメンテナンス方法」を教わった。

刈払機のことを教えてくれた秋田誠一さん

わが家の刈払機。年中酷使して、汚い

実際にメンテナンスをしてもらう前に、刈払機の仕組みをごく簡単におさらいしておこう。
燃料となるのは、ガソリンにエンジンオイルを混ぜた混合油。燃料をエンジン内で爆発させると、メインパイプの中を通る回転軸が回転。それに連動して、先端のチップソーやワイヤーコードが回転する、という仕組みだ。
今回は、仕事をするギアケース内と、動力であるエンジン回りのメンテナンス方法を教わった。

ギアケースのメンテナンス

回転軸のグリスを交換

ギアケースをメインパイプから外したところ。六角レンチなどでヘッド部分の左右にあるボルトを外し、そこからグリスを注入するとケース内に行き渡る

ギアケースの中には、チップソーを回転させるための回転軸がある。常に高速で回転するため、グリスが入っているのだが、使っているうちに蒸発してしまう。
「中を見て、グリスがすっからかんだったら、かなりまずい状態ですね」と秋田さん。グリスがなければ、ギアケース内の温度が上がり、ギアが焼きついてしまう。

回転軸の受け皿である軸受けの穴にグリスがないと、まずい状態。外したついでに、ドライバーなどでゴミも取っておく

グリスは、この夏に一度、もりもりに注入したはず。しかし、「まずいですね。もうグリスが全然ないですよ。だいたい、20時間使ったら、いっぺん交換するのが目安です」と秋田さん。そうか……、そんなに頻繁にやらないといけないなんて、知らなかった。
そこで、ギアケースの左右にあるボルトを外し、新しいグリスを注入。軸受けの穴からムニュッと古いグリスが押し出され、新しいグリスが顔を出すくらいが適量なのだそうだ。

それにしても、あの日、これでもかというくらい注入したグリスはどこへ行ったのやら。
「ありましたよ」と、秋田さんが出してきたのが、樹脂のように固まったグリス。なんと、メインパイプの中に詰まっていた! やみくもにいっぱい入れたらいいわけではない、適量が大事。グリスは「補充」するのではなく、新しいものと「交換」するものなのだ。

メインパイプの中に詰まっていたグリスの塊

切れ味を復活させる刃の研ぎ方

ギアケースを見てもらったついでに、刃の研ぎ方も教わった。

緑の線の部分をグラインダーで研ぐ

使い古しの刃を秋田さんに手渡すと、「これだけチップが飛んでいたら、いくら研いだって危ないですよ」。石やコンクリートに当たると、チップ(刈り刃の爪)が飛んでしまう。そのまま使い続けると、回転のバランスが崩れて、振動が激しくなり、チップソーを止めるネジが緩む恐れがあるそうだ。
チップが飛んでいなければ、山の部分と、谷の部分をグラインダーで削って、切れ味を復活させ、また快適に使うことは可能。
「ススキやカヤなんかがサラッと切れるようじゃなきゃダメ。仕事していてもしんどいだけですからね」と秋田さん。

グラインダーとチップソーを専用の台に固定して、研いでいく

緑の線が研磨した箇所。こんな形に仕上げると、新品に近い切れ味に戻る

エンジンのメンテナンス

点火プラグを交換

「エンジンを動かすには、火と空気、燃料が必要ですね。点火プラグは、燃料に着火させる火の役割です」。秋田さんが言うように、エンジンがかかりにくい場合は、この点火プラグがダメになっている場合が多い。別名「スパークプラグ」といい、放電して火花を散らし、燃料に火をつける役割をしている。

点火プラグの位置。機械によって違うが刈払機ならだいたいここにある。チップソーを交換する刈払機用のプラグレンチで外すことができる

左が新品の点火プラグ、右が使い古し。火花を散らす部分にカーボンがたまっていくと、着火しにくくなる

この点火プラグ、使っていくうちに先端の発火部(放電して火花を散らす)がカーボンに覆われて、着火しにくくなる。25時間使用したら、点検・清掃・調整、あるいは、きれいなものに交換する。

フィルターを交換する

燃料に火をつける点火プラグが「火」なら、 クリーナーエレメント(フィルター)は「空気」。空気の取り入れ口にあって、ゴミをろ過する役割があるが、ほこりやカーボンなどで塞がれてしまうと、エンジン内に空気が行き渡らず、燃焼効率が悪くなってしまう。

カバーを開けると、スポンジのようなものがある。これがクリーナーエレメント

私もときどきポンポンと叩いてほこりなどは取っていたものの、「見てください」と、秋田さんがクリーナーエレメントを握って絞ると、茶色い液体がぽとぽと落ちた。油汚れで目詰まりしそうになっていたのだ。油汚れは、家庭にあるような中性洗剤で簡単に落ちる。

きれいになったクリーナーエレメント。中性洗剤で洗うとふわふわに戻る

ついでに、燃料タンクの中にある、燃料を吸い上げる時にろ過するフィルターも汚れていれば交換する

「ちなみに、カーボンなどの汚れがたくさんあるようでしたら、適正な燃料を使っているかどうか、確認してみてください」と秋田さんが言う。
刈払機に使うのは、2サイクルエンジン用のオイルとガソリンを混ぜ合わせた「混合油」。特に、自分で希釈する場合、チェーンソーや刈払機に適したオイルであるか、濃度は間違っていないか、ガソリンとオイルが分離していないかなどを見たほうがいいそうだ。

メンテナンスの基本は掃除

秋田さんいわく「このくらいが、誰にでもご自宅でできるメンテナンスでしょう」。ここまでやってきたのは、主に掃除。逆に言うと、掃除さえちゃんとしておけば、機械は長持ちするということだ。
「忙しいときほど掃除もしにくいとは思いますが、そういうときほど機械もダメになりやすいんです。人間でいうと、お風呂にも入らず、何日も仕事をしているようなもんですよ。疲れもとれないし、嫌でしょ?」秋田さんにそう言われると心が痛い…。
でも、自分でメンテナンスした機械は愛着がわく。これからも長いお付き合いをしたいものだ。

取材協力:有限会社 秋田屋チェーンソーサービス

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