簡単果樹のキウイですが、何も考えずに植えておけば収穫できる、というわけではありません。留意しておかなければならない点を中心に解説していきます。
以下栽培カレンダーに沿って見ていきましょう。
キウイの植え付け
植え付け適期は11月上旬頃です。凍害のおそれがある寒冷地域では翌春の3月まで待った方が無難でしょう。大きめの鉢やプランターでも十分に楽しめます。
絶対に留意しておいてほしいキウイの性質として“雌雄異株(いしゅ)”というものがあります。オスの木とメスの木が別々ということです。つまり、オスメスつがいにしないと子ども(果実)ができないということになります。最近は1本のメスの木にオス木を接いである苗も販売されていますが、そうでない場合は必ずオスメス1セットで購入しましょう。花の時期が合っているかも必ずチェックしてから購入してください。
オス木が1本あれば、メス木6本くらいを授粉させることができます。
50センチ穴を掘り、堆肥(たいひ)20キログラムと石灰500グラム、肥料1キロ程度(窒素-リン酸-カリが8-8-8の場合)をよく混和して埋め戻します。深植えにならないように気を付けて、根をできるだけ四方に伸ばして植え付けましょう。
鉢植えの場合は、市販されている花木用の土(なければ野菜用の培養土でもかまいません)7割に鹿沼土を3割混和して植え付けます。
添え木にゆるく結び、根元から50センチくらいまで切り詰めます。
キウイの挿し木
キウイは枝を地面に挿しておくだけでも根付きます(近年流行りの黄色系品種は根付きにくいものが多いです)。根が伸張する時期を見計らって(栽培カレンダーの「根の成長」参照)、数芽地表から顔を出すように挿しておくと、うまくいけば新梢(しんしょう)が伸びてきます。
つる性の植物なので、棚が必要になります。フェンスやパーゴラ(つる棚)に這わせてもよいですが、つる性とはいえ結構硬いので撤去のときに一苦労するかもしれません。鉢植えならそこまで大きくなりませんので安心してください。
落葉樹なので、庭の夏場の日陰づくりにも良いでしょう。
キウイの剪定(せんてい)と仕立て方
キウイの栽培は、剪定さえしていればあとは毎年収穫するだけと言っても過言ではないくらい簡単ですが、この剪定を説明するとなると文字では難しいところがあります。
一つオススメの分かりやすい方法があるので紹介します。コツをつかんだら、あとは臨機応変にアレンジしてみてください。つる性植物の良いところは、自在にスペースを埋められることにもあります。
果樹栽培といえば、まずはなにごともメインとなる骨格の枝をどう仕立てるかが重要です。以下の図のように、真っすぐに骨格となるメインの枝を伸ばしましょう。
木が若いうちはこの真っすぐに一本伸ばすことを優先して強い枝を選抜し、それ以外の枝はできるだけ切除しましょう。
スペースに余裕がある人は、一本の木からこのメインの枝を2本、3本と仕立ててもよいでしょう。
基本の骨格が出来上がったら、あとはこの枝に、実をならす枝をつけてあげることになります。魚の骨のように約40センチ間隔で配置します。
さあ、果実がなり、収穫が終わったあと、きっとあなたはこう思うはずです。「枝がぐちゃぐちゃと混みあっていてどこをどう切ればよいのか見当もつかない」
キウイは枝の勢いもよく、春から夏にかけてあっちこっちに枝が伸び、巻き付き、どうしようもないように思えますが、再度魚の骨の状態に戻してあげることが、キウイを栽培するあなたの使命です。
骨格となるメインの枝はそのままに、できるだけメインの枝に近い、根元から出ている枝を残し、その先の枝を全て取り除きます。
キウイの剪定は何も知らずに見ているととても複雑ですが、やるべきことはこれを繰り返して、魚の骨状に戻すだけです。もっと細かくやろうと思えばいろいろとあるのですが、家庭果樹の場合はこの剪定さえできれば永続的に果実を収穫し続けられます。
弱い枝(30センチ以下)は、誘引してそのままでもよいですが、長い枝は1メートル以内で切り詰めましょう。
なかなか根元から良い枝が出ていない場合もありますが、他の場所から持ってきて縛り付けます。
この剪定を繰り返していると、どんどん骨格の幹から実のなる枝が離れていくことが想像できると思います。なので、幹から直接枝が出てきたときには積極的に更新してあげましょう。
キウイの肥料
有機配合肥料を11月上旬の収穫期に2キロ、6月に1キロほど(いずれも8-8-8の場合)施用します。この分量は成木のケースなので、木が小さい場合や鉢植えの場合は、そのサイズに合わせて量を減らしてください。
また、下画像のような毛が生えている枝がたくさん出ている場合は、肥料の効きすぎですので追肥は控えてください。
キウイフルーツの収穫適期
キウイの収穫時期はとても分かりづらく、相談の多い内容です。
厳密に言えば、糖度6~7度もあれば十分なのですが、糖度計を持っている人は少ないと思いますので、11月上旬と決めてしまっても良いと思います。
もしも追熟してみて甘みが足りなかった場合は、もう少しとる時期を遅らせてみてください。
キウイの追熟の仕方
キウイは、収穫してからの追熟処理で糖度を増します。木の上で熟れるまで待っているとしなしなにしおれてしまうのです。面倒なようですが、この性質のおかげで虫や病気に強く、一気に収穫でき、しかも食べたい分だけ追熟処理しながら長く楽しむことができます(10℃くらいの冷たいところで保管できれば2月頃まで食べられます)。
果実が熟すためにはエチレンという植物ホルモンが必要です。普通果物は自らエチレンを生成するのですが、キウイは他の植物のエチレンに触れなければエチレンを生成しようとしません。
市販されているエチレンガスのパックもあるのですが、手に入らない人は、ちょうどこの時期に出回るリンゴを用います。リンゴはホルモンをムンムンに放出しているので、ビニール等でキウイとリンゴを一緒に入れて封をしておくとキウイがよく追熟されます。大体キウイ10個に対しリンゴ1個で、気温によりますが1~2週間ほどかけて完熟します。
キウイの病害虫防除
気にしなくてよいと豪語していた病害虫に関してですが、たまにある相談はカイガラムシについてです。
カイガラムシはあらゆる樹木の幹に張り付く白いかたまりですが、キウイにも発生します。大量に出てくると木が弱り、枯れてしまうこともあります。また、かいよう病や果実軟腐病など、他の果樹に比べると微々たるものですが病気も発生します。
あらゆる虫や病気の一切合切を防除するためには、葉が落ちている冬の間に、マシン油乳剤と石灰硫黄合剤を散布するとよいでしょう。
マシン油は油で覆ってしまい窒息死させるだけの簡易なものですが、物理的に全滅させられます。石灰硫黄合剤はその名の通り石灰と硫黄の合剤ですので、どちらも有機農法でも使えるような農薬です。もちろん硫黄なのでとても臭いです。12月にマシン油、2月に石灰硫黄合剤で病害虫を死滅させるとよいでしょう。
キウイの栽培方法 読者からのQ&A
読者からキウイの栽培方法について質問を頂いたので、つるちゃんがお答えします!
Q.キウイ2本定植して4~5年になります。実がなりません。2本とも雄苗だったのか?今から雌苗を定植しても大丈夫でしょうか?キウイの木の寿命はどれくらいでしょうか?
A.
①両方雄苗だった、もしくは雌苗だった可能性があります。
今からでも間に合いますが、今植えてあるのがオスかメスか判断できますか? 花が咲いて中心に白い雌しべがあったらメスです。白い雌しべがなく、全部黄色い雄しべだけだったらオスです。
②オスとメスの開花時期がずれているだけの場合もあります。
同時に開花していますか?メスだけ早く咲き終わって、雌花が散ってから雄花が咲き出していませんか?その場合は違う雄木を選ばなければなりません。
③単純に植え付け3年間くらいはあまり実がなりません。
特に肥料を与えすぎているとなりにくいです。今年か来年からたくさんなりだすかもしれません。
経済寿命は2〜30年目安ですが、うちの50年目のキウイは今年もたくさんなってますよ。
皆さんも自分で作ったキウイフルーツを楽しんでみましょう!
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