シャインマスカットとはどんなブドウ?
シャインマスカットは広島生まれのブドウ。農林水産省が所轄する農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の果樹研究所(現・果樹茶業研究部門)で開発されました。2006年に品種登録され、全国のブドウ産地に広まりました。
見た目は普通のマスカットとよく似ていますが、「安芸津(あきつ)21号」と「白南(はくなん)」のかけ合わせによって新たに誕生した品種です。安芸津21号は病気に強く育てやすいアメリカブドウ。白南は病気になりやすく栽培が難しいものの、大粒で高品質なヨーロッパブドウ。これらを掛け合わせたシャインマスカットは、お互いの長所である「作りやすさ」と「おいしさ」を兼ね備えたブドウ品種なのです。
シャインマスカットと普通のマスカットの違い
果粒の色・形や大きさなど、ほぼ同じ見た目をしている、シャインマスカットとマスカット。両者の大きな違いは2つあります。
1つは原産国。シャインマスカットは日本生まれなのに対し、マスカットは北アフリカ原産。私たちが普段マスカットと呼んでいるブドウの正式名称は「マスカット・オブ・アレキサンドリア」と言います。歴史をさかのぼるとローマ帝国時代、アレキサンドリアからヨーロッパ(主に地中海地方)に広がりました。日本には1868年に導入されました。
もう1つの違いは食べ方。普通のマスカット皮を剥き、種を取って食べます。しかしシャインマスカットは皮ごと食べられ、さらに種もありません。保存もしやすいので贈答用としても喜ばれるブドウです。
シャインマスカットはなぜ人気?
シャインマスカットの人気が高まり始めたのは2014年以降。現在ではブランド化に成功しており、高級品というイメージが根付いています。それでもシャインマスカットが人気なのは、食べやすさも理由の一つでしょう。
種がなく、なおかつ皮ごと食べられる。さらに一粒が大きいため食べごたえも抜群。大人から子供まで、世代を問わずおいしく味わえます。
シャインマスカットの味わいの特徴
シャインマスカットの味わいの特徴は3つあります。
1つめは、香りの強さ。上品なマスカット香を放つシャインマスカットは、味覚だけでなく嗅覚でも楽しめます。
2つめは、食感。大きな楕円(だえん)形の粒は、硬くしまりのある肉質で、歯切れの良さが持ち味です。種なし栽培が可能で、果皮が薄く、皮ごとパリッと食べられる手軽さも人気。
3つめは、濃厚な甘さ。糖度は20度前後で、マンゴー(15度前後)や桃(14度前後)よりも高く酸味は少なめ。さっぱりした味わいよりも甘めが好きな方は、樹上完熟の粒が黄色っぽいものを選ぶと、より糖度が高くしっかりとした甘さが楽しめます。
シャインマスカットが美味しい理由
シャインマスカットが美味しい理由は糖度の高さです。代表的な果物の糖度は次の通り。
果物 | 糖度 |
いちご | 8〜15度 |
桃 | 12〜15度 |
メロン | 13〜18度 |
マンゴー | 14〜17度 |
りんご | 12〜17度 |
シャインマスカットの糖度は20度前後、本格的に甘くなると25度にも達します。ブドウの中でも特に甘い味わいがおいしさにもつながっています。
シャインマスカットの産地と旬な時期
シャインマスカットは広島県で開発された品種ですが、現在は長野県、山梨県、山形県、岡山県を中心に栽培されています。
旬は夏〜秋で、ハウスや露地物は場所にもよりますが8月中旬〜9月下旬にかけて多く出回ります。温室栽培のものは旬より早く、7月頃に流通が始まります。
旬のシャインマスカットは味や香りが一段と濃く、スーパーや百貨店に多く並ぶため手頃な価格で購入できるのでおすすめ。貯蔵性も比較的高い品種なので、最近では専用の冷蔵庫に入れて長期保存することで、お歳暮やクリスマス、年末年始にも出回るようになりました。
産地によって味は違う?
シャインマスカットの生産量が特に多い地域は山梨県と長野県。実はこの2県、気候が似ているのです。
日照時間が長い、寒暖差が大きい、雨量が少ない。この気候がシャインマスカットの甘さにつながっています。
どの産地のシャインマスカットを選んでも間違いありませんが、家族や友人と持ち寄って食べ比べて見るのも面白いかもしれません。
シャインマスカットの値段は一房いくら?
シャインマスカットと聞くと高級品のイメージがありますよね。一般的なブドウ(巨峰)は1kgあたり1,000円前後が相場ですが、シャインマスカットの値段はこれを大きく上回ります。
スーパーの販売価格は2,000円〜3,000円が相場
お住まいの地域によって上下しますが、スーパーで販売されているシャインマスカットの価格は2,000円〜3,000円が相場。一房でこの値段なので、気軽に買うことは難しいですよね。
しかし、セールや訳あり品であればお得に買えることもあります。もし格安のシャインマスカットを見つけたらチャンスですね。
高級品種は一房7,000円ほど
百貨店に並ぶような高級品種は一房で7,000円を超えます。中には10,000円以上するシャインマスカットも。
このようなシャインマスカットは、贈答品として贈ると喜ばれるでしょう。
旬の時期を狙えば安く買える
シャインマスカットの旬は夏〜秋にかけて。旬は流通量がピークを迎えるので、他の時期に比べて安く購入できます。
なので、お得にシャインマスカットを手にしたい方は夏〜秋が狙い目。特に9月は安くなる傾向なので、ぜひチェックしてみてくださいね。
シャインマスカットに含まれる栄養と効果効能
シャインマスカットには主に下記の栄養素が含まれています。
・糖質
・脂質
・たんぱく質
・炭水化物
・食物繊維
・ナトリウム
・カリウム
・ビタミンB1、B2
・カルシウム
・葉酸
・ポリフェノール
皮ごと食べられるので食物繊維や葉酸、ポリフェノールなどを摂取できます。続いて、多く含まれている栄養素をピックアップし、それぞれの役割を見ていきます。
糖質
糖質は消化吸収後、最終的にブドウ糖に分解されエネルギー源になります。脂質より早く分解されるため、即効性の疲労回復も期待できます。
さらに、ブドウ糖は脳のエネルギー源として使われる唯一の栄養素。脳を活性化し、集中力を高めてくれます。
ポリフェノール
ポリフェノールはシャインマスカットの皮に多く含まれます。抗酸化作用があり、生活習慣病の予防に有効といわれています。
一般的なブドウは皮を剥いて食べることが多いですが、シャインマスカットは皮ごと食べられます。そのためポリフェノールもたっぷり摂取できます。
シャインマスカットのカロリーはどれくらい?
シャインマスカットのカロリーは1粒あたり5〜6カロリーほど。低カロリーなので間食にピッタリですが、糖度が高いため糖質も多くなっています。
食べすぎはカロリーおよび糖質の過多につながるので、くれぐれもお気をつけください。
シャインマスカットのおいしい食べ方
ここからは、シャインマスカットのおいしい食べ方をご紹介します。
そのまま皮ごと食べる
シャインマスカットは種がないため、皮ごと食べても大丈夫。皮にはポリフェノールが豊富に含まれているので、丸ごと食べるのがおすすめ。冷やしすぎると甘さを感じにくくなるので、食べる2〜3時間前に冷蔵庫に入れるとちょうどいい冷え具合になります。
この時、洗わずに保存しましょう。先に洗うと鮮度を保つ「ブルーム」が流れ落ち、鮮度や食感を低下させるからです。食べる直前に水洗いしましょう。
ケーキやタルトと一緒に
そのまま食べてもおいしいシャインマスカットですが、デザートのトッピングとしても活用できます。また違った味わいを楽しめるでしょう。
例えばケーキやタルトに乗せ飾り付ければ、鮮やかな黄緑色が映えます。生クリームとも相性が良いので、フルーツサンドにしてもおいしいですよ。
ジュースやスムージーとして
少し贅沢ですが、他の果物や野菜を合わせてスムージーにするのもおすすめ。シャインマスカットの爽やかな甘さと香りは、朝のスムージーに最適です。
シャインマスカットの皮はなぜ食べられる?
シャインマスカットは一般的なブドウと比べて、皮が薄いという特徴があります。そのため、皮を剥かず丸ごと食べられるのです。
残留農薬の心配はない?
皮ごと食べる場合、農薬が残っているのではと心配かもしれません。しかし、ご安心ください。シャインマスカットを栽培する際、育ってきた実には一房ずつ袋が被せられます。そのため、残留農薬はほとんどありません。
また、農薬は水や光、微生物によって分解され減少・消失します。収穫時には残留基準値以下になるように、農薬取締法により作物ごとに使用時期が制限されています。
皮をキレイに剥く方法
どうしても残留農薬が気になる方は、皮を剥いてからシャインマスカットを食べてみましょう。皮の剥き方はとても簡単。
まず、爪楊枝を皮と実の間に差し込みます。反対側まで一周させ切り込みを入れたら、指で皮を剥くだけ。
また、湯剥きもおすすめ。沸騰したお湯にシャインマスカットを30秒ほどくぐらせ、取り出したら氷水に浸けます。すると自然に皮が剥け始めるので、あとは指でキレイにするだけです。
シャインマスカットの保存方法
シャインマスカットは常温保存に適していない品種と言われています。もし常温保存するなら新聞紙やキッチンペーパーに包み、冷暗所に置きましょう。限界は2〜3日ほどです。
鮮度を保つのであれば、冷蔵もしくは冷凍保存がおすすめ。それぞれの方法を詳しく紹介します。
冷蔵保存
シャインマスカットの実に負担がかからないように一房ずつ、ポリ袋に入れて乾燥を防ぎましょう。そして冷蔵庫の野菜室に入れて保存。1週間以内に食べきることが好ましいです。
より鮮度を保ち長く保存したい場合は、房から実を切り離しましょう。まず、一粒ずつハサミでカット。この際、軸を2〜3ミリほど実の方に残すことがポイント。枝から引きちぎると実が傷つき、果汁が溢れてしまうので注意してください。
カットした実は保存袋や密閉容器に入れて野菜室で保存。そして、食べる前に水洗いすればOKです。
冷凍保存
長期保存したい場合は冷凍がおすすめ。一粒ずつ切り離し、保存袋に入れて冷凍庫に入れましょう。保存期間の目安は1ヵ月ほど。
食べる時に必要な分だけ取り出して水洗いすれば、シャーベット感覚でおいしく味わえます。
まとめ
種がなく、皮を剥かずに丸ごと食べられるシャインマスカット。上品な甘さと爽やかな香りが魅力的です。
デザートとして食べるのはもちろん、疲れた体や脳のエネルギー補給にもピッタリ。高級品なので贈答用として友人にプレゼントしても喜ばれるでしょう。
旬の時期を狙えばお得に購入できるので、夏から秋にかけて、近くのスーパーや百貨店を覗いてみてください。
監修:日本野菜ソムリエ協会