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売れる店長に必須の5つの習慣 直売所業界の最大の弱点とは?【直売所プロフェッショナル#33】

売れる店長に必須の5つの習慣 直売所業界の最大の弱点とは?【直売所プロフェッショナル#33】

直売所を複数展開する民間ベンチャーの創業者たちが、直売所運営のイロハについて事例をまじえて紹介していく連載。あなたのお店には、主体的な店長がいますか? 今回は売り上げを伸ばせる店長の習慣について考えていきます。

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直売所業界の最大の弱点とは?

あなたが関わっている直売所の関係者のなかで、もっとも主体的なメンバーは誰でしょうか?
この質問に迷わず「店長」という言葉が出てこないお店は、まちがいなく要注意です。

この連載では、ひとつのことを一貫して書いてきました。それは、直売所業界ではほかの業界で常識となっていることが常識になっていない、ということです。
どんな業界であれ、店舗の責任者である店長がもっとも主体的に店舗運営について知恵を絞り、具体的な行動に移していないようでは、業績は上がりません。しかし、直売所業界は、店長が主体的でないときにそれが放置されることがあります。ほかの業界の常識が成立しないのは、ある意味、切羽詰まった直売所が少ないからかもしれません。設置母体が農協や第3セクターであり、また補助金が入っている場合も多いためです。

しかし、これまでの連載のなかで指摘してきたように、直売所が稼げばその収益をほかの農業振興の施策に使うことも可能です。また、売り上げが上がれば上がるほど地域の農業にお金が循環するわけです。
そうしたときに、パートさんのモチベーションを上げることができ、また出荷者とのコミュニケーションを頻繁にとることのできる立場にある店長がどれだけ頑張るか。それが売り上げ、ひいては地域の農業の将来につながってくるのです。逆に言えば、そうした店長がほかの業界に比べて少ないことが、直売所業界の最大の弱点なのではないでしょうか。

まずは店長が売り上げの目標に対して責任感を持つという、至極当たり前のことから始めましょう。そして、売れる店長に必須の習慣を5つ示しますので、この記事を読んでいる店長さんはぜひ実践してみてください。

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習慣1 商品は自分の商品だと思え

直売所の陳列棚に並んでいる野菜や果物。これは誰の商品でしょうか?
大半の直売所は委託式となっているので、法律的にはこれらは出荷者のものかもしれません。
しかし、お客様が誰から買っているのかといえば、お店から買っているのです。その意識をはっきりと持たないといけません。商品への責任感の欠如は、委託式ビジネスにおける典型的な落とし穴なのです。
たとえば、次のようなケースで、それが発露します。
野菜に虫食いがあったからということでお客様から返品があった場合、あなたが店長ならどのように思いますか?

選択肢1「あの農家さんの商品だな。あの人はよく虫食いのものを出してくるんだよなあ。返品処理も面倒くさいなあ」
選択肢2「申し訳ない。お客様に迷惑をかけてしまった。対策を考えなくては」

売り上げを伸ばせる店長は、商品を自分の商品だと思っている店長です。そう思っているかどうかをお客様は察するものです。そうして、責任感のある店長のいるお店では、お客様はその店を好きになり、リピーターになってくれるのです。

野菜

習慣2 具体的な目標を設定する

売れる店長になるためには、具体的な目標を設定しなくてはなりません。目標というのは、原則、数値目標です。
たとえば月間の売り上げ目標を決めたら、それを「客単価」と「客数」に分解したり、商品カテゴリーごと(野菜、果物、花き、加工品など)の売り上げに分解したりして、さらに具体的にすることも大事です。具体的になればなるほど、有効な施策を考えることができます。
また、数値目標は、達成できなかったときには反省するための材料ともなるので重要です。

習慣3 目標達成への強い意志を持つ

設定した目標に対し、絶対に達成するぞと思っているのかどうか?
たとえば月間の売り上げ目標があったときに、月の半ばまでくれば達成できそうかどうかが見えてきます。そして達成できなそうなときに、あなたが店長ならどう思いますか?

選択肢1「今月は雨も多かったからな、仕方ないな」
選択肢2「まだ半月あればできることがあるはずだ。さあ、なにか考えよう。パートさんや出荷者にもアイデアを聞いてみよう」

後者のように思える店長が、業績を伸ばす店長です。
愚痴も言い訳も、何も生み出しません。会議で、「天気が悪かった」、「商品の出荷量が少なかった」といった話ばかりしている店長は、責任感というものがない人です。
ただ、ひとつ気を付けたいのが、設置団体やそのほかの関係者が店長に対して目標を押し付けても無駄だということです。
お店を変えるのは、店長本人の心から湧き出てくる主体性です。それは、外部の人が口うるさく言ったところで出てくるものではありません。プレッシャーは逆効果になりかねません。本人に気づいてもらうしかないのです。

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習慣4 ニコニコしている!

目標をなんとしても達成するという強い意志とは矛盾しているようですが、店長はニコニコしていることが大事です。毎朝の挨拶もしっかりとしましょう。
なぜなら、パートさんも含めた従業員の主体性が売り上げにつながるからです。
店長がニコニコしていて明るくなければ、従業員は付いてきません。この店長のために頑張ろう、そう思われないと売り上げは上がりません。
また、パートさんに何かを改善してほしいときは、怒ったり叱ったりすることを第一の選択肢とするのではなく、「具体的な」「行動」を指示するようにしましょう。上から何かを言えば、本人の主体性は減ってしまいます。
たとえば接客態度の良くない従業員がいた場合、あなたが店長ならどのように話をしますか?

選択肢1「おもてなしの心をしっかり持たなきゃだめだ!」
選択肢2「お客様の目を見て、にこやかに挨拶するようにしてください」

この選択肢2のように、具体的な行動を示してあげることが大事です。
客商売において、怒ったり叱ったりすることのコストは大きいです。お店の雰囲気に対して、お客様は想像以上に敏感です。パートさんたちを含めた雰囲気が明るければまたそのお店に来ますし、そうでなければ二度と来店しないでしょう。
店長がいつも明るく振る舞っていることで、パートさんの主体性が上がっていろんなアイデアも出るでしょうし、お客様への接客態度も良くなって、ひいては売り上げにつながります。

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習慣5 知識に貪欲である

売り上げを伸ばす店長は知識にも貪欲です。
世の中には新しい知識を得る方法は山ほどあります。書籍や業界紙、Web、視察、会ったことのない人と会って話をするのも勉強になります。
そうしたことをどれだけ実行しているでしょうか。もしあなたが店長であったら、胸に手をあてて考えてみてください。
たとえば、「○○町の新しい直売所が良かったよ」という話を聞いたらどうしますか?

選択肢1「さっそく行ってみよう!」(具体的な日付もすぐに決める)
選択肢2「シフトを調整するのは面倒だから、パスしよう」

店長はけっこう雑務を抱えがちです。売り上げ管理や人事管理、打ち合わせもいろいろとあります。日々忙しいと、頑張っているような気がしてきます。
しかし、はっきり言います。それは気のせいです。
日々の雑務を行うのは、店長として「当たり前の責務」です。当たり前のことをやっただけでは、頑張っているとは言えません。
売り上げを伸ばせるかどうかは、当たり前のことをやるだけではなく、プラスアルファで何をしているのかにかかっています。
プラスアルファの典型的行動は、新しい知識を得るために具体的に動くことです。プロのスポーツ選手がトレーニングすることとまったく同じです。

店長こそが売り上げを決める

この連載のタイトル「直売所プロフェッショナル」にあるプロフェッショナルとは、つねに上を目指す人のことを言います。
直売所業界の店長には、ぜひプロを目指してほしいです。それが地域の活性化につながるからです。
また、設置団体の方にぜひ注意していただきたいのは、プロフェッショナルを店長に任命するようにしてほしいということです。年齢や性別は関係ありません。統計は見たことがありませんが、おそらく女性の店長は少ないと推察します。
今回あげた5つの習慣は、店長の選定基準にも使うことができます。この5つの習慣をうまくやれそうな人であれば、店長として成功する可能性が高いといえるでしょう。
そうして、「直売所業界の最大の弱点」をなくせば、この業界はさらに発展していくことでしょう。

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