端境期を織り込む! 年間販売計画を作る【直売所プロフェッショナル#42】|マイナビ農業

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端境期を織り込む! 年間販売計画を作る【直売所プロフェッショナル#42】

端境期を織り込む! 年間販売計画を作る【直売所プロフェッショナル#42】

直売所を複数展開する民間ベンチャーの創業者たちが、直売所運営のイロハについて事例をまじえて紹介していく連載。第42回は、直売所経営に不可欠な年間販売計画の作成について。

端境期も見据えた、年間販売計画が不可欠

直売所の構造的な課題、端境期

これまでも本連載でたびたび触れてきた通り、地場野菜がメインの商材となる直売所の構造的な課題が、地場野菜の入荷量が減る「端境(はざかい)期」があることです。地域ごとにその季節は違うでしょうが、年間で4〜6カ月は端境期があるはずです。
とはいえ、構造的な問題ということは毎回訪れるのはわかっているということ。以前の記事では端境期自体への対応について言及しましたが、今回は端境期を前提とした販売戦略について考えてみましょう。

売り上げから考える端境期対策

端境期があることを前提とした場合、売り上げから見た対策は主に2つ考えられます。

1. 端境期の売り上げをできる限り底上げする
2. 繁忙期の売り上げを最大化することで端境期をカバーする

端境期の売り上げを底上げするには、商品戦略の視点から考えると、

・地場野菜をかき集める
・地元以外の野菜を仕入れる
・野菜以外の商材を販売する

が挙げられます。端境期対策については、以下の記事も参照してください。

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次に、繁忙期の売り上げを最大化するというのも、あり得る考え方です。旬の時期には新鮮な野菜が豊富に並ぶ直売所の魅力を生かし、とにかく決まった月の売り上げを大きくすることを目指すのです。

このように考えていくと、端境期・繁忙期を折り込んだ年間販売計画をしっかり作ることが重要です。事前に各月の予算目標を立て、それに連動する販売促進やイベントの計画、取引農家への出荷を促すタイミングの把握、時期ごとのシフト体制の整理をしておくのです。

一年間トータルで考える

一年間での集客の流れを考える

まず、一年間で集客に注力する時期とそうでない時期を検討しておくとよいと思います。かけられるコストは無尽蔵ではありませんので、どこで販促をすべきかしっかりと見極めましょう。

野菜が多い時期の来客を最大化する

例えば私たちの直売所で考えると、6月と11月に意図的に集客できるようにしています。6月は枝豆、トウモロコシという人気野菜がはじまると同時に、トマトもまだおいしい時期。何もしなくても来客が多くなる時期ではありますが、ここで集客を最大化できるように販促も積極的に行います。なぜなら、しばらく来ていなかったお客様や新規のお客様も、一度購入して食べてもらえたら、そのシーズンに何度も来てくれる可能性が高いからです。しかも、6月下旬から7月上旬は夏野菜が余るほど出てくる季節。ここでどれだけのお客様に来てもらえるかは、その年の夏の経営状況への重要な指標なのです。また、直売所の大きな意義である、出荷農家にとっての販売先としての役割を考えても、たくさん野菜が取れる時期こそ来客を増やし、多くの農家が潤うようにしたいものです。11月も同じような考えです。秋冬野菜が一通りそろい、旬を迎えるタイミングで集客の最大化を狙います。

つまり、繁忙期の初期に意図的に集客をすることで、そのシーズンの客数を最大化することを目指します。その結果として、繁忙期後の端境期の来客減も最小限に食い止められるはずです。

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安易なセールは要注意、やるなら最大活用を

具体的にどのような販促を行うか。いろいろな方法がありますが、直売所で最もポピュラーな方法はセールでしょう。

まず大前提として、セールは短期的な効果がある施策ではありますが、常態化しないように注意する必要があります。ただ野菜が安い店と思われてしまうと、「客層のデフレスパイラル」に陥ってしまう恐れがあるためです。
(客層のデフレスパイラルについては、以下の記事を参照してください。)

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ですので、セールは最小限に行い、行うときには明確な意図をもつべきです。そして、セールをするときには、お客様にはただお得な野菜を買ってもらうだけでなく、プラスアルファの体験を提供できるとよいでしょう。例えば、セール時期だけ出荷農家が直売所にいて販売する、普段販売している加工品の作り手がその日だけ販売する、地域の小商いをしている人に声をかけてマルシェを同時開催してもらうなど、価格とは違う価値も同時に提供するのです。そうすれば、ただ安いものを買ったということ以上の体験になります。

セール自体は一定の集客効果を望めるものです。だからこそ、活用するなら有効に、意図をもって行いましょう。

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売り上げに合わせて計画的なコスト管理も

一年間で考えるのはコストも同じ

この連載で何度も書いていますが、直売所は薄利多売のビジネスです。ですので、売り上げを増やすと同時にコストを管理することが不可欠。直売所では家賃や光熱水費などはある程度一定の金額がかかるでしょうが、売り上げの増減によって管理できるコストもあるはずです。

改めて、コストを見直してみよう

例えば、端境期にも定期的な折り込みを入れたりしていないか? それは本当に必要か? 季節によりシフト組みの調整を行って適切な人員体制になっているか? 過剰に人件費がかかっていないか? 改めて、売り上げに見合ったコストになっているかを見直してみてはどうでしょうか。

特に、一般的な直売所に行くと、閑散とする時間にも店内スタッフが多いのがいつも気になります。お客様が少ないときはレジ以外の仕事もできるようにしておくなど、スタッフのマルチタスク化を進めましょう。そうすれば、端境期にはシフトを圧縮してコストを減らせます。季節によりシフトを動かすのがどうしても難しいようなら、端境期の暇な時期には、時間帯によっては販売スタッフの一部に繁忙期に向けてのPOP作成に取り組んでもらう、SNSへの投稿をしてもらうなども良いと思います。これは、実質的に繁忙期のコストを抑えたり、繁忙期の売り上げをより大きくしたりすることに役立ちます。なお、接客サービスについては以下の記事も参照してください。

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