監修:近藤 環(サポート行政書士法人)
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在留資格に関するコンサルティング業務を担当。2019年に新設された「特定技能」も多数手がけ、申請取次実績は年間800件以上。 行政書士(東京都行政書士会所属 /第19082232号) |
特定技能「飲食料品製造業」とは?
特定技能「飲食料品製造業」は、酒類を除く飲食料品の製造、加工、安全衛生など、飲食料品を製造する過程全般に従事する外国人材のための在留資格です。
現在、あらゆる産業分野で少子高齢化に伴う労働力不足が進行していますが、なかでも飲食料品製造業における影響は深刻で、厚生労働省の「雇用動向調査」では、2017年度における同業界の欠員率(充足できていない人員の割合)が3.2%にも達するというデータも示されています。
この問題を解消するひとつの方法として注目が集まっているのが、特定技能「飲食料品製造業」による外国人材の採用です。
▶出典:農林水産省|飲食料品製造業分野における外国人材受入れ拡大について:PDF
高まる特定技能「飲食料品製造業」の需要
まずは特定技能「飲食料品製造業」を取得して日本国内で働きたいと考える外国人材、そして、彼らを雇用したい企業がともに多い理由から考察してみましょう。
新型コロナウイルスの影響で、技能実習からの移行が増加している
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2021年8月も海外からの日本への入国、そして日本から海外への出国は、ともに大きく制限されています。そのため、技能実習で来日していた外国人材が、実習期間が終了したのちも母国に帰ることができないという事態が生じました。こうした元技能実習生のなかには、在留資格を特定技能に切り替え、日本で働き続けることを希望する方が多数含まれています。
また、技能実習生を受け入れていた企業側にも、入国制限のため新たな技能実習生を迎え入れるのが難しくなっていることから、今現在、研修中の技能実習生の在留資格を特定技能に切り替え、そのまま働いてもらいたいという需要があります。
そのような背景からコロナ禍以前から特定技能で就業していた外国人材に、技能実習からの移行組が加わり、飲食料品の製造に従事する、あるいは従事することを希望する外国人が急増しています。
一方、企業側でこうした人材の採用が活発化している理由としては、技能実習からの移行の場合、3年の技能実習を経てすでに日本語や日本での生活様式に対応できている人材も多いことから、教育などに関する初期投資を抑えつつ質の高い外国人材を雇用しやすい状況が生まれていることなどが考えられます。
また、特定技能では、技能実習では認められない転職が可能であることも、この分野における人材の動きを活発にしている要因といえるでしょう。
6次産業化によって、農業事業者としての採用も進んでいる
農林漁業の1次産業、工業の2次産業、そして商業の3次産業を融合し、生産者が加工や流通まで行うことができるようにする「6次産業化」。これにより農産物の生産のみを行っていた農業事業者が、加工品の製造や販売まで行うケースが増加しています。
農業事業者の所得の向上、さらには地域活性などさまざまなメリットをもたらす6次産業化ですが、一方で加工などが加わることによる業務の多角化で、一人ひとりが担う業務の幅も広がったことで、これまで以上にマルチに活躍できる人材の需要が高まっています。そんな背景から、農業事業者の間で海外の人材採用に活路を見出す動きが広がっていることも、特定技能「飲食料品製造業」に注目が集まっている理由のひとつと考えられます。
また、農業分野ではこれまでも技能実習制度を用いた外国人材の受け入れが活発に行われてきましたが、技能実習生が担当できる作業は細分化されているため、包括的な業務を任せることはできませんでした。一方、さまざまな農産物の加工を行う場合、季節によって人手を割きたい作業の内容なども大きく変わることもあります。こうした事情からも、1年間を通じてひとつの作業しか任せることができない技能実習制度よりも、より多様な業務を任せることができる特定技能「飲食料品製造業」を選択する動きが広がっています。
特定技能「飲食料品製造業」で外国人材を雇用できる業務は?
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