過ごしやすい職場環境のために、新人教育を
酪農に限らず、農業も法人化に伴い従業員雇用が当たり前になってきました。私が経営する朝霧メイプルファームでは、毎年新卒を採用しています。
酪農は専門性の高い特殊な業界ではありますが、社会人としてのマナーやコミュニケーションスキルの大切さは一般企業と同じ。そこで我が社では入社1年目に新人教育でそれらをしっかり学んでもらっています。中途採用の多い農場の場合でも、社会人のマナーを学んでほしいな、と思っている経営者も少なくないのではないでしょうか。この記事をきっかけに研修をするのもいいかもしれませんよ。
「丸山とかいう変な酪農家が面白い記事書いてるぞ。うちもやってみるか」みたいに。
実は、仕事をするうえでの対人関係のトラブルは、思いやり以前の、マナーやコミュニケーションのテクニックに問題があることも多いです。それは新人に限らず、古参の社員にも言えることだと思います。社内のマナーやコミュニケーションは、円滑な職場環境づくりにつながりますし、社員の職場以外の生活、ひいては人生全体に好影響を及ぼすと考えています。
そこで今回は社会人経験の少なそうないつもの2人を農場に呼び、朝霧メイプルファームの新人教育を一緒に体験していきましょう。
ライター
丸山
ライター
助手
丸山
ライター
助手
丸山
よくわかりました。ではもう早速新人研修に入りましょう。こちらのマニュアルを見てください。これは新人研修で最初に配るマニュアルです。
挨拶をしよう
挨拶は全ての基本。第一印象はその後の関係に大きく影響します。
朝の挨拶も同じ。その日、気持ちよく一日過ごすために挨拶を元気よくしましょう。
また、挨拶は目上の人に先に言わせないようにしましょう。
それは社会では失礼に当たります。新人のうちは積極的に進んで挨拶しましょう。
返事をしよう
仕事中は指示を受けたり、注意を受けたりします。その時は必ず返事をしましょう。
返事をしないと、相手が理解できているのか、そもそも聞いているのかわかりません。
注意をしたにもかかわらず返事をしないというのは、職場間の関係を悪化させてしまうことを覚えておいてください。
ホウ レン ソウ
報告(report)…指示された仕事が一つ終わるごとに終了の報告をしましょう。
連絡(inform)…餌の内容、仕事の内容など、何か変更した場合は全員で意思の共有をしなければなりません。
相談(talk)…問題を抱えて、悩んでいても一人では解決しません。相談は後からするよりも、早ければ早いほど解決も容易です。後になって手遅れになる前に、積極的に相談しましょう。
積極性を持とう
積極性とは、よく質問をすること。
気が付いたことは、なんでも話しましょう。
ただ眺めているだけではあまり成長できません。
積極的に仕事に参加して、レベルアップしてください。
従業員同士、仲間としての自覚を持とう
個人で働く仕事とは違い、牧場は仲間であり、チームです。
自分がチームの一員であることを自覚してください。
助けてもらった時は感謝をし、迷惑をかけたときは素直に謝りましょう。
元気な声で話そう
牧場内では様々な騒音の中で仕事をします。
小さい声でしゃべっても聞き取れません。
又、元気な声で返事・挨拶をする方が、相手の印象も良くなります。
心がけましょう。
挨拶をしよう
丸山
助手
丸山
今日も2人が挨拶をしなかったことで、私からするとこの2人はやる気がないのかな? それならあんまり親身に話をしたくないな。そんな風に感じてもおかしくなかったと思いませんか?
一日の初めに挨拶がないと、そのあとの行動全てがネガティブに映ってしまうかもしれません。同じ行動をとっても、第一印象次第では全く逆の評価をされてしまうことだってあるんです。
ライター
丸山
ライター
丸山
ホウ(報)レン(連)ソウ(相)
丸山
ライター
助手
丸山
ホウは報告、レンは連絡、ソウは相談。コミュニケーションの基礎を端的に表した合言葉ですよ。
この三つに共通する大事な点があるのですが、2人はわかりますか?
ライター
丸山
相談も同じです。会社の人間関係がうまくいっておらず、それを相談せずに1年間ずっと我慢してしまう。それである日嫌になって会社をやめてしまう。そうならないために、早めに相談すると、案外簡単に解決することも多いです。
ライター
丸山
ライター
丸山
積極性が仕事に必要なことはもちろんとして、仲間としての自覚を持つことも大事です。
私はそれを感謝と謝罪で表すことができると思っています。これは後で述べることにしますね。
元気な声で話そう
丸山
ライターさん、先ほど「挨拶したはず」とおっしゃってましたね。もしかしたら本当に挨拶したのかもしれませんよ。私に聞こえなかっただけで。
ライター
丸山
でも、結果だけ見ると挨拶が通じていないという事実があるのみですよ。
厳しいようですが、ライターさんの挨拶にはほとんど意味がなかったと言えます。
ライター
丸山
今ここにいる牛舎、機械音や環境音で、静かとは言えないですよね。ある程度の音量で話さないと相手には届きにくいんですよ。相手に届けるために単純にできること。それは元気な声で話すことなんです。
世の中にはしっかりと返事や挨拶をしたのに、返事がない、挨拶がない、と怒られて理不尽な思いをした人が、多くいると思います。確かにせっかく言ったのに怒られるのは不条理ですが、目的はあくまで、相手に伝えることです。
助手
丸山
また、音量以外にも、相手がちゃんと返事をしてくれたか、確認することも大切です。
「挨拶をしたのに返事がない。でも自分はちゃんと言ったからいいや」ではなくて、ちゃんと挨拶が返ってくるまで何度でも挨拶をしましょう。
仮に元気に挨拶をしても、相手が考え事をしていると伝わらないこともあります。「そんなの知らないよ」って思いたくなる気持ちもわかります。「一回挨拶したのに何度も言いたくない」。それもわかります。でも挨拶は全ての基本です。元気な声で返事があるまで相手に伝えましょう。きっとそれはあなたを助けてくれるはずです。
ライター
丸山
更に、農場へ来るお客さんにもしっかり挨拶することを心がけています。
農場のスタッフは、全員が会社の顔です。スタッフが元気に挨拶をすれば、業者の方も気持ちよく農場に貢献してくれますよね。
逆もしかりです。スタッフが他農場や関連施設へ訪問する際、とにかく挨拶だけはしっかりするように教育をしています。めったに会わない人だからこそ、第一印象はそのスタッフ、会社の評価を決定づけてしまいます。社会に愛されること、それはこれからの時代、大切なことだと思います。
新人研修で好印象な人間になろう
ライター
丸山
でも、従業員を雇用していようが、家族労働だろうが、働く上で大きなストレスになるのが対人関係なのは、農業だって同じだと思うんです。
部下がいうことを聞いてくれない。先輩がつらく当たってくる。同期とうまくいかない。そういう対人関係のトラブルは、案外挨拶なんかが始まりだったりするかもしれません。
好意的な第一印象は、お互いを好きになるいいサイクルの始まりです。
第一印象が良ければ、その人がする行動全てがポジティブに捉えられていくかもしれません。
「第一」印象、というからには、後から悪い印象を覆すのは難しいです。だから、新人のうちにしっかりと教育を受け、働きやすい環境を作っていきたいですね!
本日は以上です。次回は「感謝と謝罪の重要性」について話したいと思います。どうもありがとうございました!
ライター
助手
丸山