病害虫の根本対策は春の土づくりから
我が菜園生活 風来(ふうらい)が最初に育てた野菜は、キムチの素材になる春白菜。白菜は無農薬で育てるのがとても難しい野菜のひとつだと知ったのは、ずっと先のことでした。
漬物用なので多少の虫食いはあってもいいと思っていたのですが、実際に育ててみると漬物にも使えないほど被害は深刻で、まるでレースのカーテンのような白菜ばかり。「土がやせているからこうなるに違いない」と、堆肥(たいひ)や有機肥料をどんどん施したのですが、これによってますます虫食いがひどくなりました。逆に、肥料をあげていない場所にこぼれた種で育った白菜には虫食いが少ないことに気づきました。肥料のあげすぎは逆効果だと実感した瞬間です。
野菜を育てるのに最も必要とされているのが窒素・リン酸・カリ。このうち、窒素は野菜が大きくなるために欠かせないものです。しかし成長に必要な分よりも多く与えると、野菜の内部で害虫が好む「アミノ酸」や「アミノ酸アミド」の含有量が増え、害虫が寄ってくることが分かっています。さらに、そのアミノ酸が作られる際、野菜の細胞壁を作るために必要となる糖類が使われてしまいます。これにより細胞壁が薄くなって、病気にかかりやすくなってしまうのだそうです。

土づくりに活躍してくれる管理機
水質汚染の問題もあり、EUでは1991年に「農業起源の硝酸による汚染からの水系の保護に関する閣僚理事会指令」が施行されています。これは地表水および地下水が汚染・富栄養化されるのを削減・防止することを目的としていて、肥料過多による害についてもかなり意識されたもの。日本でも近年、水質汚染について配慮されるようになりましたが、それでも肥料過多になりがち。酸性土壌を改善する目的から、多めの施肥となってしまうためです。
よかれと思っての肥料も、やりすぎると人間でいうメタボ状態になり、病害虫の被害にあいやすくなります。土づくりというと肥料をあげて耕すことだと思っていたのですが、途中から肥料をできるだけ抑えて育てること、それが風来の土づくりになりました。そうすることで病害虫の被害が減り、効果を感じています。また残留窒素が少ない野菜は後味がよく日持ちするようになり、常連のお客さんからも喜ばれるようになりました。
ただ、あまりに肥料分が少ないと白菜が丸まらなかったり、収量が少なかったりしますので、そのあたりのバランスは今でも勉強中です。