カステルフランコとは
カステルフランコ、見た目はリーフレタスのように見えますがチコリの一種のイタリア野菜です。クリーム色の葉に赤紫の斑(ふ)が入り、バラのように美しい見た目から「チコリの女王」とも呼ばれています。変わった野菜や西洋野菜の種を探したことのある人は、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
もともとは、緑色の葉に赤紫の斑が入っているのですが、栽培途中で軟白処理をすることにより華やかなクリーム色へと変化します。リーフチコリは苦みが強いので、単体でのサラダよりもアクセントとして使われることが多いのですが、軟白処理されたことで、苦みがほろ苦さに変わり、ほのかな甘みも加わるので、単体でサラダとしても食べやすくなります。
途中から軟白処理をする手間が加わりますが、その手間を差し引いても高値で販売できる高級野菜なのです。
カステルフランコの食べ方
一番ポピュラーな食べ方はサラダです。見た目の美しさもあり、盛り付けるだけで華やかな一皿となります。他の野菜と組み合わせてもよいですし、生ハムやチーズなど塩気のある食材ともよく合います。加熱すると甘みが増しますので、パスタの具材やリゾットなどにも使われます。
レストランでは、料理の彩りや具材をのせる器として利用されたりもしています。
軟白処理が成功すれば、葉の色がクリーム色になると共に苦みがおさえられます。クリーム色にならず緑色の葉の場合は、苦みが強いのですが、それをサラダのアクセントとして使うのがおすすめです。
カステルフランコの育て方
カステルフランコにはレタスと同じく、結球タイプと非結球タイプがあります。私は非結球タイプを栽培していますので、今回はこちらで解説していきます。
栽培方法は、終盤に軟白処理が必要となりますが、基本的にはリーフレタスと同じですのでそれほど難しく考えなくてもよいでしょう。チコリの仲間は虫が付きにくいのでそれほど気にする必要はありません。種はオンラインショップで入手できます。
栽培の流れ
種まき : 7月中旬~8月上旬。セルトレイに4~5粒まいて1本に間引く。
植え付け : 8月下旬~9月中旬。株間30センチ。
軟白処理 :11月中旬~12月。
収穫 : 11月中旬~12月。
カステルフランコの栽培を成功させるポイントは3つ
1 種は気温25℃以上になると休眠状態になり発芽しないので注意する。
2 マルチを張ることで、土壌の水分が保たれるメリットの他、葉が土に触れないので汚れない。
3 軟白処理を成功させる。
要は軟白化!
軟白処理の方法は2パターンあります。
私は、簡単なパターン1を選ぶケースが多いです。
パターン1 株の頭部を結束して遮光する
ハクサイを栽培したことがある人は経験していると思いますが、葉に霜がおりて傷まないようにハクサイの頭部を縛る作業があります。カステルフランコも同じ要領で外葉の頭部を縛ることにより、内側の葉に直射日光が当たらず軟白化が進みます。
近年は温暖化により冬でも暖かい日が多く、暖かい日が続くと中が蒸れてしまうことがあります。また、たくさん雨が降った後にも、雨水がたまり蒸れることがありますので、時々結束を外し、通気を良くしてやることが必要です。この時に、同時に中の色の変化を確認して、クリーム色に変わっていたら株元から収穫し、外側の傷んだ葉をトリミングして、中の軟白処理されたきれいなカステルフランコを使います。
この方法のメリットは、簡単に軟白処理ができることですが、うまく遮光できていないとクリーム色に変化しない場合もあります。
パターン2 収穫した株を暗室へ入れ水耕栽培に切り替えて遮光する
前に紹介したことがあるタルディーボと同じ方法です。収穫できるサイズになったら、根を付けた状態で株ごと掘り上げ、水槽などの容器に水を張り、根っこの部分を浸します。水は腐らないように時々交換することを忘れてはいけません。水槽を日の当たらない場所に置いて遮光するのですが、上から遮光シートやブルーシートなどで覆うと尚良いです。
様子を見ながら、きれいな色に変わったら(目安は15~20日間)、外側の傷んだ葉をトリミングして、中の軟白処理されたカステルフランコを使います。
パターン1よりも確実に軟白処理ができる方法ですが、暗室の確保と水槽などの備品が必要になります。どちらが良いとか悪いとかはありませんので、自分に合った方法を選んでください。
出荷する際の注意!
軟白処理が成功して、傷んだ葉を取り除く際、カステルフランコの葉はレタスに比べてやわらかいので、傷をつけないように注意する必要があります。冒頭にバラのように美しいと書きましたが、出荷の際に無理やりバラのように広げようとすると、葉が切れたり破れたりすることがあります。私はレストランへ直接販売していますので、広げることもせずにそのまま出荷しています。
軟白処理ができず、緑色の葉をしたカステルフランコも紫色の斑とのコントラストがきれいですので十分に商品価値があります。
リーフレタスにひと手間加えた栽培方法のカステルフランコ。見た目の美しさと、ほのかな苦みと甘さのバランスが絶妙なことから、サラダで食べてみたくなった人もいると思います。気品あるカステルフランコの栽培にぜひ挑戦してみてください。
まとめ
最近、栽培する人が増えてきましたが、まだまだ国内産のフレッシュなものは手に入りにくいのが現状です。高値でも販売できますし、レストランとの取引につながる野菜でもあります。タケイファームのスペシャリテのアーティチョークのようにブランド化できる野菜のひとつがカステルフランコです。