カブって?
カブの特徴
カブはアブラナ科アブラナ属に属する野菜で、白く丸い形が一般的ですが、赤や紫など色とりどりの品種もあります。別名「すずな」とも呼ばれ、春の七草のひとつとしても有名です。地中に隠れている白い部分は「根」が肥大したもので、生でも火を通してもおいしくいただけます。葉も緑黄色野菜として栄養豊富で、捨てずに調理するのがおすすめです。
カブの旬の時期
カブの旬は11月〜1月で、寒さが増すほど甘みが引き立ちます。年間を通して店頭に並んでいますが、特に冬の時期は柔らかくておいしいカブが楽しめます。千葉県や埼玉県、青森県などが主な産地で、全国的に親しまれている野菜です。
カブのおいしい食べ方
カブは煮るとトロリと柔らかくなり、煮物やスープに最適です。例えば、豚肉と一緒に塩で煮込むと、素材の旨味が引き立つシンプルな一品が楽しめます。また、カブを薄切りにして塩もみし、酢やオリーブオイルで和えれば、爽やかなサラダになります。焼きカブもおすすめで、輪切りにしてグリルすると甘みが増して絶品です。更に、葉は細かく刻んでごま油で炒め、しょうゆで味付けすればご飯のお供にもぴったりです。
カブは家庭菜園で育てられる?
カブは初心者でも家庭菜園で育てやすい野菜の一つです。特に小カブは成長期間が40~50日と短く、プランターでも育てられるため、初めて家庭菜園に挑戦する人にもおすすめです。
カブの栽培のポイント
カブは生育適温が20~25℃で、涼しい気候を好むため、秋まきが育てやすいです。春まきも可能ですが、気温が低すぎると花芽が形成されてしまい、うまく成長しないことがあります。土作りは播種の2週間前に苦土石灰や堆肥を混ぜてしっかり耕すことが重要。種まきは直接畑やプランターに行い、1cm間隔で均等にまきます。種が飛び散らないように注意しましょう。
間引きで良質なカブに
カブは間引きをすることで、根が大きく成長し、形の良いカブが育ちます。本葉が1~2枚出たときに最初の間引きを行い、その後3回程度に分けて間隔を広げていきます。最終的な株間は、小カブなら10cm程度が理想です。間引きした葉は炒め物や漬物に活用できるので、ぜひお試しください。
カブの品種19選
品種名 | 特徴 |
---|---|
金町小蕪 | 小カブ |
あやめ雪 | 小カブ |
なつばな | 小カブ |
CRゆきばな | 小カブ |
小粋菜 | 小~中カブ |
スワン | 小~中大カブ |
金沢青かぶ | 中カブ |
天王寺蕪 | 中カブ |
聖護院かぶ | 大カブ |
早生大蕪 | 大カブ |
京千舞 | 大カブ |
温海かぶ | 赤カブ |
大野紅かぶ | 赤カブ |
万木かぶ | 赤カブ |
飛騨紅かぶ | 赤カブ |
津田かぶ | 赤カブ |
もものすけ | 赤カブ |
本紅赤丸蕪 | 赤カブ |
日野菜 | 色カブ |
金町小蕪
金町小蕪は、明治末期に東京の金町で改良された小カブの代表種です。直径約8cmの球形に近い形で、肉質が緻密で甘みと風味が特徴的です。葉も柔らかく、煮物や漬物、油炒めなど幅広い料理に適しています。煮崩れしにくいので炊き合わせにも最適です。
このカブは春に花芽が出にくいため春栽培に適し、当時は高級料亭で重宝されていました。見た目も美しく、春を告げる野菜として親しまれてきた伝統あるカブです。
あやめ雪
あやめ雪は、紫と白の美しいグラデーションが特徴的な小カブで、2006年に株式会社サカタのタネから発表された新しい品種です。首の部分が日に当たることで紫色になる独特な見た目が特徴。
果肉は緻密で甘みが強く、シャキシャキとした食感が楽しめるため、生食にぴったりです。サラダや漬物などでその鮮やかな色合いを生かすのがおすすめです。また、葉も柔らかく、漬物やスープの具材としておいしくいただけます。
なつばな
なつばなは、2021年に登場した春から秋にかけて栽培できる小カブの品種で、耐病性の高さや栽培のしやすさで注目されています。特に根こぶ病、萎黄病、白さび病に強く、高温期でも変形やス入りが少ないため、安定した収穫が可能です。
根の形は尻がまとまった豊円形で、白い表皮が特徴。肉質は緻密で柔らかく、みずみずしい甘さが楽しめます。また、葉軸が太く折れにくいため、結束作業がスムーズに行えるのも魅力のひとつです。
高温期の発芽も良好で、生育が早いことから、家庭菜園でも育てやすい小カブです。
CRゆきばな
CRゆきばなは、根こぶ病に安定して強く、低温期でも太りやすい小カブです。形状は甲高で尻がまとまり、変形やス入りが少なく、収穫しやすいのが特徴。葉軸が太くて丈夫なため、結束作業がスムーズに行えます。
表皮は白く、テリとツヤに優れていて、美しい見た目をしています。肉質は緻密で柔らかく、ほどよい甘みがあるため食味も良好です。
秋~春まきの栽培に適し、適湿管理を行うことで高品質な収穫が可能です。
小粋菜
小粋菜は、ミズナのようなシャキシャキとした葉と、緻密で歯切れの良いカブの両方を楽しめるユニークな小~中カブです。葉には深い切れ込みがあり、柔らかくおいしいため、サラダや漬物、鍋料理、炒め物など幅広い料理に活用できます。
適期栽培では播種後60~65日程度で収穫可能で、根こぶ病への耐病性も持っています。栽植密度を調整することで小カブから中カブサイズまで好みに合わせて育てることができるのも魅力です。
スワン
スワンは、株間を調節することで小カブから中大カブまで好きな大きさで随時収穫できる、使い勝手の良い品種です。
肉質は柔らかく甘みがあり、漬物やサラダはもちろん、煮物などの加熱調理でもおいしく楽しめます。
病気に強く、むやみに葉が伸びないため管理がしやすく、家庭菜園やプランター栽培にも人気です。サラダカブとしても知られ、甘さと育てやすさで愛されています。
金沢青かぶ
金沢青かぶは、石川県金沢市を中心に栽培される伝統的な在来種のカブです。直径約10cmのやや平べったい丸型で、重さは500~600gと大きめ。地上に出た部分が緑色に着色し、先端は白色という独特の見た目が特徴です。
肉質は硬く歯応えが良く、主に金沢の郷土料理「かぶら寿司」に使用されます。栽培が難しく生産量が減少しており、現在では改良種の「百万石青首かぶ」が主流となっています。
天王寺蕪(てんのうじかぶら)
天王寺蕪は大阪府の天王寺地区が発祥とされる「なにわの伝統野菜」の一つで、江戸時代から栽培されてきた歴史あるカブです。
直径約10cmのやや平たい丸形で、白い皮と緻密で甘みのある肉質が特徴です。葉には丸葉と切れ葉の2系統があり、どちらも柔らかく風味が良いため、漬物や煮物に適しています。加熱しても煮崩れしにくく、しっかりとした食感が楽しめます。
また、「野沢菜」や「博多据りかぶ」のルーツとも言われ、全国に影響を与えた品種でもあります。葉と一緒に漬物にするなど、無駄なく活用できる伝統的な食材です。
聖護院かぶ(しょうごいんかぶ)
聖護院かぶは、京都を代表する大型の丸かぶで、京漬物「千枚漬け」の材料として有名です。直径15~20cm、重さ2~4kgにも達する日本最大級のかぶです。
表皮は白く滑らかで、肉質は緻密で柔らかく、甘みが強いのが特長です。煮崩れしにくいため、煮物やスープに適しています。特にまた、生でも食べられ、サラダやかぶら蒸しなど多彩な料理に活用できます。
葉も風味豊かで栄養が豊富なため、炒め物や菜飯、みそ汁に利用できます。原産は京都ですが、近江かぶをルーツに持つといわれており、江戸時代から受け継がれる伝統野菜です。
早生大蕪
早生大蕪は、千枚漬にぴったりの大カブで、育ちが早く、スが入りにくいのが特徴です。
表面は白く、肉質はきめ細かく甘みがあり、歯応えが良いため、生で食べるサラダや漬物、煮物など幅広い料理に使えます。
種まきから約70日で直径12cm・1kg程度に成長し、更に大きくすることも可能です。
京千舞
京千舞は根こぶ病に強い大カブ専用品種で、生育が旺盛で育てやすいのが特徴です。
表面は白く、肉質は緻密で甘みがあり、繊維が少ないため、歯切れが良く千枚漬に最適です。
播種後約70日で直径12cm、重さ1kg程度になり、更に時間をおけば2kg以上に成長します。早太りで形が整いやすく、秀品率が高いことも魅力です。
温海かぶ(あつみかぶ)
温海かぶは、山形県鶴岡市温海地域で焼畑農法により栽培されている伝統野菜で、約400年の歴史を誇ります。
根部は直径5~10cmで、皮は鮮やかな赤紫色、内部は白色をしています。肉質が緻密で歯応えがあり、甘みの中にあるほのかな辛味が特徴です。
特に甘酢漬けに最適で、江戸時代には幕府に献上された記録もあります。
大野紅かぶ
大野紅かぶは北海道北斗市を中心に栽培される伝統的な赤カブで、江戸時代から続く在来種です。直径約10cmの扁球形で、鮮やかな紅色の皮と葉柄が特徴的です。
果肉は緻密で甘味があり、一部に赤みがさすこともあります。浅漬けや甘酢漬けなどで親しまれ、函館市周辺では名産品として千枚漬けにも加工されています。
万木かぶ(ゆるぎかぶ)
万木かぶは、滋賀県高島市安曇川町万木地区で古くから栽培される伝統的な赤かぶです。直径約10cmの球形で、表面は鮮やかな紅色、中は白く滑らかな色合いが特徴です。
果肉は適度な歯応えを持ち、漬物に最適です。特に漬け込むと紅色が果肉まで染まり、彩り豊かなお漬物に仕上がります。
生産量は少なく、漬物業者との契約栽培が多い希少な品種で、滋賀県を代表する赤かぶとして親しまれています。
飛騨紅かぶ
飛騨紅かぶは岐阜県高山市周辺で栽培される伝統的な赤かぶです。直径12~14cm、重さ300~400gの扁平な丸形で、外皮は鮮やかな紅色、果肉は緻密で柔らかく、ほんのり甘みがあります。
主に赤かぶ漬けとして利用され、漬けると内部まで美しい紅色に染まるのが特徴です。
津田かぶ
津田かぶは島根県松江市津田地区で江戸時代末期から栽培されている伝統野菜です。勾玉に似た独特の形で、上部が赤紫色、先端が白い外皮が特徴です。
果肉は柔らかく緻密で、甘みと香りが豊か。主に漬物用に利用され、漬けると独特の食感と旨味が楽しめます。
「はで干し」で天日にさらすことによって風味が増します。「はで干し」は松江市の冬の風物詩ともなっており、津田かぶの漬物は冬の特産品として愛され続けています。
もものすけ
もものすけは「サラダカブ」とも呼ばれる赤かぶで、甘く柔らかな食感が特徴です。
皮を手で簡単にむけるため調理が手軽です。果肉は水分が豊富でみずみずしく、フルーツのようなおいしさがあり、生食に最適です。
また、葉も栄養価が高く、根と一緒に食べると栄養を無駄なく摂取できます。
本紅赤丸蕪
本紅赤丸蕪は、茎や葉柄まで鮮やかな赤色をした中型の赤カブで、根は約10cmの扁円形をしています。耐寒性が強く、家庭菜園でも育てやすい品種で、播種後約55日で収穫可能です。
肉質は緻密で甘みがあり、煮物、酢漬け、塩漬けに適しています。
日野菜(ひのな)
日野菜は、滋賀県の伝統野菜で、細長い形と紅白の表皮が特徴的なカブの一種です。室町時代に日野町で発見されました。
そのピリッとした辛味とほろ苦さが漬物に最適で、塩漬けして実全体が桜色に染まった「日野菜漬け」は名産品として親しまれています。秋冬には葉が赤く染まり、風味が更に増します。
まとめ
カブは日本で古くから親しまれてきた野菜で、さまざまな品種が各地に根付いています。白はもちろん、赤や紫など多彩な色と形を持つカブは、煮物、漬物、生食と幅広く活用可能で、旬の冬には甘みが引き立ちます。また、家庭菜園でも育てやすく、初心者にもおすすめの野菜です。本記事で紹介した19品種を参考に、お気に入りのカブを見つけて、家庭での栽培やお料理に取り入れてみてくださいね!
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