試行錯誤を重ねたイチゴ栽培。救世主となったのは『海物語』
ハウスの中に一歩足を踏み入れると、目の前に広がるのは整然と並ぶ大粒のイチゴ。午後の取材にもかかわらず、真っ赤な実はつややかで、葉も青々としたみずみずしさを保っています。
「自分が食べておいしいと思えるものを届けたい」そう語るのは、「いっぽファーム」の代表・石川智之(いしかわ・ともゆき)さん。
石川さんは岩手県のイチゴ観光農園で経験を積んだ後、2022年10月に妻の圭(けい)さんとともに、地元である同県平泉町に「いっぽファーム」を設立。約1.5ヘクタールの農園で、ナスをメインに、とうもろこしや落花生など、年間10品目ほどの作物を栽培してきました。
そんな石川さんが平泉町の隣に位置する岩手県奥州市でイチゴ栽培を始めたのは、2022年のこと。未活用の施設があると聞き、念願だったイチゴ栽培をスタートさせました。現在、約4,500株を栽培。昨年からは、湿度を保ちながら風を循環させ、地下水を利用しハウス内の室温を一定に保つハウス栽培用温水温風暖房機「ナチュラルエコ371」を丸善薬品産業の紹介で試験導入するなど、より良質なイチゴを育てるため、日々工夫を重ねています。
しかし、挑戦には困難もつきもの。石川さんはこう振り返ります。
「初めて使う設備と環境だったので、特徴をつかむのが難しかったです。特に苦労したのが土。もともとここで使われていた土なので、いまだに何が含まれているのか完全には把握できていません」
肥料の種類や濃度を調整したり、土をリセットしたりと試行錯誤を重ねながら、2024年9月に2シーズン目を迎えたイチゴ栽培でしたが、2025年2月には前年を上回る収量を達成。その大きな要因となったのが、丸善薬品産業の特殊肥料『海物語』との出会いでした。
『海物語』の導入で昨年度比10%ペースでの収量増。食味にも変化が
石川さんが『海物語』を知ったきっかけは、ナス栽培で微生物資材『チャコプロ』のモニターを行っていたときのことです。その際に、丸善薬品産業からサンプルとして提供されたのが『海物語』でした。
日本農林規格(有機JAS)の適合資材である『海物語』は、植物の細胞活性化を促進し、防御機能を副次的に改善させる静菌・静虫作用や、側根誘導効果などがあるとされています。丸善薬品産業の坂下輝充(さかした・てるみつ)さんより説明を受けた際、石川さんは「今ある施肥体系を変えることなく、他資材との併用が可能で使い勝手の良さそうな資材」という印象を強くもったといいます。
「ちょうどイチゴの定植が終わったタイミングだったため、その場で導入は決めませんでしたが、ずっと気になっていましたね」と、当時を振り返ります。
本格的に使用したのは、それから約4か月後の2025年1月。当時使っていた丸善薬品産業のカルシウム肥料『葉活酢』と即効性微量要素肥料『みなトレ!』にプラスする形での導入を決めました。
「葉面散布の際に一緒に使える資材として勧められたのが『海物語』でした。肥料・農薬へ混用が可能なことはもちろん、なにより“量はいくら使っても大丈夫です”という坂下さんの言葉が決め手となりました。農家にとって、こうした使いやすさはとても魅力的です」
使用開始から約2か月。明確な変化が現れたのはイチゴの収量でした。イチゴ栽培では、収量が一時的に減る「中休み」が課題となります。いっぽファームでも昨年は2月中旬に収量が減少しましたが、『海物語』を導入した今シーズンは連続して実がなり、昨年の2月より10%以上上回る収量になったといいます。
うれしい変化は、それだけにとどまりません。今シーズンのイチゴは甘みの後に適度な酸味が重なり、バランスが良くなったと石川さんは話します。さらに、例年と比べて雪が少なく暖冬だったにもかかわらず、病害虫の被害が少なかったのだそう。
「病害虫の少なさに関しては劇的ともいえます。新たに導入した資材は『海物語』だけなので、影響は大きいと考えています」
『海物語』は栽培を下支えする資材と位置づける石川さんと坂下さん。
「さまざまな資材を組み合わせれば収量増加は可能だと言われていますが、単体でここまで多岐に作用する資材はありませんでした。『海物語』は病害虫の被害を軽減できるうえに、発根促進により収量が増やせる。これまでにない新しいジャンルの資材だと感じています」と坂下さん。
近年の気象状況の変化により、既存の資材では対応が難しい場面が増えている中で、『海物語』の重要性は今後さらに高まるのではないかと石川さんも期待を寄せています。
単品だけじゃもったいない!丸善の肥料の“トリプル施用”のメリット
この驚くべき効果が生まれた最大の要因は、3つの製品を組み合わせて使用したことにあります。
即効性のある微量要素によって成り疲れを防ぎ、トレハロースの働きで糖度や鮮度を向上させる『みなトレ!』。カルシウム補給に加え、酢酸によるエネルギー補充を実現する『葉活酢』。根の中から発根を促進し、リン酸の吸収を向上させることで収量の増加につなげる『海物語』と、この3つを組み合わせることで最大限の相乗効果を発揮できると坂下さんは語ります。
「まず、『みなトレ!』で数を増やします。次に、『葉活酢』でカルシウムを補給し、形を整えます。そして、『海物語』で一粒あたりの重さが増すことで総合的に収量がアップします。こうして、数が増え、形が良くなり、さらに増えた果実が落ちにくくなるのです。実際、1か月前にいっぽファームさんに伺った際は縦長のイチゴが多かったのですが、現在はほとんどが美しい円錐の形になっています。これを見て、成功を確信しましたね」
また、丸善薬品産業の考える3つの資材をセットにすると生育に必要な12種類の成分のうち、9種類を補えることにより、手持ちの肥料であるチッソ・リン酸・カリを変更せず、自由に選べて肥培管理をしやすい点が大きな魅力となっています。
「新規就農者の中には、既存の圃場を借りてスタートする方もいます。例えば土の中に前作の残渣があると、知らずに病気や生育不良などの発生要因となる場合があります。そのような不安のある方にも安心して使っていただける資材だと考えています」と坂下さんは語ります。
続けて石川さんは「これをひとつの基本に組み込み、さらに力を引き出せるような組み合わせのパターンを現場目線で考えていきたいです」と意気込みを語ってくれました。
3つの資材は、果菜類や葉菜類、果樹など幅広い作物に効果を発揮します。現在生育不良でお悩みの方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
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