畜糞堆肥の課題をペレット化で解決
畜産農業における牛や豚、鶏などのふん尿は、適切に処理をしなければ悪臭だけでなく水質汚染などの環境問題を誘発してしまいます。畜糞は産業廃棄物として処理しなければならず、日々かかってくる管理や処理のコストは決して小さくありません。
一方で畜糞を発酵させて作られる堆肥は、優良な有機質肥料として高い需要が見込まれています。日本では現在、化学肥料を中心とした農業となっていますが、化学肥料原料のほとんどを海外に依存し、近年の原料価格は高騰傾向となっています。近年では、畜糞や国内未利用資源による国産有機質肥料への転換が国の方針として示されており、多くが廃棄されてしまっている畜糞を資源として活用していくことが急務となっています。
しかしながら、畜糞を発酵させただけの堆肥は、粉状で風に舞いやすく撒きにくい、水分量が多いと重くべた付いて均一に散布することが難しいなど、化学肥料と比べて扱いにくさがあるのが実情です。そのような畜糞堆肥の課題を解決するのがペレット化です。

株式会社タイガーチヨダマテリアルのペレット成形機「プレスペレッター」は、独自開発の円錐形ローラーにより、均一で強固なペレットを高効率で製造できます。ペレット成形機を導入して堆肥をペレット化することで格段に扱いやすくなり、近年推し進められているドローン散布などスマート農業にも対応しやすい肥料として活用の幅が大きく広がります。
1人でオペレーション可能なプラント設計、ペレット売上3割を目指す
埼玉・深谷市で牛糞・馬糞を原料とした堆肥の製造販売を行う有機肥料総合メーカーの有限会社エー・アイでは、プレスペレッターを導入してペレット化した堆肥の製造に取り組むことを決めました。

「近隣の牧場などから良質の牛糞・馬糞を引き取り、発酵させて堆肥化した肥料を販売しており、近県を中心に東北から関西まで高品質の有機肥料を提供してきました。30数年のノウハウの中で、これ以上の品質向上はできないというところまで到達できていると自負しています。ただ、一般的に畜糞肥料の使用率はあまり高くなく、特に水田に関しては牛糞の使用率が一番低いんですね。その理由は牛糞堆肥の水分量が多く、撒きにくいから。そこを解決できるのがペレット化だと考えました」
近隣の農家も高齢化が進んで70代が中心となる中、有機肥料にニーズがあっても、これまでの重い堆肥を抱えて手作業していくのは現実的ではありません。「機械撒きができるペレット肥料がこの先の農業肥料には必要ではないか」と、同社代表取締役の齋藤大地さんは話します。

有限会社エー・アイ 代表取締役 齋藤大地さん
齋藤さんは過去にもペレット化を検討していましたが、当時検討していた機械は成形機の多くは乾燥しやすい鶏糞が対象で、水分量の多い牛糞や馬糞が想定されていませんでした。そのため品質が安定せず、生産性の確保が難しかったと言います。そこで齋藤さんは、その課題解決にタイガーチヨダマテリアルとともに取り組みました。
「ご縁があって、タイガーチヨダマテリアルの研究所へ原料をもって何度も足を運び、毎回テストレポートを出していただきました。良い品質のペレット肥料を作るために、しっかりと一緒に考えていただける安心感が大きかったのが、導入の決め手の一つでしたね」
タイガーチヨダマテリアルのペレット成形機「プレスペレッター」は、ローラーが円錐型のため原料を均一な圧力で押し出すことができ、安定した品質で造粒することができます。圧力が均一であるため偏摩耗も少なく、部品寿命が長いことも特徴です。原料のロスも少なく、高効率のため消費電力も少なくなっています。

導入しているプレスペレッター
「まず原料に含まれる水分の課題があったのですが、プレスペレッターの場合、水分量の許容範囲が広いんです。部品の交換も簡単なので、かなりスムーズに運用できていると感じています。投入量の加減を学ぶのに最初は多少のトラブルがありましたが、連絡するとすぐに対処していただけて、大きな問題は起こっていないですね」
導入されたペレット成形機は、原料ホッパーやコンベア、ペレット成形機が一列に並べられており、やや広めに設置。またエー・アイでは、米ぬかなど植物性肥料も扱っており、混合肥料のペレットも成形できるように中間ホッパーも追加されています。エー・アイの敷地に合わせ、作業性やメンテナンス性を高めたレイアウトとなっており、ニーズに合わせてカスタマイズした提案ができることも、タイガーチヨダマテリアルのペレット成形機の大きな特徴となっています。
「1人でオペレーションできる仕組みをかなり悩んで作ってくださったので、人的コストがかなり抑えられています。もし機械に負荷がかかれば自動で止まり、また自動で動き出しますし、従業員が1時間に1回、原料を投入すればいいように作ってくださっているので、それ以外の時間は別の作業をすることができるのがありがたいですね。ペレット肥料は一見価格が高く感じられますが、圧縮されているので使用量は少なくなりますし、機械撒きにも使えるので労力面でのメリットも大きい。確実な需要があると考えています」

ペレット肥料は、水分量が減るため保管性も上がり、圧縮されていることで運搬性も向上。散布しやすく、ドローン散布などのスマート農業にも対応できるようになります。今後はペレット肥料の増産を進め、ペレット肥料が売上全体の3割にまで育てたいと齋藤さんは語りました。
造粒試験を経て、原料投入から梱包までオーダーメイドでプラントを提案
タイガーチヨダマテリアルのプレスペレッターは、堆肥以外にも燃料などさまざまなものをペレット化できる成形機です。「肥料だけでなく、汚泥や木粉、廃プラ、炭、使用済み紙おむつなど、さまざまなものを造粒することができます」と話すのは、同社営業本部長の岩佐雅宣さんと環境営業本部部長代行の杉本隆明さん。

(左)杉本隆明さんと(右)岩佐雅宣さん
「いろいろな原料に対応しているだけでなく、粒径や長さ、硬さもダイス交換によって幅広く造粒できることが当社の大きな特徴のひとつです。埼玉工場の中に中央研究所があり、実際に造粒できるかどうかを試験してから販売させていただく手法を取っています。また、原料を投入するところから製品としてパッケージ梱包するところまで、トータルで設備提案できるので、安心して導入していただけるのではないかと考えています」(杉本さん)
「原料にもよりますが直径3ミリ~8ミリで造粒を希望されるケースが多いですね。肥料に関して言えば、ペレット化することで栄養がじわじわと土壌に浸透していくので、一気に栄養が抜けにくくなるというメリットもあります」(岩佐さん)

同社は営業所や視点が北海道から南九州まで全国にあるため、全国対応のアフターサービスを実現。広い敷地内を有効に使ったレイアウトから、限られたスペースでのコンパクトな設置提案まで、オーダーに合わせたプラント設計が可能となっています。今後は、機器運用の自動化を進め、より省人化を目指していきたいとしています。
「AIによる管理と完全自動化は今後、目指したいところ。人は快適な環境で管理をするだけでいい、という未来もやがてやってくるのではないでしょうか」(岩佐さん)
スマート農業にも対応できるペレット肥料事業は大きな好機
畜糞を使った堆肥の農業利用は、海外依存の化学肥料から脱却を図る中で、今後大きく需要が拡大していくことが見込まれます。そして急速に広まっている農業の機械化やスマート化に対応するためにも、畜糞由来の有機肥料をペレット化していくことは今後不可欠ともいえるのではないでしょうか。
また、これまで畜糞を廃棄していた農場などにとっては、産業廃棄物の活用を事業化して収益を上げられるビジネスチャンスになるかもしれません。
タイガーチヨダマテリアルは、畜糞をはじめとするあらゆる原料の新たな価値をともに創造していくパートナーとして、さまざまなノウハウやビジョンを提案していきます。ペレット成形機「プレスペレッター」に興味を持たれた方は、展示会などに足を運んでみてはいかがだろうか。
2025NEW環境展に出展しました!出店情報は随時更新致します。
2025NEW環境展・地球温暖化防止展
日時:2025年5月28日(水)~5月30日(金)
場所:東京ビッグサイト
詳細はこちら:https://www.n-expo.jp/
※次回出展の展示会情報を更新掲載予定
お問い合わせはこちらから

株式会社タイガーチヨダマテリアル
HP:https://tigerchiyoda-material.co.jp/
〒104-0033
東京都中央区新川一丁目16番4号 VORT茅場町イースト2階
TEL:03-3527-3775






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