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雑草は敵じゃない? ずぼらでもできる、 春に向けた雑草管理と活用方法

伊藤七

ライター:

連載企画:ずぼら女子の半農半X

雑草は敵じゃない? ずぼらでもできる、 春に向けた雑草管理と活用方法

家庭菜園に取り組んでいると、雑草は敵のように見えてきます。特に梅雨から夏にかけては、野菜が収穫できる嬉しさよりも、雑草と戦わなければならない苦しみの方が勝るほど。刈っても刈っても生えてきます。
しかし、雑草も上手く使うとメリットもあります。土の状態を判断したり、マルチのように活用したり、栄養として使ったりと、プラスの効果をもたらしてくれるのです。
本記事では、化学肥料を使わず、不耕起で野菜を栽培しているFarm Saludの坪谷真実(つぼや・まみ)さんから、雑草の管理方法や活用方法についてお話を聞きました。ずぼらな性格の方でも無理なくできる対処法のほか、有効に活用する方法までをお伝えしていきます。

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坪谷さんプロフィール

2021年に南房総に移住し農業を開始。年間約100種類程の野菜やハーブ、果樹、キノコを不耕起で栽培、養鶏も営み、自家採種にも取り組む。
https://www.instagram.com/farm.salud_regen.ag

雑草が生えている意味を考え、目的ごとに対応する

雑草について語ってくれる坪谷さん

野菜を栽培していると、つい雑草=邪魔もののように思ってしまいます。刈払機で綺麗に刈り取り、まっさらな土の上に苗を植えることが正しさのように感じますが、坪谷さんは別の視点から話してくれました。

雑草を活用しながら野菜を栽培されているようですが、どのような考え方から、雑草を活用するようにしているのでしょうか?

伊藤

坪谷さん

森林や草原の植生も含めて、植物が生えている意味を考えながら、畑を管理しています。雑草が生える第一の目的は土壌を被覆することなので、通路も畝も何かしらのもので覆っておいてあげると雑草は生えにくくなる、ということを前提としています。

実際に段ボールで覆っただけでも、このように雑草は生えにくいことが分かります。

被覆すると草は生えないことを体現したエリア

植物が地面を覆うことにより、水分を保ち、土壌流出を防ぎ、微生物の住処を作ります。また、根が土をほぐしたり、枯れると有機物になったりと、大地にとってはさまざまな恩恵をもたらしてくれるものです。

木や草が生えていることの意味を考えると、全て刈り取ってまっさらにするのではなく、一定の植物が生えた状態の方がよいかと思い、今の栽培方法にしています。

残すべき雑草や刈り取るべき雑草はありますか?

伊藤

坪谷さん

一概に言うのは難しいですが、目的によって使い分けることが大切だと思います。私の圃場は傾斜があるので雨で土壌が流出することがありますが、これを防ぐには根が細かく張っている雑草を残すことが有効です。また、風が強いエリアなので、風よけのために緑肥をある程度の高さまで生やしておくこともあります。

「この雑草は生やしておくべき」「この雑草は畑の敵」といったように白黒で考えるのではなく、どんな目的で雑草を活用したいのか考えることが大切なようです。

雑草管理・活用のポイント3選

筆者はずぼらな性格をしているので、夏場は刈払機で一気に刈り取るか、よく分からないまま雑草を生やして「なんちゃって自然栽培」をするか、の二択になりがちです。

坪谷さんの畑を見学しながら、お金がかからず、手間もそこまでかからない雑草の管理・活用ポイントを伺ってきました。

1.春のうちにイネ科の雑草を抜く

坪谷さんが抜いていたイネ科らしき雑草

植物を上手く活用しながら野菜を育てている坪谷さんですが、「イネ科っぽい雑草」は取り除くことが多いようです。梅雨を過ぎるとすぐに大きくなり、抜こうとすると労力がかかるため、指で摘まんで抜ける大きさのうちに除去するのが雑草管理のポイントとのこと。

昨年の夏、私の畑にもイネ科の雑草が生えていたので、4~5月のうちによく観察して、抜くべき雑草は抜いておこうと思います。

2.秋冬にまいた緑肥を活用する

坪谷さんの圃場にたくさん生えていた緑肥のヘアリーベッチ

坪谷さんの圃場を見学すると、クローバーやヘアリーベッチなどの緑肥がもさもさと生えていました。緑肥とは、土壌を改良して肥料成分を追加するために栽培される作物です。

坪谷さんは「草を生やさない」のではなく、「あまり生えてほしくない植物を抑制し、生やしたい植物を生やし、バランスのとれた環境を作る」というスタンスでいるそうです。

ソラマメの周りには緑肥としてヘアリーベッチをたくさん生やしていましたが、これを刈るのではなく、倒して管理していました。ヘアリーベッチが厚い層になり、生えてきてほしくない雑草を抑制したり、保温したりする効果があるようです。

緑肥は秋冬に種をまくのがコツとのこと。栽培したい野菜と同時に緑肥を育てると、野菜の苗に気を配りながらこまめに刈りこまなければならないため、緑肥のポテンシャルをフルに発揮させるのが難しいようです。私は秋冬のうちに緑肥を育てていなかったので、出遅れてしまいました。

坪谷さん

もし今から雑草対策として緑肥を活用するのであれば、「おたすけムギ」を使うのは一つの手かもしれません。春にまく大麦で、リビングマルチとして活用できます。栽培したい作物の生育を邪魔せずに、雑草を抑えたり、土壌流出防止などに役立つという仕組みです。枯れた後も土壌にすきこむことで肥料になるので、おすすめです。

緑肥をうまく活用することで、草刈りの労力は減り、土の状態も良くなり、良い循環を作れるようです。

3.ある程度の大きさにしてから刈払機で刈り取る

以前種をまいたというクローバー

坪谷さんの圃場に伺った3月中旬。カラスノエンドウなどの雑草が10~20cmほど生えていましたが、まだ刈らないようです。その理由は、少量の草を地面に敷いても風で飛ばされてしまううえ、量が少ないので肥料としては量が不十分だからとのこと。「活用する」という視点では、雑草がある程度の大きさになってから刈り取った方が良いというのは、言われてみればそうだなと思いました。

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坪谷さんは不耕起で栽培しているので、まとまった量を刈り取ったあとは、畝にすきこむことはしていません。刈った草はマルチとして畝に積むか、畝にあると邪魔なときは通路に積むようにしています。坪谷さんの圃場の通路には、藁やレモングラス、枯れた野菜や雑草、ウッドチップなどさまざまな有機物が敷かれていました。堆肥化されたあとに、畝に戻すようです。

緑肥として植えた麦を刈って、畝に乗せて、野菜の苗を植えた様子

4.作物の隙間に別の作物を植える

玉ねぎの隙間にレタスを植えた様子

雑草を抑えるためにビニールマルチを使う人が多いと思いますが、坪谷さんはマルチの代わりにレタスなどの葉物で玉ねぎの間を埋めています。雑草を抑制しながら他の野菜を育てられ、栽培面積当たりの生産率も向上させるという一石三鳥なやり方です。

玉ねぎとレタスの組み合わせ以外にも、ネギと落花生、トマトとキャベツなどでも同様の方法ができるようです。

雑草の管理・活用で気を付けること

通路にレモングラスが敷かれた圃場

雑草を管理・活用する場合、次のことに気を付ける必要があります。

1.種が繁殖する時期にすきこまない

気を付けたいのは、種が繁殖する時期に雑草を刈り取って、畑にすきこんでしまうこと。その雑草を減らしたいはずなのに、翌年はよりたくさん生えてくるというサイクルに陥ってしまいます。

私のように「ずぼらなくせに自然っぽいやり方が好き」だと、深く考えずに草を刈り、畑にすきこもうとします。しかし、タイミングを間違えると、生やしたくない草を増やしてしまうので、気を付けなければなりません。

2.目的に応じて雑草の管理方法を変える

にんじんを植えるなら抜きたい、という雑草

目的に応じて雑草の管理方法も異なるようです。たとえば、にんじんを植える場所には、根が張る雑草を残すと邪魔になる。風よけにしたいなら、ある程度の高さまで生やしておいた方が良い。

「この雑草は抜くべき」といった明確な基準があるというよりは、栽培したい作物やその土地の条件から、適切な管理方法を考える必要があるようです。

ずぼら的にはちょっと難易度が高い気もするので、ここは追い追いやっていけたらと思います。

3.周辺環境や慣行農業との兼ね合い

近くに畑をやっている人がいる場合、雑草や緑肥が多い畑を見ると「この畑は管理が行き届いていないのではないか」と思われる場合があります。栽培のスタイルについては、周辺環境とのバランスを取った方が安心です。

雑草の管理・活用に関するQ&A

気になることを坪谷さんに聞いてみました。

Q.春と夏によってやることは変わりますか?

A.手をかける頻度は変わりますが、大きくは変わりません。ただ、取り除いておきたい雑草がある場合は、指で抜ける春のうちに抜いてしまうのがポイントです。

Q.雑草管理のためにどのような道具を使っていますか?

三角ホー

のこぎり鎌

A.基本的にはのこぎり鎌と刈払機を使っています。草や土を移動させるときには「三角ホー」をよく使うので、持っておくと便利だと思います。

Q.おすすめの緑肥があれば教えてください

A.土壌を豊かにし、マルチとしての効果も高い「ヘアリーベッチ」はよく取り入れています。自分で緑肥を選ぶのが難しいという場合は、つる新種苗の「緑肥ミックス」がおすすめです。麦やクローバーなどの種が混ざった商品で、そのまま使えます。

春になってから植えるのであれば、おたすけムギもおすすめです。

ずぼら女子が雑草管理・活用のためにできること

私の畑に生えていた雑草(おそらくハハコグサ)

記事を執筆している3月下旬。今すぐにできることは「1.春のうちにイネ科の雑草を抜く」だろうと思い、久しぶりに畑へ行ってみました。私の畑は、日当たりの悪い谷地にあるためか、イネ科の雑草らしきものは見つかりませんでした。

代わりといってはなんですが、雑草の生え方の実験をするために、一面をもみ殻で覆った畝と、もみ殻を覆わない畝を用意してみました。土を覆うことでどのような違いが出るのか、観察してみます。

また、これから緑肥の力に頼るのであれば「おたすけムギ」がおすすめとのことだったので、おたすけムギの種を注文してみました。

今年の春は、イネ科の草を小さいうちに抜くように気を付けながら、おたすけムギがどれくらい効果を発揮してくれるのかを見守りたいと思います。

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