マンゴー栽培の基本情報と特徴

マンゴーは、ウルシ科マンゴー属に分類される常緑性の果樹である。原産地は熱帯アジア(インド周辺から東南アジア)とされ、現在では熱帯・亜熱帯地域を中心に世界中で栽培されている。日本では沖縄県や宮崎県、鹿児島県などの暖かい地域で栽培が盛んであり、特に完熟マンゴーは高級果実として扱われている。

玉文という品種のマンゴー
マンゴー栽培の大きな特徴は、温度、日光、水管理、樹勢管理の4つが非常に重要になることである。また、マンゴーは枝の先端に花芽をつける性質がある。そのため、収穫後にどの枝を残し、どの枝を伸ばすかが、翌年の開花や収穫量に大きく影響する。
果実を収穫するためには、ただ木を大きく育てるだけでなく、花を咲かせる枝を作る管理が必要である。
家庭栽培では、最初から露地で大木に育てようとするよりも、鉢植えでコンパクトに管理する方が取り組みやすい。特に寒さが心配な地域では、冬に移動できる鉢植え栽培が現実的である。

鉢植えで育てているマンゴー
マンゴーの栽培カレンダー

マンゴーの栽培歴
マンゴーの作業時期は、地域や栽培環境によって大きく変わる。ここでは、主に沖縄や暖地での無加温にて栽培した場合の目安として紹介する。
マンゴーは春に開花し、初夏から夏にかけて果実が肥大し、夏から初秋にかけて収穫期を迎える。1~2月は、ビニール張りや雨よけの準備を行う時期である。マンゴーは開花期に雨や高湿度の影響を受けると、炭疽病などの病気が発生する。そのため、早めにビニールを張り、開花期に花穂が雨に当たらない環境を作っておく。鉢植え栽培の場合も、開花期だけは軒下や簡易的な雨よけの下に移動すると管理しやすい。

開花時期のマンゴー
3~4月頃になると開花が始まる。この時期は、受粉や着果に関わる大切な時期である。花が咲いている間は、過湿を避け、風通しをよくすることが重要である。ちなみに、マンゴーの花は両性花と雄花があり、両性花に果実がなる。

マンゴーの花について

花殻を落としや花吊りをする

マンゴーの幼果の状態(キーツ)
4~7月は、結実した果実が肥大する時期である。果実が大きくなるにつれて、花吊りや果実吊りを行い、果実の重さで枝が折れたり、果実が傷ついたりしないようにする。また、花殻落としや袋かけもこの時期の重要な作業である。花殻が果実に付いたままになると、病気や汚れの原因になることがあるため、こまめに取り除く。袋かけは、病害虫や日焼け、擦れ傷を防ぎ、果実の品質を高めるために行う。

マンゴーの袋がけ
果実肥大期は、マンゴーが水を必要とする時期でもある。特に鉢植えでは、果実が大きくなる時期に水切れを起こすと、果実肥大が悪くなったり、落果したりすることがある。

収穫時期、袋に落果したマンゴーを収穫すると質が良い
7~9月頃は、品種や地域によって収穫期を迎える。アーウィンのような完熟落果型の品種では、果実が自然に落ちるため、ネットで受けて収穫する。一方、キーツや玉文のような追熟型の品種では、果実のふくらみ、果皮色、香りなどを見ながら収穫し、収穫後に追熟させて食べる。マンゴーは品種によって収穫の判断が大きく異なるため、栽培する品種の特徴を知っておくことが重要である。
収穫後は、切り戻し剪定を行う。マンゴーは収穫後に伸びた新梢が、翌年の結果母枝になる。そのため、収穫後の剪定は単に枝を切る作業ではなく、「翌年に花を咲かせる枝を作る作業」である。強く切りすぎると木に負担がかかるため、収穫した枝を中心に一節ほど切り戻し、新しい枝をバランスよく発生させる。
9~11月頃には、新梢が伸び、翌年に向けた枝づくりの時期に入る。この時期に伸びた枝を充実させることが、翌年の開花につながる。枝が混み合う場合は誘引を行い、光が当たりやすく、風通しのよい樹形に整える。マンゴーは枝先に花芽をつけるため、枝をどう配置するかが翌年の収穫に大きく影響する。
また、春から初夏にかけては、接ぎ木、挿し木、取り木などの繁殖作業を行いやすい時期である。気温が上がり、新梢の動きが活発になるため、苗作りにも向いている。植え付けは春から初夏に行うのが基本であり、鉢植えの場合は木の生育に応じて植え替えも行う。播種は気温の高い時期に行うと発芽しやすい。

マンゴー接ぎ木苗
マンゴーが好む環境(温度・日当たり・用土)

タイの紅象牙種の結実時期
マンゴーは暖かく、日当たりがよく、水はけのよい環境を好む。栽培適温はおおむね20~30℃前後であり、寒さには弱い。10℃を下回るような環境では生育が鈍り、さらに低温が続くと落葉や枝枯れを起こすこともある。特に幼木や鉢植えの木は寒さの影響を受けやすいため、冬越し対策が必要である。
日当たりは非常に重要である。マンゴーは明るい環境を好む果樹であり、日照不足になると枝が軟弱に伸び、花つきや果実品質が悪くなりやすい。家庭で鉢植えにする場合も、できるだけ一日を通して日が当たる場所に置きたい。ベランダ栽培では、南向きや西向きなど、日照時間を確保できる場所が望ましい。
ただし、ビニールの下で強い光が集中して当たる場合は、日焼けなどが発生するので注意が必要である。

日焼けの症状
用土は水はけのよさを最優先に考える。マンゴーは過湿を嫌いやすく、根が傷むと急に樹勢が落ちることがある。赤玉土、鹿沼土、軽石、腐葉土、バーク堆肥などを組み合わせ、水はけと保水性のバランスがよい土を作るとよい。地植えの場合も、粘土質で水がたまる場所は避け、高畝にするなど排水対策を行う。
雨に直接当てないために、屋根は必要不可欠

筆者らの育てるマンゴーのビニールハウス
一般的にマンゴーの栽培を有利に進めていこうと思うのであれば、ビニールハウスを活用することが求められる。ビニールハウスの目的は、雨が木に直接当たることを防ぐということと、冬季の加温である。
沖縄県だと、全方位を囲うビニールハウスは必要不可欠ではないが、雨が直接当たらないような簡易的な屋根やバリアはほしい。鉢植えなどで栽培している場合は、ホームセンターなどで販売されているパイプなどを使用して簡易的な枠組みを作り、上面にビニールシートなどを張って雨をしのいでもよい。雨が木に直接当たると問題になるのは、炭疽(たんそ)病などの病気と、開花時期の受粉不良である。炭疽病などは、カビが原因で発生するため、直接雨が当たると防ぐのが難しい。
また、マンゴーの花は、将来的に果実を太陽光にしっかり当てるため、花の段階で葉よりも上につるしていることも多い。そのため雨が直接当たると脱落してしまったり、花粉が機能しなかったりすることがある。
本土での栽培の場合、無加温だと冬の低温で枯れてしまう可能性が大きいので、5℃以下にならないような空間が保てる環境が必要である。沖縄県や南西諸島では無加温のビニールハウスで、宮崎県や鹿児島県本土では、加温ハウスで栽培が行われている。
初心者におすすめの品種とそれぞれの特徴

マンゴーも品種が多い
マンゴーには非常に多くの品種があるが、マンゴー自体の栽培がそれほど難しくないので、どの品種も比較的育てやすい。そのため、初心者が栽培する場合は、苗の入手しやすさ、国内での栽培実績などを基準に選ぶとよいが、お店では販売されない珍しい品種を栽培するのはどうだろうか。今回は、アーウィンも紹介するが、いくつか珍しくて美味しい品種を紹介する。
アーウィン

アーウィン(アップルマンゴー)
初心者にまずおすすめしやすいのが、アーウィンである。国内で「アップルマンゴー」として流通している赤いマンゴーである。沖縄や宮崎でも広く栽培されている。果皮が赤く色づき、完熟すると強い甘みと香りが出る。
アーウィンの大きな特徴は、完熟すると自然に落果することである。そのため、果実にネットをかけておけば、完熟したタイミングで収穫しやすい。収穫適期が比較的わかりやすい点は、初心者にとって大きなメリットである。一方で、果皮が柔らかく、炭疽病などの病気が出ると果実品質に影響しやすい。雨よけや風通し、袋かけなどの管理が大切である。
キーツ

キーツ
キーツは、沖縄で栽培されることが多い大玉のグリーンマンゴーである。果実が非常に大きく、500g程度から大きいものでは1kgを超えることもある。完熟しても果皮が赤くならず、緑色を残すため、収穫時期の判断には少し慣れが必要である。アーウィンと異なり追熟が必要な品種であり、収穫後10日から2週間前後が食べ頃である。追熟によって、果皮の色が少し明るくなり、香りが出て、果実にやわらかさを感じるようになると食べられる。
アーウィンとは違い、木から自然に落ちる完熟タイプではないため、収穫判断を学ぶ楽しさがある。家庭栽培では、木に負担をかけすぎないよう、果実数を少なめにすることが大切である。
玉文(ギョクブン)

ギョクブン
玉文は、台湾系のマンゴーとして知られ、果実が大きく、見た目にも迫力がある品種である。味は濃厚で、甘みと香りのバランスがよい。アーウィンに比べると、一般的な流通量は多くないが、苗木はよく出回っている。
玉文も、アーウィンのように自然落果で完熟を判断するというより、果実のふくらみや果皮色、香りなどを見ながら収穫し、追熟させるタイプである。収穫のタイミングを見極めるには経験が必要だが、うまく仕上がった果実の満足度は高い。大玉になりやすいため、鉢植えでは特に着果数を絞る必要がある。
金蜜(キンミツ)

キンミツ
金蜜は、黄色系のマンゴーとして注目される品種である。赤く色づくアーウィンとは異なり、黄色い果皮と強い甘みが特徴である。名前の通り、しっかり熟した果実は蜜のような甘さを感じることがある。糖度がかなり高く、濃厚な甘味がある。着果もよくおすすめな品種である。
金煌(キンコウ)

キンコウ
金煌は、台湾で育成された大玉系のマンゴーである。果実が1kg前後になることも珍しくなく、非常に大きくなりやすいのが特徴である。甘みもしっかりとあり、また風味が強い。炭疽病への耐性があり、アーウィンと比較して露地でも栽培しやすいが、隔年結果性が強く、果実が付く年と付かない年の差が激しい。適期に収穫して追熟させる。
西施(シースー)

シースー
西施は、台湾のマンゴー品種のひとつである。果肉のきめ細かさやなめらかさ、濃厚な甘味が特徴である。果実の食味や香りだけでなく、果肉の質感、全てが抜群であり、最高級の品種と言って良い。
リリー

リリー
リリーはフロリダで作出されたマンゴーである。丸みのある果形と赤い果皮が綺麗である。甘みと酸味のバランス、香りの良さが特徴である。滅多に市場流通しないが、希少な品種を育ててみたい方にはおすすめである。
紅象牙(ベニゾウゲ)

ベニゾウゲ
紅象牙マンゴーは、タイの象牙マンゴーから生まれた品種である。名前の通り、象の牙のように細長く、大きな果実になる品種である。果皮は赤く色づき、果実は1kgを超えることもあり、大きいものではさらに巨大になる。形のインパクトが非常に強く、見た目だけでも印象に残るマンゴーである。
アルフォンソ

アルフォンソ
アルフォンソは、インドを代表する品種であり、「マンゴーの王様」と呼ばれることもある。濃厚な甘み、クリーミーな食感、ハーブのような強い香りが特徴で、インド産マンゴーの中でも高級品種として知られている。
マンゴーを栽培する環境づくり(地植え・鉢植え)
マンゴーを育てる方法には、大きく分けて地植えと鉢植えがある。暖地で十分なスペースがあり、冬の寒さが厳しくない地域では地植えも可能である。一方、冬に冷え込む地域やベランダ栽培では、鉢植えの方が管理しやすい。
地植えのメリットは、根を大きく張らせることができ、木に勢いが出やすく、収量も増えやすい。ただし、マンゴーは寒さと過湿に弱いため、地植えする場所は慎重に選ぶ必要がある。北風が直接当たる場所、水がたまりやすい場所、日照時間が短い場所は避けたい。地植えする場合は、周囲より少し高く植える、高畝にする、排水路を作るなど、根が過湿にならない工夫を行う。
鉢植えのメリットは、移動できることである。寒い時期は室内や温室に取り込めるため、暖地以外でも栽培に挑戦しやすい。また、木をコンパクトに仕立てやすく、ベランダや庭先でも管理しやすい。一方で、鉢の中は根が張れる範囲が限られるため、水切れや肥料切れが起こりやすいので注意が必要である。
ベランダでの「鉢植え栽培」に必要な土と鉢選び
ベランダでマンゴーを育てる場合、まず重要なのが鉢の大きさである。小さすぎる鉢では根がすぐに詰まり、水切れや肥料切れを起こしやすい。苗を購入した直後は7~8号鉢でもよいが、木が大きくなるにつれて10号鉢以上に植え替えていくとよい。最終的には、管理できる範囲でできるだけ大きな鉢を使った方が樹勢は安定しやすい。
用土は、水はけを重視する。市販の果樹用培養土を使ってもよいが、排水性が弱い場合は鹿沼土などを混ぜるとよい。目安としては、水をかけたときにすっと抜けるが、完全に乾きすぎない土が扱いやすい。筆者らは、鹿沼土と赤玉土を同量入れて土を作っている。水はけが良過ぎて乾きやすい場合は、ココピートを2~3割加える。
マンゴーの苗選びと植え付け

筆者らの作る接ぎ木苗(ギョクブン)
マンゴーを収穫まで育てたい場合は、接ぎ木苗を選ぶのが基本である。接ぎ木苗は、品種が確定した苗であり、タネから成長した実生苗に比べて早く開花・結実しやすい。また、品種名が明確な苗を選ぶことで、収穫時期や果実の特徴を把握しやすい。
苗を選ぶときは、幹がしっかりしており、葉色がよく、病害虫の跡が少ないものを選びたい。葉に黒い斑点が多いもの、枝先が枯れ込んでいるもの、根元がぐらつくものは避けた方がよい。マンゴーは植え付け直後に根を傷めると生育が停滞しやすいため、根鉢を崩しすぎず、丁寧に植え付ける。
植え付けの適期は、十分に暖かくなった春から初夏である。寒い時期に植え替えると根が動きにくく、調子を崩すことがある。鉢植えの場合は、植え替え後に強い直射日光や強風にいきなり当てず、数日から1週間ほど様子を見ながら慣らすとよい。
また、接ぎ木苗の場合、幼木であっても花が咲くため、木の成長のために摘花をする。

このような状態の木は摘花をする
食べたあとの「種」から育てることはできる?

色々な品種のタネ
マンゴーは、食べたあとの種から育てることもできる。
果実の中にある硬い殻を割ると、中に種子が入っている。これを清潔な用土にまくと、容易に発芽する。スーパーで買ったマンゴーの種からも十分発芽する。観葉植物のように育てるだけでも面白い。

発芽したばかりのマンゴー
ただし、種から育てたマンゴーで、親と同じ果実がなるとは限らない。マンゴーには単胚性の品種と多胚性の品種があり、単胚性は基本的に雑種になり、親と違うものができる。また、多胚性のものは、一つの種子からたくさんの芽が出てくるが、それらのほとんどが、親と同じものである。ただし、実生苗は開花・結実までに長い年月がかかることが多い。本格的に果実を収穫したい場合は、やはり品種名が明確な接ぎ木苗を購入する方が現実的である。
一方で、実生栽培には大きな楽しさもある。自分で食べた果実の種から芽が出て、少しずつ葉を展開していく様子はとても面白い。収穫目的ではなく「マンゴーという植物を育ててみる」入り口としては、種まきは非常におすすめである。大きくなったら自分で接ぎ木をしてみても面白い。
開花から収穫までの管理と作業

マンゴーの開花から収穫までの作業と管理など
マンゴーは、枝の先端に花穂を伸ばし、多数の小さな花を咲かせる。しかし、花がたくさん咲いたからといって、すべてが果実になるわけではなく、実際に収穫まで残る果実はごく一部である。

ビニール張りと開花の様子
花が咲く時期に雨に当たると、受粉が上手くいかなくなったり、炭疽病が発生しやすくなる。家庭栽培では、開花期だけでも雨を避けられる場所に移動し、混み合った枝を整理し、風通しをよくするなどの対策が有効である。
花が咲いたら花つりと受粉虫の導入

マンゴーの花の開花の様子
マンゴーの花は、品種にもよるが、沖縄県だと1月下旬あたりから徐々に開花してくる。
房状の花序(花のつき方)で、枝に1000程度の小さい花をつける。花の重さで下向きに垂れるので、これを誘引ひもで上向きに引き上げ、つるしておく。後々実る果実をしっかりと太陽光に当てる目的や、重たい果実が地面などにぶつからないように支える目的がある。
受粉のためにハエかハチを活用する

マンゴーの花とキンバエ。キンバエなどの虫が受粉を助ける
マンゴーの花は虫媒花である。小花がたくさん咲くため、基本的に受粉にはハエかハチを利用する。沖縄ではほとんどの農家がキンバエを培養して受粉をさせる。魚のアラや魚粉などを使うと簡単に培養できる。筆者らは、近所の刺身屋さんから魚のアラをもらってきて、バケツに入れてハウス内につるしている。1週間もすると、勝手にハエが発生してくる。

キンバエを培養するための魚のアラ
ベランダで栽培しているときなど、培養が困難な場合は自然に来訪する虫を待つ。全方位にビニールをかけている場合は、側面は開けて虫が花を訪れられるようにしておく。
開花結実時期は、温度に注意する!
マンゴーの生育適温は24~27℃であり、開花して結実してくる3月から4月の時期は、このくらいの温度が理想である。最低でも20℃以上はあった方が良い。この時期に15℃以下の低温になると、胚が形成されずに小さな果実になることがある。また、受粉虫も低温だと活動量が低下し、受粉がうまくいかないこともある。
開花結実時期は、かん水を徹底すること!

マンゴーの花の様子
開花が始まって以降は、かん水をしっかり行うことが必要だ。
土壌が乾いたらたっぷりと水をあげて、なるべく乾燥ストレスをかけないように努める。
マンゴーの根は、太く直根性である。ゴボウの根のように深いところまで伸びているが、養分や水分をよりたくさん吸収する細根は少ない。そのため、しっかりと結実させるために水分管理を行うことが重要なのだ。
鉢植え栽培もほぼ毎日の水やりが必要である。
水分欠乏を起こすと花がしおれてしまい、一旦花がしおれてしまうと、その後かん水をしても元には戻らないので気をつけよう。また、果実肥大期にも、十分な水分が必要である。
果実が大きくなったら摘果と袋がけ!
果実がついたあとは、摘果を行う。マンゴーは一つの枝にたくさんの果実をつけすぎると、果実が小さくなったり、翌年の生育が悪くなったりする。果実肥大とともに、良い状態のものを選んでいき、最終的には、一つの枝に一つの果実を残す。また、果実が重たいので、しっかりと紐で上に吊るす。

受粉不良の果実は積極的に落とす

様子をみながら最終的には一つにしていく
果実が卵程度の大きさになったら、袋かけを行う。袋かけは、病害虫や傷を防ぐだけでなく、アーウィンのように完熟落果する品種では、果実を受け止める役割もある。地面に落としてしまうと果実が傷むため、果実が落ちても受け止められるようにしておく。

袋やネットをしていると果実を受け止められる
肥料の与え方(元肥・追肥・お礼肥)
次に、マンゴーの肥料管理について解説する。
元肥は、植え付け時に土づくりとして施す肥料である。地植えでは、完熟の牛糞堆肥を一本の木に対して、だいたい10kg(目安)ほど混ぜ込んでおく。植え付けの3週間から1か月前に行っておく。鉢植えでは、市販の培養土に元肥が入っている場合もあるため、追加で入れすぎないよう注意する。マンゴーの根は濃い肥料に弱いことがあるため、最初は控えめに始める方が安全である。
追肥は、生育期に木の状態を見ながら与える肥料である。筆者らは、開花前と果実肥大期の2回肥料を入れることが多い。沖縄県の場合、マンゴー専用肥料が販売されているため、そちらを活用すると良い。マンゴー専用肥料は樹齢別に施肥量が異なるため、肥料袋の裏面や、販売元の情報を参考に施肥すると良い(目安:3年生の木で年間200g/株)。筆者らは、米ぬかや魚粉を材料にぼかし肥を作っているので、そちらを施肥している。
お礼肥は、収穫後に木を回復させるための肥料である。マンゴーは果実を育てるために大きなエネルギーを使うため、収穫後の木は疲れている。この時期に適度な肥料と水を与え、新しい枝をしっかり育てることが、翌年の花芽形成につながる。
収穫のサイン
マンゴーの収穫判断は、品種によって大きく異なる。特に重要なのが、アーウィンのような完熟落果型と、キーツや玉文のような追熟型の違いである。
アーウィンは、完熟すると自然に枝から落ちる性質がある。そのため、果実にネットをかけておき、落ちた果実を受け止めて収穫する。このタイプは、完熟のタイミングがわかりやすい。
一方、キーツや玉文などは、収穫後に追熟させて食べるタイプである。収穫の目安は、果実が十分にふくらむこと、果皮色が少し明るくなること、肩の部分が張ってくることなどである。筆者らも最初は試し採りをしながら、判断している。
マンゴー栽培で注意すべき主な病害虫
マンゴー栽培では、病害虫対策が非常に重要である。特に開花期から収穫期にかけては、病気や害虫が果実品質に直結する。家庭栽培では農薬に頼りすぎるよりも、まずは「病害虫が出にくい環境を作る」ことが大切である。
具体的には、風通しをよくする、枯れ枝や病気の葉を早めに取り除く、鉢を過湿にしない、雨に当てすぎない、果実に袋をかける、といった基本管理が重要である。特にマンゴーは葉や剪定残渣が病気の発生源になることがあるため、圃場や鉢まわりを清潔に保つことが大切である。
炭疽病

炭疽病が出たマンゴー
マンゴーで特に注意したい病気が炭疽病である。炭疽病はカビの仲間によって起こる病気で、葉、枝、花穂、果実などに黒褐色の病斑を作る。開花期に発生すると花穂が傷み、着果不良につながる。果実では、収穫時には目立たなくても、収穫後に黒い斑点として現れることがある。
炭疽病対策では、風通しをよくし、過湿を避け、病気の葉や枝を早めに取り除くことが大切である。雨よけ栽培や袋かけも有効である。また、剪定した枝葉をそのまま株元に残すと病原菌の温床になることがあるため、ハウス外や栽培場所の外に持ち出して処分する。

炭疽病が出たマンゴーの葉
ドクガ

コシロモンドクガ
マンゴー栽培では、コシロモンドクガやタイワンキドクガなどのドクガ類にも注意が必要である。これらの幼虫はマンゴーの葉を食害し、発生が多いと葉が大きく欠けたり、枝先の新葉が食べられたりする。マンゴーは葉で光合成を行い、果実肥大や翌年の枝づくりに必要な養分を作るため、葉を大きく失うと樹勢低下につながる。特に幼木や鉢植えでは葉の枚数が限られるため、被害の影響が大きく出やすい。
カイガラムシ
カイガラムシは、枝や葉に付着して汁を吸う害虫である。発生すると樹勢が落ちるだけでなく、排泄物にすす病が発生し、葉や枝が黒く汚れることがある。見た目にも悪く、光合成にも影響する。
初期発生であれば、水や歯ブラシでこすり落とすこともできる。枝が混み合っていると発見が遅れるため、日頃から枝の付け根や葉裏を観察することが大切である。発生が多い枝は切除し、栽培場所全体の風通しを改善する。
アザミウマ

アカオビアザミウマ
アザミウマは、花や新芽、幼果に被害を出す小さな害虫である。果実表面に傷がついたり、見た目が悪くなったりすることがある。特に開花期から幼果期は注意したい。幼木に発生すると、木が枯れてしまう。
アザミウマは非常に小さく、発生初期に気づきにくい。雑草や周辺植物にも発生するため、鉢まわりやハウス内を清潔に保つことも大切である。
マンゴーを育てる上でのNG行為
収穫後の強剪定は避ける
収穫時期は、木が果実の生成を終え、最も疲れている時である。
この時に、やってはいけないことは「強い剪定」だ。これはかなりたくさんの枝を落とすような剪定のことをいう。
収穫後は、木をすっきりさせたくて、バサバサ切ってしまいがちであるが、木が果実生成を終えて最も体力がない時であるため、強い剪定をすると、枯れこんでしまったり、虫がついてしまったり、病気になってしまったり、さらには翌年の結実枝を生成しない場合がある。
収穫後は、一旦はこれくらいの剪定でよい(下写真)。

収穫後の剪定は1節程度にする
このように実がなっていた枝を1節程度、短縮させるだけでよい。
つまり軽い剪定(弱い剪定)でよい。その後、剪定した直下の芽から、新梢が3~4本ほど出てきて、元気が出てきたと感じるようであれば、その中でも太いものを1~2本残し、剪定してやる。収穫後はお礼肥(おれいごえ)とかん水も忘れずに施しておくとよい。
マンゴー栽培でよくある質問
マンゴーは家庭でも収穫できますか?
家庭でも収穫は可能である。特に暖かい地域では、鉢植えや簡易ハウスで収穫を目指すことができる。ただし、寒さが厳しい地域では冬越しが最大の課題になる。鉢植えにして冬は室内や温室に移動するなど、最低温度を確保する工夫が必要である。
マンゴーは何年で実がなりますか?
接ぎ木苗であれば、1~2年程度で開花・結実することがある。ただし、若木のうちは無理に実をつけるより、まず木を充実させることが大切である。小さな木に果実をつけすぎると、樹勢が落ち、翌年以降の生育に影響することがある。果実を収穫するためには、3~4年は木作りに時間をかけ、その後果実がとれたら良い。タネから育てた実生苗だと、7~10年程度はかかると考えた方が良い。
花は咲くのに実がならないのはなぜですか?
花が咲いても実がならない原因としては、受粉不良の可能性が高い。マンゴーの花は小さく、開花期の環境の影響を強く受けるため、花が咲いた時期に雨が多かったり、湿度が高かったりすると、雨滴で花が落ちたり、炭疽病などで花穂が傷み、着果しにくくなることがある。また、ハエや蜂などの受粉虫がいないと受粉されないので、その場合は、人工授粉などを行うとよい。
剪定はいつ行えばよいですか?
基本的には、立ち枝などの強い枝が出た時と収穫後に行う。ただし、収穫直後の木は果実を育て終えて疲れているため、収穫した枝を一節切り戻し、翌年の収穫のために新しい枝を出させる。その後、伸びた複数の新梢の中からよい枝を選ぶ。
まとめ
マンゴーは、栽培が難しく、プロ向けの果樹というイメージを持つ人も多いかもしれない。しかし、実際に育ててみると、マンゴーの木はかなり丈夫で育てやすい。寒さや過湿には注意が必要だが、日当たりと水はけのよい環境を整えれば、新芽をよく伸ばし、しっかり育ってくれる。熱帯果樹の中でも、栽培は簡単なほうである。
また、マンゴーは品種の世界がとても広い。定番のアーウィンだけでなく、キーツ、玉文、金蜜、金煌、紅象牙、アルフォンソなど、今回紹介したもの以外にも、とにかくたくさんの品種がある。品種によって果実の大きさ、色、香り、甘さ、食感がまったく異なるので、ぜひ色々なものを栽培してほしいと思う。初心者でも、まずは鉢植え1本から十分に楽しめるし、南国果樹らしいワクワク感を味わいたい人には、ぜひ挑戦してほしい果樹である。


















