夏になると被害も拡大!危険生物「スズメバチ」とは

スズメバチは、日本に生息する昆虫の中でも最も危険な昆虫の一つ。ミツバチの何倍も大きくて攻撃性が高く、敵とみなすと群れで襲ってくるので注意が必要です。とはいえ、種類もいろいろあり、すべてのスズメバチが凶暴なわけではありません。
ここではまず、スズメバチの危険度について解説します。
日本には17種類のスズメバチがいる
そもそも、「スズメバチ」とはハチ目スズメバチ科の中の「スズメバチ亜科」に属するハチの総称です。スズメバチ亜科の中にも3つの属があり、それぞれ「スズメバチ属」、「クロスズメバチ属」、「ホオナガスズメバチ属」と名付けられています。
日本には17種類ものスズメバチが生息しており、よく聞くオオスズメバチやキイロスズメバチは「スズメバチ属」です。
特に怖いのはオオスズメバチを含む4種類
オオスズメバチやキイロスズメバチが属している…ということで予想がつくように、3つの属の中で危険度が高いのはスズメバチ属です。その中でも、以下の4種類は攻撃性や毒性が高く危険なので、覚えておきましょう。
| 種類 | 大きさ | 特徴 |
| オオスズメバチ | 女王バチ:約40~45mm
働きバチ:約27~40mm |
世界最大のスズメバチ。日本全域に広く分布し、平地~低山地に生息している。攻撃性の高い性格とハチ類の中でも強い毒性を持ち、死亡事故も多い。巣は主に土の中や木の根元にできた洞などにつくられる |
| キイロスズメバチ | 女王バチ:約25~28mm
働きバチ:約17~24mm |
スズメバチ属の中では体が小さいものの、気性が荒く、毒性は同じ量で比較するとオオスズメバチよりも強い。近年、都市部での増加が報告されており、民家の軒下や排水溝など営巣範囲も広い。人への被害が最も多いスズメバチ |
| モンスズメバチ | 女王バチ:約28~30mm
働きバチ:約21~28mm |
オオスズメバチやキイロスズメバチほどではないにせよ、強い毒性を持つスズメバチ。最大の特徴は日没後もしばらくは活動するということ。樹木の洞や民家の天井裏など、人目につきにくい閉鎖空間に営巣する |
| コガタスズメバチ | 女王バチ:約25~30mm
働きバチ:約22~28mm |
キイロスズメバチと並んで都市部でよく見かける種類。庭木や茂み、軒先などに営巣する。あまり攻撃的ではないものの、巣を攻撃されるとしつこく追いかけてくることがある。毒性は強い |
夏から秋が数も被害もピーク!
スズメバチの一生は一年サイクル。越冬した女王バチが春に1匹で巣作りを開始し、生んだ卵が孵化して、夏には働きバチとして飛び回り始めます。
働きバチが巣作りや食糧の確保をしてくれるようになると、女王バチは産卵に専念できるようになるため、夏から秋にグッと巣が大きくなってハチの数も増えるのです。
しかも、秋は新たな女王バチとなる個体が生まれるため、ハチたちも巣を守ることに敏感になります。このため、夏から秋は数が増えることと攻撃性が高まることで被害も多くなると言われています。
死者も出る強烈な「アナフィラキシーショック」
スズメバチに刺されて死者が出るのは、毒そのものというよりは、毒が引き起こすアナフィラキシーショックが原因です。
ハチに刺されると痛みや腫れなどの症状が出ますが、通常は数日間で治まります。怖いのは、刺されてすぐに動悸やめまい、息苦しさなどのアレルギー症状が起きる場合。
こうした急性のアレルギー症状をアナフィラキシー、その重篤な状態をアナフィラキシーショックといって、死に至る場合があります。
「2回目に刺されると危険」とよく言いますが、すべての人に当てはまるわけではありません。1回目にハチ毒に対する抗体が体で作られた際に、特異的な抗体が作られた場合、2回目に入ってきたハチ毒に抗体が過剰に反応してアナフィラキシーショックを引き起こします。
スズメバチの習性と弱点

狩猟の基本はターゲットの生態をよく知ることから。というわけで、効率よく駆除をするためにスズメバチの習性も深堀りしていきましょう。
昆虫も食べるが、果実や樹液も好む
スズメバチというと、「幼虫のためにほかの昆虫を肉団子にする」という話をよく聞きます。筆者も最初のころは「スズメバチは肉食だ」と思っていましたが、数年前から庭のイチジクの木にやってきては熟れたイチジクを大きなアゴでガツガツと食べる様子を見るようになりました。
さらに、狩猟で山に入ると、クワガタムシやカブトムシに交じって樹液を舐めていることもしばしば。スズメバチといえどもやっぱりハチ。どうやら、甘いものが大好きらしいのです。
攻撃ターゲットにされると仲間が集まってくる
スズメバチが仲間を呼ぶという話を聞いたことがあります。これはどうやら事実らしく、威嚇しても立ち去らない相手には、マーカーとなる毒液を噴霧しているのだとか。人には見えないその毒液をかけられると、周囲にいる仲間が集まって襲ってくるそうです。
気温18℃以上で営巣が始まり、25~30℃で活発になる
春先に女王バチが目覚めて巣を作り始めるのは、気温が18℃を超えてから。さらに、20~30℃で活発に活動するようになり、働きバチたちが羽化する夏はちょうど活動しやすい気温になっているようです。
ただ、30℃を超えるとまた少し動きが鈍くなるようで、真夏の猛暑日が続く季節は特に朝方の涼しい時間帯によくスズメバチを見かけます。
雨や寒さが苦手
活動気温から見ても寒いと動きが鈍化するようですが、雨も苦手です。それは、羽が水分を含むと、羽が重くて飛べなくなるから。これは駆除のヒントになりそうです。
女王バチが一匹で巣づくりをスタートする
夏には大きくなる巣も、春先は女王バチだけで巣作りスタート。そして卵を産んでスズメバチを増やすのは、このたった一匹の女王バチです。
シカやイノシシと違って出産個体が一匹しかいないのなら数の調整も簡単そう…?
梅雨の前後に女王バチの狙い撃ちが正解!

以上のことから、スズメバチ駆除で効果的なのは「女王バチが活動を開始し、働きバチが孵化するまでの間に女王バチを駆除する」こと!
できれば春先から梅雨の前までに行うのがよさそうです。また、女王バチを探し回って直接捕殺するよりは、狩猟と同じで「わなを仕掛けて掛かってもらう」のが現実的。
ハンターお得意の誘引剤でスズメバチを駆除してみようと思います。
| ちなみに、スズメバチが単体でうろうろしている場合は、ハチ用殺虫剤で駆除することも可能です。 ただし、女王バチではなく、働きバチだった場合は仲間を呼ぶことも考えられるので、無理せずに業者に依頼した方が無難かもしれません。 なお、ハチ用殺虫剤はかなり離れた場所から勢いよく薬剤を噴霧できるため、スズメバチと距離を保ったまま駆除が可能です。普通の殺虫剤は遠くに飛ばずに霧散しやすく、効果もスズメバチには弱いことがあるため、ハエや蚊に使うような殺虫剤は絶対にスズメバチに使わないでください。 |
焼酎や酢で発酵した果汁のような誘引剤をつくる

誘引剤のベースとなるのは、林業従事者の方に教えてもらった「焼酎:酢:砂糖」を「3:1:1」で混ぜる誘引剤。
庭に来るスズメバチを見ていると、完熟して発酵しかけているイチジクに集まっていることが多いのですが、焼酎と酢を使うことでその発酵臭に近い匂いが出ます。さらに、甘いものが好きなので砂糖を足しているということでした。
今回はこちらをベースに、スズメバチが好みそうなものを混ぜてオリジナル誘引剤を作ろうと思います。
リンゴ酢・マスカット入り焼酎・はちみつなどを入れて3種検証

今回はせっかくなので、3種類を作って検証してみました。
A.焼酎3:酢1:砂糖1
教えてもらったベースそのままのシンプルな誘引剤。人間の鼻で感じる分にはもっとも発酵臭が強い。
B.焼酎3:りんご黒酢1:砂糖1:はちみつ0.5
フルーティなのが好きそうだし…ということで、酢の代わりにりんご黒酢を使用。はちみつも足してみた。しかしこれが、とても人工的な甘味料の匂いな上に、あまり匂いが周囲に漂わない。期待薄かも…?
C.マスカット焼酎3:酢1:砂糖1:はちみつ0.5
今回の本命。「ぶどうジュースも入れるといい」と聞いていたので、横着をしてマスカットフレーバーの焼酎を使用。はちみつも足した。フルーティな香りが結構しっかりと立ち、自宅でコバエほいほいとして3種使用したところ、このCが引くほど取れた。スズメバチにも効くだろうか?
2Lペットボトルを使ってわなを作成

誘引剤を入れる容器は2Lペットボトルを使用。カッターで窓を開けて、四角の下の一辺は切り離さずに内側へ折り曲げます。これで入りやすく出にくい構造に。

ちなみに最初失敗してしまったのですが、誘引剤の材料をすべて入れて、しっかり振って混ぜてから穴を開けるのがおすすめです。穴を開けてから混ぜると、当然中身が飛び散ります…。
水が苦手な習性を利用して誘引剤で溺死させる

焼酎300ml+酢100ml+砂糖100gを入れると、誘引剤はこんな深さになります。このトラップは、スズメバチの好きな匂いでおびきよせ、苦手な水に沈めるという習性を利用したわな。スズメバチが入って溺れるくらいの深さを意識しました。
山中の木で樹液に擬態させてみた

さて、掛ける場所ですが、最初は庭のイチジクの木の近くに掛けていました。しかし、考えてみたら検証をしている6月上旬現在、まだ働きバチは羽化していない可能性が高い。ということは、女王バチが巣を作ろうとしている場所を探さなくては…。
そこで、いつもわな(こっちは獣用)を掛けている山の中で、朽ち木に3本のペットボトルを掛けてみました。近くには樹液が染み出た木もあるので、スズメバチが来ているのではないでしょうか。この誘引剤ツリー、ハチから見ると「樹液がたまった変な木」に見えるかも?
5日後、女王スズメバチ捕獲!

ちょうど検証中に梅雨入りしてしまい、気温が下がったり雨が降ったりで、なかなか変化がない日が続いていました。
その間、蛾とハエがどんどん誘引剤に入っていて、「これ、スズメバチだめなんじゃ…」と不安になっていた梅雨の合間の晴れ。
めちゃくちゃでかいオオスズメバチが入っていました。これは女王バチです、間違いなく。
誘引剤Bが圧倒的な人気

ちなみに検証結果なのですが、こちらが5日目の朝の写真です。左がBのリンゴ黒酢、真ん中がCのマスカット焼酎、右がAのベースとなるシンプルな誘引剤。
一目瞭然なのですが、Bの焼酎にリンゴ黒酢、砂糖、はちみつを入れたものが圧倒的な効果を出していました。スズメバチが入ったのもB。人間的には人工的な匂いだし、香りも薄いしどうかなと思っていましたが…。
逆に本命だと思っていたCのマスカット焼酎入りは不人気。Aのベースにはハエがちらほら…。意外な結果となりましたが、これだけ差が出ると効率的な捕獲ができそうです。
さらに3日後、とんでもないことになっていた
しかし、話はこれだけでは終わらなかったのです。目的も達成したし、写真も撮れたし…と、3日ほどペットボトルを回収するのを寝かせていました。すると大変なことになっていたのです。

スズメバチがもりもりに入っていた
Bの誘引剤に、スズメバチが文字通りあふれるほど入っていました。ほかのペットボトルは3日前とほぼ変化なし。そんなにリンゴ黒酢おいしいの!?
しかも、この時はほかのスズメバチの死骸を踏み台に生きているのもいたので、ペットボトルを振って誘引剤に沈めてから急いで入口を閉じてガムテープで留めました。もし誘引剤をけちって浅くしていたらと思うとちょっと怖いです。

こちらが今回かかっていたスズメバチ。総勢16匹です。
上が働きバチで下が女王バチ?と思いましたが、さすがにこんなに女王バチはいないように思います。キイロスズメバチやコガタスズメバチかもしれません。そこで、体長を測ってみました。

オオスズメバチは、女王バチで約40~45mm、働きバチで約27~40mmらしいのですが…。体が丸まっているだけで、伸ばせば左の個体は余裕で45mmありますし、右の個体も30mmくらいありそうです。
もし大きいのがすべて女王バチなら、この夏の私の狩場は安泰かもしれません。
誘引剤を使うのは遅くとも梅雨明けまで
最後に注意なのですが、誘引剤トラップは「女王バチを駆除して巣をつくらせない」というのが目的です。夏になり、働きバチが増えてから誘引剤を吊り下げると、逆にスズメバチをおびき寄せてしまうことになるので危険。
今回の実験でも、場所を変えてから約1週間でこのように大量のスズメバチが集まってきています。特に、住宅地や子ども、ペットなどがよく行く場所には掛けないようにしてください。
まとめ
今回、初めてスズメバチをターゲットに狩をしたわけですが(笑)、天気と場所の条件さえそろえばかなり効率的に駆除ができそうだなと思いました。誘引剤も数百円でできるので、果樹園や畑などの近くで毎年スズメバチが出る…という人は春から梅雨明けにかけてトラップを仕掛けてみてはどうでしょう。
それにしても、普段わなをかける場所にもやはりオオスズメバチの女王バチが(しかも複数!)いたのかと思うとぞっとします。駆除しておいてよかったです。















