植物工場が数百兆円規模に拡大する可能性
開所式には、農林水産大臣の鈴木憲和氏、東京都知事の小池百合子氏、NTTグループの島田明社長らが参加。
Oishii Farmの共同創業者兼CEOの古賀大貴(こが・ひろき)氏は、これまで米国を中心に事業を展開してきた同社が、日本に研究開発拠点を設けた理由について説明した。古賀氏は「植物工場は品種開発と、それを支えるロボティクスや空調などの工業技術の組み合わせで成り立つ」としたうえで、「この両方の分野で強みを持つ国は世界的にも日本しかない」と強調。日本の製造業や技術基盤の優位性を背景に、「研究開発は日本で行うことが最適だと判断した」と述べた。
さらに、同社がこれまで米国で蓄積してきた技術を日本に持ち込み、国内メーカーと連携して量産化を進める方針も示した。植物工場専用のロボットや空調設備などを日本企業と共同開発することで、世界展開を見据えた産業基盤の構築を目指す。
古賀氏は植物工場市場について「将来的には世界で数百兆円規模に拡大する可能性がある」との見方を示し、「日本がその中心を担うチャンスがある」と強調。食料安全保障に加え、成長産業としての可能性にも期待を寄せた。

植物工場を次世代産業にするために
パネルトークでは、農林水産大臣の鈴木憲和氏、植物工場研究会理事長の林絵理氏、ミスミグループ本社の清水新氏が登壇。植物工場が持つ食料安全保障や産業競争力への可能性、今後の技術開発について意見を交わした。
植物工場研究会の林氏は、植物工場について「食料問題や環境・資源問題、健康問題などを同時に解決できる可能性を持つ技術」と説明。日本は植物工場の研究開発や商業化の歴史が長く、世界でも有数の技術基盤を持つ一方、「産業としてさらに発展させるには、企業や研究機関が連携して日本の強みを束ねていくことが重要」と語った。
また、ミスミグループ本社の清水氏は、Oishii Farmとの連携について「これまで自社で構築してきた植物工場の設備を、今後世界規模で展開するには、日本メーカーの力が必要」と説明。ものづくり企業として培ったサプライチェーンや生産技術を生かし、植物工場を新たな産業として成長させていく考えを示した。
鈴木大臣は、植物工場について「気候変動による農業生産の不安定化を技術で補うもの」との考えを示した。「日本が持つ高品質な品種や技術を世界に展開し、食料安全保障に貢献していくことが重要」と述べた。

また、鈴木大臣はパネルトーク後の取材で「気候変動により食料生産が不安定化する中、植物工場は世界の食料安全保障に貢献し得る重要な分野だ」と同センターへの期待を示した。政府としての支援については、成長戦略に基づく継続的な実証支援や、植物工場に適した新品種の開発を挙げ、「大規模投資が必要な分野であり、民間投資を後押しする枠組みづくりにも取り組む」とした。
海外展開についても言及し、「水資源が限られる国など、世界各国で需要がある。政府間の連携やネットワークを通じて、日本の技術を海外市場につないでいきたい」と述べ、外交案件としての展開にも意欲を見せた。

開所式で公開された植物工場。自動収穫ロボットがイチゴを一つひとつ丁寧に収穫する
オープンイノベーションセンターでは今後、数百種類の中から狙った特性を持つ品種を選び出し、光や温度などの環境を自在にコントロールしながら育てることで、新たな品種開発を加速させていく予定だ。
都市部における安定生産と環境負荷低減を両立する植物工場。新拠点を起点とした取り組みが、農業の未来をどう変えていくのか注目される。















