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堆肥も石灰も入れたのに不作 家庭菜園の土を土壌診断に出してわかったこと

相馬はじめ

ライター:

堆肥も石灰も入れたのに不作 家庭菜園の土を土壌診断に出してわかったこと

手をかけたのに家庭菜園の出来がいまいち。自分の腕のせいにしかけたとき、ふと土の状態が気になりました。そこで土壌診断に出してみると、返ってきたのは「肥料が足りない」という単純な答えではありませんでした。うまくいかない理由は何か。そのヒントとなる土の状態を数字で知り、何を足して何を控えるかを決めましょう。

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順調に見えたのに不作。疑ったのは土

順調に見えたのに不作。疑ったのは土

私はかつて農業法人でキャベツや白菜、ジャガイモ、米、麦などの栽培に携わっていました。現在は、自宅の庭先にある2.5×3メートルほどの区画で家庭菜園をしています。

今年植えたジャガイモの品種は、アルバン。植え付け時に元肥を入れ、土寄せも2回行いました。基本的な作業は押さえて栽培し、葉の色や茂り具合も順調に見えました。ところが、いざ収穫してみると小ぶりなイモばかりで、収量は前年の半分以下という結果に。

キタアカリとアルバン収穫量の比較

前年のキタアカリは3株で箱の底が埋まったが、今年のアルバンは7株でも底の3分の1ほどが空いた。株数を倍以上に増やしたのに、収量が減っている

同じ土で育てたキャベツ(金系201号)も玉が小さく、味も今ひとつでした。作物ごとの作り方に原因があった可能性もありますが、種類の異なる作物がそろって出来が悪いとなると、両方に共通する土の状態が気になりました。

牛ふん堆肥(たいひ)と苦土石灰を入れていた、「とりあえず」の土づくり

これまでの家庭菜園では、次のような管理を続けていました。

  • 冬場に牛ふん堆肥を入れる
  • 植え付け前に苦土石灰をまく
  • むやみに追肥しない

牛ふん堆肥は土をふかふかにするために、苦土石灰はpHの調整や、マグネシウム、カルシウムを補うために入れていました。
追肥を控えめにしていたのは、窒素を効かせすぎると、かえって生育や食味に影響する場合もあるといわれるためです。多く効かせるより、控えめにするほうがよいと考えていました。
どれも理由があって行っていたことで、それ自体が間違いというわけではありません。ですが、実際の土の状態を調べて選んだ管理ではなく、家庭菜園でよいとされる方法をそのまま自分の菜園にも取り入れていました。土に何が足りず、何が多いのかを知らないまま、資材を足したり肥料を控えたりしていたのです。
今後管理の仕方を変えるにしても、今の状態がわからないと間違った方法を取ってしまうかもしれません。そこで、土の状態を客観的な数値で確かめるため、土壌診断を受けることにしました。

コメリの土壌分析サービス。選んだ動機とプラン

コメリの土壌分析サービス。選んだ動機とプラン

実際に採取した家庭菜園の土

土の状態は、見た目では判断できません。作物の葉の色や、生育の勢いから推測できることはありますが、窒素やリン酸、カリなどの成分をどれくらい含んでいるのかは、実際に測定しなければわかりません。

コメリの土壌診断サービスを選んだ理由

依頼先としてJAも考えました。組合員であれば最寄りのJAが窓口となり、診断結果に応じた施肥の提案も受け取れます。ただし、利用できる条件や料金が地域のJAごとに異なり、非組合員で家庭菜園をしている私には、どこへ相談すればよいのかわかりにくく感じました。

そんな中ネット検索で見つけたのが、コメリの土壌分析サービスです。オンラインで申し込めるため、近くに店舗がなくても利用できます。プランごとの内容もホームページで確認でき、家庭菜園をしている身としては助かりました。
実際に利用したのは「簡易分析B(施肥設計付き)」プラン。料金は税込み1万3800円でした。簡易分析A(税込み3980円)より高くなりますが、可給態窒素や硝酸態窒素、アンモニア態窒素も分析項目に含まれています。2.5×3メートルほどの家庭菜園には、決して小さくない出費です。それでも、これまで確認してこなかった土の状態をできるだけ詳しく知るため、分析項目の多いBプランに申し込みました。

申し込みから診断結果を受け取るまで

申し込みから診断結果を受け取るまで

コメリ土壌分析サービスの採取用キット

利用の流れは次のとおりです。

  1. ホームページから申し込む
  2. 土壌採取用のキットを自宅等で受け取る
  3. 説明書に従って土を採取する
  4. 同梱された送り状で返送する
  5. メールで診断結果を受け取る

公式の案内では、キットは注文後1週間以内に発送され、検体が分析機関へ到着してから結果が出るまで約3週間、注文から結果が届くまでは約1カ月が目安とされています。今回は6月6日に土を採取し、診断書は6月24日に発行されました。

窒素は不足気味、カリ・苦土・pHは高かった

窒素は不足気味、カリ・苦土・pHは高かった

診断に出したのは、ジャガイモを収穫し終えた後の土です。今回の数値は採土時点の状態を示したもので、ジャガイモの栽培期間中の状態をそのまま再現したものではありません。

診断結果の主な数値

あらためて診断書から主な数値を見てみましょう。

成分・項目 単位 測定値 基準値 評価
可給態窒素 mg/100g乾土 21
硝酸態窒素 0.1
アンモニア態窒素 0.3
可給態リン酸 16.0 10.0~30.0 基準値内
交換性カリ 32.8 15.0~30.0
交換性石灰 338 170~350 基準値内
交換性苦土 52.4 25.0~45.0
pH pH 6.8 5.5~6.5
EC mS/cm 0.18 0.4~1.0

結果をひとことでまとめると、「肥料分が足りず、塩基類が多めでpHが中性に近づいている土」でした。
まず、「低」の評価がついたのはECです。ECは、土に溶けている肥料分(塩類)全体の濃さをおおまかに示す指標で、どの養分が多いか少ないかまではわかりませんが、今回は基準値を大きく下回っていました。窒素については、診断書のポイント欄に「不足気味」と書かれていました。一方で、カリと苦土は基準値を超え、石灰は基準値内ながら上限に近い状態でした。

つまりこの土は、単純な「肥料が足りない土」ではなく、窒素は不足気味なのにカリや苦土は余り気味。採土時点の土は、養分ごとの状態がバラバラだったのです。
また、pHも6.8と基準値を上回っており、ほぼ中性となっています。中性を好むキャベツにはよいですが、酸性土壌を好むジャガイモには合わない状態です。

比率は良好でも、養分の量には過不足があった

診断書には「塩基バランスは良好です」と書かれていました。塩基バランスとは、石灰・苦土・カリの3つの養分の「比率」のことです。比率が整っているイコール、それぞれの量が適正だという意味ではありません。
実際、量を個別に見ると、カリと苦土は基準値を超え、石灰も上限に近い状態でした。3つがそろって多めだったため、比率としては大きく崩れていなかったのです。
ただし、この「塩基バランス」が対象にしているのは石灰・苦土・カリの3つで、窒素やリン酸は含まれません。前述のとおり、ECは「低」、窒素もポイント欄で不足気味とされていました。「塩基バランスは良好」という診断書の言葉は、あくまで塩基3成分の比率についての評価であり、土の養分全体が過不足なくそろっていることを示すものではありません。

よかれと思って入れていた牛ふん堆肥

私にとって牛ふん堆肥は、肥料というより土壌改良材でした。土をやわらかくし、水はけや通気性を整えるために、冬になると入れていました。私はその働きだけを見ていて、牛ふん堆肥が同時にカリや石灰、苦土といった養分も土に持ち込むことは、ほとんど意識していませんでした。含有量は原料や製品によって異なりますが、入れ続ければ、これらの成分は少しずつ土にたまっていきます。カリと苦土が多めという結果に牛ふん堆肥がどこまで関わったかは断定できません。それでも、土を確かめないまま養分まで入れ続けていた管理は、見直すことにしました。

また、今回の不作を土だけで説明することはできません。天候や排水、種いもの状態、植え付け時期なども収量に関係します。土壌診断でわかったのは不作の原因ではなく、これまでの管理を見直すための手がかりでした。

土壌診断で見えた、資材の足し引き

土壌診断で見えた、資材の足し引き

土壌診断の結果、これまで習慣的に入れてきた資材の中に現時点では追加する必要性が低いものがあることも見えてきました。

来季の管理方針は、次の3つです。

  • 苦土石灰を控える
  • 牛ふん堆肥はいったんやめ、腐葉土を試す
  • 育てる作物に合わせて窒素を補う

苦土石灰は控え、堆肥は腐葉土に切り替える

苦土石灰は当面入れないことにしました。診断書には「苦土が多めですので、苦土資材の施用は控えめにしてください」とあり、pHも基準値の上限を超えていました。少なくとも今回の診断結果を見る限り、これまでのように植え付け前に苦土石灰をまく必要はありません。

牛ふん堆肥もいったん使用をやめ、来季は腐葉土を試します。これは診断書に示された対策ではなく、自身の判断です。土をやわらかくするという目的は変えず、肥料分の少ない腐葉土を使うことで余分な成分を入れないようにします。

育てる作物に合わせて窒素を補う

育てる作物に合わせて窒素を補う

診断書では、窒素が不足気味と指摘されていました。来季はこの不足を補うことを基本にします。
ただし、必要な量や施肥の時期は作物によって異なり、すべてに同じだけ与えればよいわけではないので、育てる作物に合わせて窒素の量を決めます。あわせて、すでに多いカリや苦土はこれ以上増やさないようにします。診断書でも、L型肥料(リン酸やカリを抑えた肥料)や単肥で養分を整える方法が示されていました。

追肥についても、これまでは土の状態を確かめないまま、量を抑えることを基本にしていました。今後は生育の様子と診断結果の両方を見ながら、必要な時期に必要な量を補います。

次の管理を決める判断材料

2.5×3メートルの家庭菜園に1万3800円をかけるのは、安いとはいえません。今後期待できる資材代の節約効果で診断費用を回収できるとも限りません。
それでも、支払いに見合うものはありました。これまで見えなかった土の中身が数値でわかり、来季に何を足し、何を控えるかを、根拠を持って決められます。金銭としてすぐ戻る費用ではありませんが、「なんとなくよいから」の資材選びから抜け出す元手にはなりました。

土を知れば、次の栽培で迷いにくくなる

土を知れば、次の栽培で迷いにくくなる

家庭菜園は、手をかけた分だけ報われるとは限りません。今回の土壌診断が教えてくれたのは、不作の犯人ではなく、これまで見えていなかった土の現在地でした。何が足りず、何が余っているのか。それがわかれば、いらない資材を買い足す前に立ち止まれますし、次の作物に本当に必要な一手を選べます。うまくいかない年を、「腕のせい」と片付けて終わらせない。土という土台から捉え直せば、来季の菜園は、今年より少し確かなものになるはずです。

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