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水を飲んでいるのに熱中症になる理由
汗で失われるのは水だけではない
暑い日に畑やハウスで作業をしていると、大量の汗をかきます。
汗をかくことは体温を下げるために欠かせない働きですが、汗として失われるのは水分だけではありません。
汗にはナトリウム(塩分)のほか、カリウムやマグネシウムなどの電解質も含まれています。特に農作業では、炎天下での草刈りや収穫、ハウス内作業などで長時間にわたり発汗が続くため、水分と電解質の両方が失われやすくなります。
例えば、朝から収穫作業を続けてシャツが何度も汗で濡れるような状況では、体内では水分だけでなく塩分も減っている状態です。しかし補給するのが水だけだと、失われた成分とのバランスが崩れてしまいます。
つまり、「汗で失ったもの」と「補給したもの」が一致していないことが熱中症につながるのです。

水だけ補給すると何が起こるのか
大量の汗をかいた後に水だけを飲み続けると、体液中の塩分濃度が低下することがあります。
塩分が不足すると、
・手足がつる
・筋肉がけいれんする
・強い疲労感が出る
・めまいがする
・頭痛が起こる
といった症状が現れることがあります。
例えば、午前中の草刈りを終えるころに足がつる、収穫中に力が入らなくなる、立ち上がった瞬間にふらつくといった経験はないでしょうか。
これが「水はしっかり飲んでいたのに体調が悪くなった」という事象の現れです。

間違いやすい3つの水分補給
「水だけを飲まない」ことの重要性を知っていても、実際には間違った補給方法をしてしまっている人は少なくありません。
喉が渇いてから飲む
多くの人がやりがちなのが、「喉が渇いたら飲む」という方法です。
人は軽い脱水状態では喉の渇きを感じにくいです。そのため、水分補給は喉が渇く前から行うことが大切です。
農作業では作業に集中しているため、気づいたときには思った以上に脱水症状が進んでいることがあります。
正しい方法は、喉の渇きに頼らず、時間を決めて飲むことです。例えば30分ごとに休憩アラームを設定し、その都度コップ1杯程度の水分を補給する習慣をつけると、飲み忘れを防ぎやすくなります。
一気飲みする
休憩時に大量の水を一度に飲む人もいます。
もちろん飲まないよりは良いのですが、一気飲みだけで長時間作業を続ける方法はおすすめできません。
汗は作業中に継続して失われているため、水分補給も継続して行う必要があります。午前と午後に数回ずつ補給時間を設けることで、体への負担を抑えながら効率よく水分を補給できます。
水だけを飲み続ける
最も注意したいのが、水だけを飲み続けることです。
日常生活であれば水やお茶でも問題ありませんが、大量に汗をかく農作業では事情が異なります。
炎天下での収穫や草刈り、長時間のハウス作業などでは、水分とともに失われる塩分の補給も意識する必要があります。 大量に汗をかく日はスポーツドリンクを活用したり、塩飴や補給タブレットを携帯したりするとよいでしょう。また、休憩時に梅干しや塩分を含む軽食を取り入れるのも方法の一つです。

農作業における正しい水分補給
では、農作業ではどのように水分補給を行えばよいのでしょうか。ここでは、作業前・作業中・作業後の3つに分けて見ていきましょう。
作業前
熱中症対策は作業が始まる前から始まっています。朝食で栄養と水分をしっかり補給しましょう。
朝食を抜くと、水分だけでなく塩分やエネルギーも不足した状態で作業を始めることになります。また、出発前にコップ1〜2杯程度の水分を補給し、水筒や飲料を準備しておきましょう。近年は、微細な氷の粒を含む飲料で体の深部体温を効率よく下げる「アイススラリー」も熱中症対策として注目されています。
作業中
作業中は、喉が渇く前からこまめに水分を補給することが大切です。特に気温の高い日は、20~30分ごとを目安に補給時間を設けると安心です。
また、あらかじめ休憩場所を決めておくと、休憩を後回しにしにくくなります。
作業後
作業が終わった後も、水分補給は欠かせません。
汗によって失われた水分や電解質を回復するため、水分だけでなく食事もしっかり摂りましょう。特に暑い日は、夕食まで我慢せず、早めの補給を心がけることが大切です。
スポーツドリンクと経口補水液、どう使い分ける?
ここまで、水分補給では量だけでなくタイミングや成分が重要であることを見てきました。では、実際にどのような飲み物を選べばよいのでしょうか。
スポーツドリンクには、水分に加え、塩分や糖分も含まれており、大量の汗をかいたときの補給に役立ちます。
これに対して経口補水液は、脱水症状が疑われる場合に用いられる飲料です。スポーツドリンクよりも塩分濃度が高く、水分や電解質を効率よく補給できますが、日常的な水分補給には向いていません。
食塩相当量が多く含まれているため、常用は避けましょう。

作業中の水分補給は、
・普段の作業中は水や麦茶
・大量に汗をかく場面ではスポーツドリンク
・脱水が疑われる場合は経口補水液
というように使い分けることが大切です。
市販品がない場合は、スポーツドリンクや経口補水液を家庭で作る方法もあります。例えば、水に砂糖と塩を加えることで簡易的な補給飲料を作ることができます。
ただし、経口補水液は水分や電解質の濃度が適切に調整されているため、自作のものはあくまで応急的な利用にとどめ、脱水症状が疑われる場合は市販の経口補水液を活用することが望ましいでしょう。
明日からできる熱中症予防習慣
正しい飲み方や飲み物選びを知っていても、忙しい時期になるとつい忘れてしまいがちです。そこで大切なのが、日頃から習慣化することです。
例えば、
・休憩・水分補給のアラームを設定する
・作業前に飲み物を準備する
・塩飴や塩分補給タブレットを携帯する
・毎朝天気予報とWBGTを確認する
・朝食をしっかり食べる
といったことは今日から実践できます。
また、梅干しや味噌汁など、普段の食事で適度に塩分を補給することも暑い時期の体調管理に役立ちます。

まとめ
熱中症対策は「たくさん水を飲むこと」だけではありません。
農作業では、水分とともに塩分や電解質も失われています。そのため、量だけでなく成分やタイミングまで意識することが重要です。
喉が渇く前にこまめに補給すること。大量に汗をかいたときは塩分も補給すること。そして、自分の作業環境に合わせて飲み物を選ぶこと。それが熱中症から身体を守る第一歩になります。
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参考資料
・厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
・環境省「熱中症予防情報サイト」「熱中症環境保健マニュアル」
・農林水産省「熱中症対策」
・政府広報オンライン「農作業中の熱中症予防のポイント」
・日本高血圧学会「減塩しながら酷暑を乗り切る!!熱中症を防ぐ6か条:熱中症予防と高血圧管理の観点から」

















