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ふかふかを目指す! 家庭菜園の土作りでまずやるべきこと

ふかふかを目指す! 家庭菜園の土作りでまずやるべきこと

畑をやってみよう!と思い立ち、まずはじめにやるのが「土作り」です。どんな堆肥(たいひ)を入れようか、他には何を入れたらいいか、いろんな微生物資材がインフルエンサーやネット記事にておすすめされているので迷ってしまいます。でも、本当に重要なことは他にあります。

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まずは排水性を考えよう

家庭菜園の土作りというと、堆肥、腐葉土、微生物資材、納豆菌、緑肥などさまざまな投入すべき資材を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、本当に土が悪い畑で最初に考えるべきことは、堆肥でも菌でもありません。それらは確かに土作りに大きく関わるのですが、物理性が一定水準に改善された上での話です。

そのため、まず考えるべきは排水です。
もちろん、偶然ちょうど良い土壌の状態の畑である可能性もあるのですが、日本では水田に適した圃場(ほじょう)を初めての畑にする場合がとても多いのです。
雨が降るたびに水がたまり、土の中から空気が追い出される畑では、どれだけ高価な土壌改良資材を入れても、まったく意味がありません。それでは植物が健全に育つ環境にはなりません。
水が抜けない畑に堆肥を入れ、菌をまき、耕し続けても根本的な問題は一向に解決しません。むしろ、過湿状態で有機物を大量に入れることで、土の中が酸素不足になり、腐敗的な分解が進むことになります。

この記事では、家庭菜園の土作り、とくに何かを投入する前にすべきことを解説します。
「1カ月でふかふかにする」という方法は確かにありますが、それが成立するのは、すでに排水の土台ができている畑での話です。排水が悪いのであれば、最初の1年は土をふかふかにすることより、雨水が圃場外へ出ていく仕組みを作ることを考えましょう。
逆に、真砂土(花こう岩が風化してできた砂や土)のような砂で固められた排水の良すぎる庭の土作りをしたいという人は、ここは飛ばして「排水ができたら土をふかふかにする」から読んでください。

土質だけが原因ではない

土が硬いと、「粘土質だから仕方がない」と考えがちです。しかし、同じ土質でも、水の流れによって状態は大きく変わります。
雨が降るたびに土が長時間ぬれ、その状態で人が歩いたり、耕運機を入れたりすると、土は練られてしまい、さらに硬くなります。
土の粒が細かくつぶされ、すきまがなくなり、乾燥したときには板のように固まるためです。耕した直後は柔らかくなるのですが、再び雨が降ると土が沈み、また硬くなります。
問題は耕し方ではなく、水が抜けないことです。

雨の日(もしくは翌日)に畑を確認する

排水を判断するには、晴れた日に畑を見るだけでは不十分です。雨の最中か、雨がやんだ直後に確認してください。ただし大雨の時に水路や畑に近づくのは危険ですので、警報など周囲の状況を十分に確認してから行動してください。
見るべきポイントは以下。

  • どこに水たまりが残るか
  • 圃場のどちら側が低いか
  • 畑の外へ水が出る場所があるか
  • 隣接する道路や斜面から水が流れ込んでいないか

圃場の中央だけを見ていてはいけません。
上の土地から入ってくる水、道路から流れ込む水、屋根から落ちる水など、圃場外から大量の水が入っていることがあります。
この外部からの水を止めない限り、畑の中に堆肥を入れても解決しません。

長期戦で排水を改善する

排水は、一度溝を掘れば終わりではありません。
雨の降り方、土の高さ、傾斜、水の出口を観察しながら、少しずつ修正していく必要があります。本当に排水の悪い畑なら、最初の1年は収量を追うより、雨水の流れを理解する年にしたほうが良いと私は思います。

地表排水には、水の出口へ向かう連続した勾配が必要

排水の基本は、重力です。水は高い場所から低い場所へ流れます。
したがって、圃場の表面には、水が出口へ向かうわずかな傾斜が必要になります。見た目では平らに見える畑でも、数センチの高低差によって水の流れは変わります。
畝だけを高くしても、畝間の水が圃場外へ出られなければ、畑の中に水をためているだけになってしまいます。重要なのは、畝間、排水溝、圃場外の水路がつながっていることです。

水の出口を決める

排水工事では、先に水の出口を決めます。どれだけ立派な溝を掘っても、その先が高くなっていたり、水路が詰まっていたりすれば水は流れません。
まず、圃場の外へ水を出せる場所を確認しましょう。畑より低い方に流れる道を作るのが重要です。
圃場内の最も低い場所から出口まで、水が連続して流れるように溝をつなぎます。よく行われる方法としては、畑の外側をぐるりと掘ってしまい、出口につなぐやり方です。スコップだと途方も無いように感じられるかもしれませんが、ちょっとずつでも良いので、やっておけばこれだけでも随分水はけはよくなります。
これを明渠(めいきょ)と呼びます。地表に掘る排水溝です。家庭菜園では、まず明渠から始めるのが現実的です。

畑の外側を掘ることで水はけがよくなる

圃場の周囲に溝を掘り、外部から入ってくる水を受けます。さらに、畝間の水が周囲の溝へ流れるようにつなぎます。
明渠を作る際には、溝の深さだけでなく、連続した傾斜が重要です。途中に高い部分があると、そこで水が止まります。
また、落ち葉、雑草、崩れた土で溝が埋まるため、定期的な掃除も必要です。排水溝は作って終わりではありません。維持管理し続けることで効果を最大限に発揮できます。

斜面の下や道路の横にある畑では、圃場内に降った雨より、外部から流れ込む水のほうが多い場合があります。
この場合、畑の中の排水だけでなく、圃場の上側(高い位置)に承水路を作ります。

承水路を作ることで外部から畑に水が流れ込むのを防ぐ

承水路とは、上から流れてくる水を畑に入る前に受け、別の場所へ逃がす溝です。畑の中へ入ってから排水するより、最初から入れないほうが効果的ですよね。
屋根の雨どいから流れる水や、舗装道路から集中して流れ込む水も確認してください。小さな畑でも、1カ所に集中する水量は想像以上に大きくなります。

暗渠(あんきょ)排水が必要な場合

地表の水は引くのに、土の中が何日も湿ったままになる畑では、地下の排水が悪い可能性があります。
この場合は暗渠排水を検討します。

暗渠排水とは、土の中に排水管や透水性のある資材を埋め、地下の水を外へ流す仕組みです。庭だと、施工の時に入っていることも多いですし、農業用地であればすでに入っていることもありますが、多くは詰まっていて機能していません。
小規模な家庭菜園では、排水管を入れる代わりに、深い溝へ砕石などを入れる方法が紹介されることもあります。
排水不良が深刻な場合は、無理に自己流で施工せず、土地改良や土木に詳しい人へ相談したほうが良いですが、これは劇的な排水改善につながるため、余裕のある人は検討すべきでしょう。

1年間、雨ごとに修正する

排水工事は、一度で正解にたどり着かないことがあります。雨が降ったら水の流れを見て、溝を数センチ深くしたり、水が止まった場所があれば、そこから出口まで傾斜をつないだり。
土作りというと、何かを投入する作業だと早合点する人も多いのですが、排水ができていなければ投入したものも全部水の泡だということを知っておかなければいけません。

排水ができたら土をふかふかにする

排水の基盤が完成したら、初めて土の中の構造を改善していきます。
ふかふかな土とは、単に細かく砕かれた土ではありません。土の粒が小さな塊を作り、その塊の間に水と空気が通るすきまがある土です。この構造を団粒構造といいます。
団粒構造は、有機物、植物の根、微生物、土壌動物などの働きによって作られます。

堆肥

堆肥は、土作りに役立つ資材です。
堆肥の主な役割は、その微生物のエサである有機物(炭素)を補給することです。有機物は微生物のエサになり、その分解過程で生じる物質や菌糸が土の粒同士を結び付け、団粒構造を構築します。
堆肥にはさまざまな種類が存在しますが、土壌改良・土作りに有用なのは腐葉土や牛ふん、馬ふんなどです。ふんの中に含まれる有機物をエサにして微生物が活動を広げます。
一方、堆肥の中でも鶏ふんは、有機物(炭素)があまり含まれていません。代わりに窒素やリン酸などの植物の生長に必須の栄養素が豊富に含まれているので、栽培中の肥料としてはとても有用ですが、土作り資材としてはあまり効果が期待できないんですね。

なお、造成された庭などで多い、真砂土や砂場の土のように、土壌というよりは砂、つまり生物的な働きのない土では、普通のやり方では植物は育ちません。
土壌とは宇宙の中でも地球にしか存在しない(今のところ)、生物的な培地です。長い年月をかけて気候や生物の働きが作用し生成され、植物を育て、無数の微生物や小動物のすみかとなる重要な自然環境であり、ただの砂とは全く違うものです。
そこにある砂を土壌に変えようと思ったら、そこに年月をかけて生物圏を構築しなければならないのです。
もちろんそんなに時間をかけていられませんので、数カ月に短縮するのですが、そのために必要なのは微生物とそのエサです。砂地にも、目には見えずとも大量の微生物が存在しますが、腐葉土や牛ふんに含まれている量はさらに多い。しかも今なお有機物をエサとして増殖中ですので、投入するだけで一気に数億年分の時間を短縮することができます。
10アールあたり2トン(1平方メートルあたり2キロ)の堆肥投入が目安と言われますが、完全な砂地の場合はその倍以上、たっぷり投入したほうが早く土作りができます。
すぐに作物を植え付ける場合は、完熟堆肥を投入しないと微生物の活発な活動によって熱を帯び、根が傷むことがあり得るので注意です。

菌の働き

土作りでは、追加で菌などを使う方法が紹介されることがあります。
しかし、菌をまけば硬い土が急にふかふかになるわけではありません。
土の中には、もともと膨大な数と種類の微生物が存在します。外から菌を追加することよりも、まずは既存の微生物が活動できる環境を整えるほうが重要です。
とはいえその菌について知ることで、より奥深い世界が広がっていくことも確かですので、またの機会に微生物について伝えられればと思います。

土作りでよくある間違い

排水不良を資材で解決しようとする

最も多い間違いは排水不良を資材で解決しようとすることです。
水が抜けない畑に、堆肥、もみ殻、腐葉土、微生物資材を入れても、根本的な排水不良は解決しません。有機物を大量に入れることで一時的に柔らかく感じても、土が沈み、再び硬くなることがあります。
まず水を圃場外へ出してください。

深く耕せば水が抜けると思う

耕した直後はすきまが増えますが、その下に硬い層があれば、水はそこで止まります。
また、細かく耕しすぎた土は雨で沈みやすく、再び締まります。耕すことと排水することは別です。水が移動する出口を作らなければなりません。

高畝だけで解決しようとする

高畝は根の位置を高くできますが、畝間の水が抜けないままでは不十分です。畝間から排水溝へ、排水溝から圃場外へ、水の道をつないでください。

菌を入れれば団粒化すると思う

菌は団粒形成に関わります。しかし、菌だけで土壌構造が変わるわけではありません。
有機物、植物の根、土壌動物、乾湿の変化、耕運、排水などが複雑に関わります。
菌資材一つで問題を解決しようとしないことが大切です。

ぬれた畑へ入る

雨の直後に畑へ入り、歩いたり耕したりすると、土を強く締め固めます。特に粘土質の畑では、ぬれた土を練ることで構造が壊れます。
排水設備を作った後も、畑に入るタイミングには気をつけましょう。

土作りは水の出口を作ることから始まる

家庭菜園の土作りで、最初に行うべきことは堆肥の投入でも菌をまくことでもありません。
雨水が圃場外へ出ていく設計を作ることです。
水が抜けない畑では、根が酸素不足になります。土は雨のたびに締まり、有機物は期待どおりに分解されず、野菜は根を深く伸ばせません。
その基盤ができてから、堆肥を投入して微生物を活性化させましょう。

次回はいよいよ、土作り本番!堆肥と菌の考え方について紹介しますので、お楽しみに!

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