バケツコンポストとは? 2つの種類と特徴
バケツコンポストとは、生ごみを分解するカビや有用微生物の働きを利用し、バケツを使って自宅でコンパクトに「たい肥」を作る手法のことです。
バケツコンポストには、大きく分けて以下の2種類の方法があります。
嫌気性(けんきせい)たい肥
酸素を断った嫌気状態を好む微生物の働きを利用し、発熱に頼らず長期間(最低3ヶ月〜半年)かけてじっくり発酵・熟成させる方法。養分が多く残るため「ぼかし」とも呼ばれます。
好気性(こうきせい)たい肥
空気(酸素)を好む微生物の働きを利用し、発熱させながら短期間で最速で発酵分解を進める方法。養分は分解されやすいため、土に近い性質のたい肥になります。
今回解説するのは、初心者に特におすすめな「好気性たい肥」の作り方です。
初心者におすすめする理由は、実践しても失敗の可能性が限りなく低いこと、万が一失敗しても臭気や虫の発生といったトラブルが軽度で済むこと、そして春・夏・秋の気候に向いているためです。次章にて、気好性たい肥のメリットについて詳しく見ていきましょう。

好気性分解の途中経過。春先から夏場に発酵促進資材=たい肥の養分として、米ぬかを使用した場合、2日〜1週間程度で糸状菌=白カビが発生する
初心者におすすめ! 好気性コンポスト3つのメリット
好気性コンポストには、初心者にとってうれしい3つのメリットがあります。
- 失敗の可能性が低い(腐敗しにくい)
- スピーディーに仕上がる(夏場なら3週間〜1ヶ月)
- 順調にいっているか、状態の判断がしやすい
特に3つ目の「状態の判断のしやすさ」は、コンポスト作りの勘を掴む重要なポイントです。今後さまざまなコンポストにチャレンジしたい場合も、基礎として一度体感・実感しておくことで、高度なコンポストへの挑戦も難しくなくなります。

好気性分解は、「最初に白カビが出始める」「次にコロコロとした塊ができ始める」といった変化が視覚や嗅覚でわかりやすく展開していきます。五感で状態を判断しやすいため、初めてコンポストに挑戦する方に最適な方法です。

基材の土が、発熱したことにより、乾燥しているのが目視でわかる。このままでは、せっかく始まった分解が途中で止まってしまう可能性が高いので、霧吹きで表面~内部までじわっと湿らせる程度に水を与える
また、短期間でスピーディーに仕上がるため、生ごみ入りのバケツが長期間鎮座することもなく、「生ごみコンポストがある」と気に留める期間が短く済みます。精神的な不安や気がかりが軽減されるのも大きな利点です。
専門的な観察を必要とせず、自分の五感に頼って順調かどうかを判断しやすいのが好気性の魅力と言えます。

筆者コンポストの腐敗分解失敗の一歩手前、ギリギリ嫌気的分解途中の一例。発酵促進資材は米ぬかを使用しているが、カビが出て乾燥に向かっている状態ではなく、どちらかというとぬか床のような重い湿り気を帯びている。香りは味噌系
腐敗(失敗)しにくい理由
「腐敗」に転びにくい好気性の強み
“失敗の少なさ”について具体的に解説すると、成功である「発酵分解」に比べ、失敗である「腐敗分解」は約20倍のスピードで進むと言われています。つまり、油断すると一気に腐ってしまうのです。腐敗分解は強烈な臭いを放ち、虫を寄せ付けます。
水分量を高めて酸素を断つ「嫌気性」の方法は、管理のわずかな差で腐敗分解へ傾きやすいデメリットがあります。そのため、まずは腐敗へ傾きづらい「好気性」の方法で成功体験を重ねるのがおすすめです。
好気性コンポストのプロセス
①基材・生ごみ・発酵促進資材にカビが出る
※資材を使うのは、養分と微生物の力を借りて最初に「カビ」を出すため
②基材、生ごみ、資材が混ざり合った「団子状態」ができ始める
③底からかき混ぜながら固まりをほぐし、水分過多の重い団子になっていないか確認する
④生の生ごみが残っていないか目視し、ツンとするアンモニア臭やアルコール臭がしないか、手触りや見た目が土に似ているかを確認する

基本的にはこれだけです。夏場なら3週間〜1ヶ月という最速の期間で完了します。 好気的な有機質分解(※)は、最終的には炭酸ガスと無機物、水のみになり、ほぼ、ただの『土(土壌生物たちが棲みやすい土)』といえる状態になるため、ここに栄養分を加えるために、発酵促進資材を使って微生物と養分を増やします。
畑の土、プランターの土が少し少なくなってきたなと感じた場合にも、この方法がおすすめです。市販される培養土の購入よりもかなり安価に土を準備することができるわけです。
※微生物が有機物から養分を吸収しながら、腐敗させ、二酸化炭素、水、アンモニアなどに変える工程のこと
好気性コンポストの注意点(デメリット)
好気性コンポストの唯一のデメリットは、生ごみの養分の一部が逃げてしまうことです。
じっくり時間をかけて分解させる嫌気性たい肥に比べると、好気性たい肥は栄養分が分解されて二酸化炭素や水などになりやすいため、養分を蓄えるというよりは「生ごみを分解して土に還す」という側面が強くなります。

嫌気的分解の途中経過。順調に進むと味噌や漬物、甘酒のような香りになり、不快な臭いはしない。嫌気性は密閉するため虫が湧きにくいとされるが、事前に卵が産み付けられていた場合やフタの隙間からハエが入るとウジ虫が発生するため注意が必要
なぜ定期的に「たい肥」を畑に投入しなければならないのか?
コンポストに慣れてきたら、たい肥が土の中でどのような役割を果たしているのかを知ることで、土づくりへの具体的な展望が開けてきます。
そもそも、ほったらかした状態の劣化していく土を、栽培にとって理想的な状態にし続けるためには、たい肥の定期的な投入が必要です。
たい肥は「養分のストックタンク」であり「微生物の棲み家」
たい肥とは、植物が育つための養分を一時的にストック管理する「タンク」のような存在です。
普段はタンクの中に養分(有機肥料、作物の残渣や刈り取った雑草などの植物遺体、動物遺体など)を貯めておき、作物が必要としたタイミングで引き出して提供します。このタンクから微生物が養分を分解して引き出し、作物の根に吸わせます。これを専門用語で「塩基置換(えんきちかん)」と呼びます。
たい肥という「養分タンク」と「微生物の棲み家」が掛け合わさることで、塩基置換というメカニズムがスムーズに起こる理想的な土壌環境が整うのです。
有害物質を中和する働き
たい肥は、土の中にある有害物質を中和する役割も担っています。
例えば、塩分濃度が高くても植物への塩害を緩和させたり、有機物分解の際に生じる有機酸の働きでアルミニウムの被害を減少させたりといった具体的な働きが、セルマン・A・ワクスマン博士の著書『Humus: Origin, Chemical Composition, and Importance in Nature 』でも説かれています。今回作る好気性たい肥は、こうした土中システムの基盤を作る一手となります。
多様な土壌生物を集め、ミネラルを運ぶ
たい肥を畑に混ぜると、バクテリア、放線菌、原生動物、菌類、ダニ、ヤスデ、ムカデ、ワラジムシ、ナメクジ、クモ、トビムシ、甲虫、アリ、ハエ、センチュウ類、ミミズなど、多種多様な生き物が集まってきます。
虫が苦手な方にとっては直視できないような生物もいるかもしれませんが、アリや甲虫などはカリウムやリンを運ぶ「ミネラルの運び屋」です。毛嫌いせず薄目で見守ってあげると、植物育成の目覚ましい好調を感じられるはずです。
団粒構造の形成と「定期破壊」への対策
たい肥に集まるミミズや微生物は、土の粒子を固めて「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」を作るのに貢献します。ミミズや微生物が作る団粒は、移動可能なフミン酸化合物によって安定します。
しかし、この団粒構造はバクテリアによって定期的に破壊されるという性質を持っています。そのため、定期的に有機物であるたい肥を投入し続けないと、土の構造は再び劣化してしまうのです。
干ばつ・雨対策と土中の通気性の確保
たい肥の投入は、夏の猛暑や長雨・雪(根の酸欠)に負けない「保水性と排水性を兼ね備えた土壌」を作ります。
また、ミミズが通った跡がそのまま通気口になるように、土中に空気の隙間(団粒構造)を作ることで通気性が保たれます。土中では、硫黄が二酸化硫黄に、炭素が二酸化炭素に、アンモニアが硝酸に変わる「酸化反応」が起きており、土壌生物たちが栄養を植物が利用できる形に変えてくれています。
このシステムを動かす土壌生物の活動には、酸素が必要不可欠です。「作物の根に通気性が必要」と言われるのは、作物の根に直接酸素を与えるためというよりは、**「根に栄養を届けてくれる土壌生物たちが窒息しないよう酸素を供給するため」**と言えます。植物は自分で栄養ドリンクの蓋を開けられないため、蓋を開けてくれる土壌生物に酸素を与えるイメージです。
さらに、菌と植物の根が共生する「菌根」の形成にも通気の良さが必要です。たい肥の投入によって、雨などで土の表面がカチカチに固まる「クラスト状態」を防ぐこともできます。
好気性バケツコンポストの始め方・作り方
ここからは、実際にバケツコンポストを仕込む手順を解説します。

用意するもの
-
バケツ
※仕上がり量が少なくてよい場合は小型から始めましょう。管理がしやすいです(小型は乾燥もしやすいため水分調整の回数が増える場合があります) - フタ(通気性のあるもの)
※虫の侵入を防ぎ、乾燥させすぎないために必須です。着古したTシャツ、タオル、目の細かい洗濯ネットなどでバケツを覆います。手元にない場合はゴミ袋に小さな穴をいくつか開けてかぶせてもOKです -
基材(以下のうち1つ、または複数混ぜて用意)
- 腐葉土(自家製でも市販でも)
- ピートモス
- たい肥(自家製でも市販でも)
- コーヒーかす
- 発酵促進資材(以下のいずれかを用意)
- 米ぬか
- アルファルファ(粉末またはペレット状。ペット用フードや猫砂として市販されているものが便利)

匂いを最低限に抑えたい場合は乾燥アルファルファがおすすめです。
植物性の資材には高い消臭効果があります。養分こそ米ぬかに劣るものの、臭気の出づらさ、虫の集まりづらさは発酵促進資材のなかでもかなり有用です。

アルファルファ資材の魅力と特徴
臭いを最低限に抑えて完成させたい場合は、乾燥アルファルファが特におすすめです。植物性の資材は非常に高い消臭効果を持ち、養分面では米ぬかに一歩譲るものの、臭気の出にくさ・虫の集まりにくさは資材の中でも極めて優秀です。
アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)は緑肥としても使われるマメ科植物で、センチュウ被害の出た土壌によく播種されます。窒素が豊富で分解が速く、根粒菌の恩恵も受けられます(生の株を同じ土壌で3年以上栽培するとアレロパシーやアブラムシの誘引などの影響も出やすいため、市販の加工品を使うのが最もコスパが良いと言えます)

すでにうっすらと白カビが発生し、分解が始まりかけている。このような状態の場合、腐敗臭を嗅ぎつけたハエが卵を産み付けている可能性があるため、後述する「発熱させる方法」などの処理を実践するのがおすすめ
仕込み手順
基材をバケツの3分の1程度まで入れます。
その後、発酵促進資材をひとつかみ程度入れます。生ごみは、果物の皮など水分が多いものは200g以内(およそリンゴ1個分程度)に収めましょう。乾燥しているものならば、バケツからはみ出さない程度の量(500g程度以内)まで投入してもよいでしょう。
生ごみの上に、発酵促進資材をさらにひとつかみ程度撒いてください。
さらにその上に基材をまばらにかけておくと消臭効果が高いです。
基材や生ごみ、発酵促進資材の分量に関してはある程度は自由に調整しても問題ありません。ただし、水分量だけは注意してください。多すぎる場合、嫌気性から腐敗分解になりやすく、酸欠などの問題が起こります。
もし、生ごみたい肥を作るのと同時に、微生物が棲み着きやすい腐熟化木質材を仕込みたいなら、ここに木材チップ、もみ殻、敷きワラなどを投入(底に敷くのがおすすめ)しておいて下さい。長期的に微生物が分解に取り組み、土壌の活性に貢献してくれます。

虫を寄せつけず、乾燥させすぎないためにも、バケツには通気性のあるフタをしましょう。
着古したTシャツ類、タオル、目の細かい洗濯ネットなどで覆って下さい。
通気性のある布系の資材がどうしても手元にない場合には、ゴミ袋に小さな穴を開けてかぶせてもよいでしょう。
日常の管理と設置場所
- 置き場所:直射日光でカラカラに乾燥してしまわない限り、日陰に限定する必要はありません
- 撹拌:「毎日1回底から混ぜる」か「2日に1回混ぜる」のが理想です。どうしても忙しい場合は、2週間に1回バケツの中身をひっくり返して「天地返し」をするだけでも進みます
- 触らずに作業したい場合:内容物を大きめのビニール袋にあけ、袋の上から揉んだり振ったりして酸素を含ませ、やんわりとバケツに戻す方法もおすすめです。ぎゅうぎゅうに詰め込まず、ほんの少し空気が入る隙間を残すのがコツです

筆者のバケツコンポスト。虫を寄せつけない&乾燥させすぎないため大きな鉢やバケツに中身をひっくり返して撹拌する
完成したか否かの判断基準
内容物に酸素を供給して戻したら、そこからさらに1週間か2週間ほど寝かせて完成です。
完成状態は「匂い」と「見た目」で判断します。
- 香り:ツンとする異臭や不快な臭いがなく、「土の匂い」「雨の日の土」「落ち葉」「畳」のような落ち着いた香りがするか確認します。
- 見た目:濡れてドロドロした生の生ごみの破片が残っていないか目視します。

内容物の残り方ですが、上記画像程度は問題ありません。卵の殻などがそのまま残っていて不安に思われるかも知れませんが、卵の殻はそのまま砕いて畑に投入します。コンポストのセオリーでは、分解が遅いので投入を避ける記載もありますが、卵の殻を酢で漬けて液肥を作り、その後、中身の殻も使用しています。
筆者はこれをたい肥の完成品とし、栽培に利用しています。基材として自作の腐葉土を利用。腐葉土としての完成度は未熟ですが、この後、畑に投入してフトミミズ類に分解を任せました。栽培中級の方は、これくらい形の残った枯葉を投入する際、窒素飢餓の心配があろうかと思いますが、生ごみで一次分解が済んでいるため、窒素飢餓が起こったことはありません。たとえば、自然栽培で、落ち葉をそのまま養分とするなど、生ごみで一次分解していない落ち葉を土に投入する場合は米ぬかを併用するとよいでしょう。
【菜園士のワンポイントアドバイス】先に「白カビ」を発生させて生ごみ分解を加速させよう

発酵促進資材に少しでも水を吸わせておくと白カビが出やすいです

著者の経験上、あらかじめ分解発酵のための「下地」を作っておく方が、生ごみの臭いが出にくく虫も集まりにくくなります。
基材(100〜120g程度)に発酵促進資材(大さじ2杯〜同量程度)と少量の水を加え、握ったときに水が垂れない程度の湿り気を与えて放置します。あらかじめ白カビ(糸状菌)を発生させてから生ごみを投入すると、分解が非常にスムーズになります。乾燥しすぎるとカビが出ないので、水分の微調整を行ってください。
資材ごとの注意点と裏技
発酵促進資材で「米ぬか」を使う場合

米ぬかは栄養豊富ですが、水を含んで酸化するとダマになりやすく、ほったらかすと腐敗しやすい面があります。
おすすめの裏技は、基材と米ぬかを混ぜて水を加え、日陰で放置して「コロコロとした塊」を作っておく方法です(これは著名な「カドタ式土のうコンポスト」の『発酵のタネ』に着想を得た手法です)。このコロコロした塊を生ごみに混ぜると、隙間から通風が保たれ、腐敗せずに分解が進みます。

コロコロしてダマになっている米ぬか。このまま長期間放置すると、中に青カビが出る。青カビはそれほど恐れるものでもないのだが、微生物多様化が途上の場合などには、やや取り扱い注意の側面もあるので、極力水分過多の状態は防ぐのが吉
筆者はあらかじめ基材と米ぬかをよく混ぜ合わせて、白カビを出しておいてから、生ごみコンポストとしてスタートすることがあります。

夏場、基材と米ぬかに水を含ませて屋外に置くとコロコロとしてくる。この下地発酵に生ごみを混ぜることで腐敗を防ぎ分解を最速化できる
発酵促進資材で「アルファルファ」を使用する場合

水を含ませてほぐしたアルファルファブロックの様子
イグサのような良い香りがする消臭資材です。吸水性・保水性が非常に高いため、数日かき混ぜを忘れてしまってもトラブルが起きにくいのがメリットです。バケツの底に乾燥状態のブロックを崩して敷き、その上に基材と生ごみを重ねていく使い方が効果的です。

吸水性、保水性の機能が高いため、ある程度のほったらかしでも問題が起こりづらいためです。
筆者の場合は、バケツの底に、乾燥状態のアルファルファを敷き(ブロックの場合、ばらばらに崩していれるか、またはブロックのまま何個か敷くと、初期は底石のような役割をします。その後、水分を含んで分解されます)その上に基材を投入します。

筆者はみかんの皮に出るペニシリウムが好きなので、コンポストにも投入するが、投入しないことを勧めるセオリーが多い。ペニシリウムの管理にハマるまでは、投入は控えるほうがコンポスト内の微生物のバランスがよくなる。みかんの皮=漢方にも使われる『陳皮』自体は栽培にも有用なので、干して砕いて使うとよい
生ごみの上に基材をたくさん乗せてしまうと通気性が保たれなくなるので、ばらばらにしたアルファルファを生ごみが丸出しとは言えない程度に乗せます(アルファルファの場合、乗せる量が分厚くなってもさほど問題は起きません)
虫が怖い時は「米ぬか(油かす)×油」で発熱させる
コンポスト内の虫の卵を消滅させたい場合、米ぬか(またはアブラカス)に廃棄油を混ぜて投入すると、微生物が一気に増殖して発熱が起こります。白カビ(糸状菌)が増え、熱によって虫の発生を抑えられます。
分量目安としては、米ぬか(または油かす)ひとつかみに対し、油を「大さじ2杯」程度。
ビニール袋の中で米ぬかと油を揉み込み、団子状にしてからコンポストへ投入します。
※発熱後はバケツの底に湿り気が溜まりやすく、そこから嫌気・腐敗に傾くことがあるため、底の基材をしっかり混ぜ込んで水分量を均一に保ちましょう(基材を握って水滴が落ちず、団子状にまとまる湿り気がベストです)

さらにこだわりたい方へ! 有用微生物を捕まえて増やす方法
コンポストに慣れてきたら、土に良い影響を与える微生物をご自身で捕まえて投入してみるのも面白い挑戦です。
1. 酵母菌の利用
酵母菌は、ブドウ糖を分解してビタミンやアミノ酸を作り出し、乳酸菌や放線菌の増殖を助けます。
捕まえ方は、ブドウ100gを洗わずにガーゼで包んで潰し、絞り汁を光と酸素が入らない容器に入れて30℃前後の環境に数日置きます。フタを開けて気泡が出ていれば発酵成功です。これを土壌に撒けば自家製酵母資材になります(その他、ドライイーストやヨーグルトを使った「えひめAI」なども有名です)
2. 乳酸菌(種子の発芽促進・土壌殺菌)の利用

有害な菌の増殖を抑え、強力な土壌殺菌効果を発揮します。
捕まえ方の一例としては、土や基材の上に米ぬかを厚めに乗せてたっぷり水を含ませ、透明ビニールをかぶせて直射日光に当てて放置します。数日で米ぬかの中の乳酸菌が増殖し、白カビが発生します。

米ぬかのなかにいる乳酸菌が水分を得て増殖します。
『土ごと発酵』という呼び名などでこの手法が取り入れられています。

筆者の生ごみたい肥用ぬか床のなかに増殖している乳酸菌
コンポスト作業や微生物を捕まえる作業の注意点
カビや微生物を扱う作業のため、マスクや手袋を着用するとともに、コンポスト管理後は手洗いやうがいを徹底してください。
完成した「好気性たい肥」の使い方と完成品かどうかの見分け方

好気性分解の場合、春〜夏には3週間〜1ヶ月ほどで完成します。微生物の働きが鈍くなる秋〜冬場は2ヶ月〜3ヶ月ほどかかる場合もあります。
完成した好気性たい肥は養分が強すぎないため、量を神経質に気にせずプランターや畑の土に混ぜ込んで使用できます。
たい肥を混ぜた土の中では「放線菌」が活発に働きます。放線菌はミミズのフンなどに多く含まれ、抗生物質を作り出して病原菌や有害カビの増殖を抑えてくれる極めて頼もしい微生物です。実際に完成したたい肥の状態を写真とともに解説します。
未熟な状態の例:まだ使用不可

【未熟例①】塊の中にどろどろした生の生ごみが残っている状態。砕いて中身を確認し、このような生ごみが残っていないかチェックする。好気性で進めるなら再度発熱させる必要がある

【未熟例②】上記より分解は進んでいるが、生ごみの形がまだはっきり残っているため未熟。夏場ならあと2週間ほどコンポスト内で分解を進める

【未熟例③】あと1〜2週間分解を続けたい状態。一度油などを加えて発熱させると分解がスピードアップする
完成品(完熟)の例:使用可能な状態

【完成例①】理想的な状態。木くずなどの有機物が残っており、畑に投入すればフトミミズ類が集まってくる。落ち葉の葉脈が目視でき、微生物が豊富。未熟な有機物をそのまま土に入れると「窒素飢餓」が起きるが、生ごみで一次分解が済んでいるため問題なく使用できる

【完成例②】残った魚や肉の骨。骨はコンポストのセオリーでは敬遠されるが、野生動物に荒らされる環境でなければ栽培上の問題は起きない

【完成例③】アメリカミズアブの幼虫や土壌動物が加わった形跡があり、豊富な養分を含んだ状態。卵の殻やティーバッグの紙類が残っていても問題なし

【完成例④】ゴロゴロとした質感は土の通気性を保つのに最適。土の中に混ぜ込んで使っても問題が起きない完熟度

こちらはほぼ完熟した例。卵の殻やカボチャの種、枯葉が残るが完成とみなせる状態。すぐに苗を植え付ける場合は土の上に敷き、植え付けまで1週間以上置けるなら土に混ぜ込んでOK

たい肥の完熟度を確かめる方法として、アブラナ科の種を蒔いて「発芽するか」「葉が黄色くならずに育つか」を観察する発芽実験もあります(葉が黄色くなる場合は土中の窒素が不足する『窒素飢餓』が起きています)
まとめ
土を良くしてくれる本当の立役者は、ミミズをはじめとする土壌生物や微生物たちです。彼らに快適な環境を提供することこそが、豊かな作物を育てる一番の近道であり、その手軽で強力な手段が「バケツコンポスト」です。
今回の好気性コンポストで起きる失敗といえば、「乾燥しすぎて分解が止まってしまった」程度のことです。もし乾いてしまったら、水を加えてかき混ぜればいつでも再スタートできます。
「失敗したら普通に生ごみとして捨てればいいや」くらいの気軽な気持ちで、ぜひ一度バケツコンポストによる土づくりにチャレンジしてみてください!















