マコモダケとは|キノコでもタケノコでもない野菜

マコモダケは、名前だけ聞くとタケノコやキノコの仲間のように思われるかもしれません。見た目もタケノコのようで、皮をむくと白い姿がキノコを思わせますが、そのどちらでもありません。
正体は、イネ科の多年草マコモ(真菰)の茎が肥大したものです。マコモは水辺に群生する植物で、その根元に黒穂菌(くろぼきん)という菌が寄生すると、茎の下のほうがふくらんで白くやわらかくなります。この部分がマコモダケです。黒穂菌はトウモロコシやサトウキビに黒穂病を起こす菌の仲間ですが、マコモに感染する菌種はマコモと共存してこの食用部分をつくります。栽培用の株には黒穂菌が寄生しており、株を分けるときに一緒に受け継がれます。
マコモダケは、中国で古くから食べられてきた野菜です。日本には戦前に台湾から導入されましたが、当時は普及しませんでした。近年になって水田転作の作物として見直され、各地で栽培されています。一般的に「マコモダケ」と呼ばれますが、生産や流通では「マコモタケ」と表記されることがあります。
特徴

中華料理の食材として知られるマコモダケですが、実際に手に取ったことがある人はそう多くないでしょう。ここでは食感、味と香り、見た目や大きさの3点に分けて紹介します。
食感
アクやえぐみがほとんどなく、生のままかじるとシャリッとした歯ざわりでみずみずしく、薄切りにしてサラダに使えます。加熱するとタケノコに似たシャキシャキとした歯ごたえが楽しめますが、筋っぽさや硬さはありません。ただし火を通しすぎると歯ごたえが失われます。炒め物や煮物ではさっと火を通す程度にとどめるといいでしょう。
味・香り
味は淡白で、かむとほのかな甘みが広がります。香りも控えめで、スイートコーンに似た甘い香りがかすかにある程度です。加熱すると甘みが増すので、焼く、炒める、揚げるといった調理が向いています。どんな味付けにもなじみ、和洋中を問わず使えます。
見た目・大きさ
マコモダケは緑色の葉に包まれ、皮をむくと乳白色のなめらかな可食部が現れます。大きさは長さ15〜25cm、太さ3~5cmほどです。表面につやがあり、切り口が白くみずみずしいものが良品とされています。切ったときに黒い斑点が見えることがありますが、これは黒穂菌の胞子で、マコモズミと呼ばれます。食べても差し支えありませんが、食味は落ちます。
産地
マコモダケは、休耕田の活用先として広がった作物です。三重県は休耕田を生かせる期待の作物と位置づけ、県内の学校給食にも取り入れています。なかでも三重県菰野町は、町名の「菰野」がマコモに由来する、国内有数の産地です。石川県津幡町では1997年から栽培が始まり、翌年には生産組合が設立されて特産品として定着しました。ほかにも富山県や茨城県、新潟県など全国各地で産地化が進められています。
旬
収穫期は秋です。地域によって多少の差があり、早い産地では8月下旬から出回り、遅いところでは11月ごろまで続きます。ただし各産地で採れる期間は1か月ほどしかありません。味がのるのは主に9月下旬から10月中旬で、この時期がもっともおいしく食べられます。旬が短いうえ大量に流通する野菜でもないため、スーパーの店頭ではあまり見かけません。産地の直売所や道の駅などで地元産のものが手に入ります。
栄養
マコモダケは、可食部100gあたり19kcalと低エネルギーの野菜です。水分が93.5gで、タケノコと比べると水分が多く、エネルギーは低めです。食物繊維、カリウム、葉酸などを含みます。(日本食品標準成分表2020年版八訂・増補2023年)
食物繊維
マコモダケの食物繊維は、大半が不溶性です。不溶性食物繊維は水に溶けずに水分を含んでふくらみ、便のかさを増やして排便を促すとされています。
カリウム
体内の余分なナトリウムを排出するはたらきがあるミネラルです。水に溶けやすい性質があるため、汁ごと食べる料理や、さっと火を通す調理のほうが失われにくくなります。
葉酸
たんぱく質や細胞をつくるときに働くビタミンB群の一種で、赤血球の形成にも関わります。とくに妊娠初期の女性は多く必要とされます。
マコモダケの下処理方法

皮付きのマコモダケは、外側の緑色の皮(葉)を手ではがします。内側に残る黄緑色の部分は繊維のすじっぽさが残るため、ピーラーで薄くむくといいでしょう。先端と根元の硬い部分は切り落とします。アクがないので、水にさらす必要はありません。
マコモダケの保存方法
マコモダケは乾燥に弱いので、ポリ袋などに入れて冷蔵庫で保存します。皮はつけたまま保存し、使う直前にむくと乾燥を防げます。冷凍する場合は、生のままだと解凍後に食感が損なわれるため、下ゆでしてから凍らせます。使いやすい大きさに切り、固めにゆでたらバットに広げて冷凍し、凍ってから保存袋に移すと、必要な分だけ取り出せます。凍ったまま、炒め物や汁物に使えます。
マコモダケの特徴を生かしたレシピ5選
マコモダケは味も香りも穏やかなので、味つけを選びません。ここでは和風、洋風、エスニックから5品を選びました。持ち味の歯ざわりを生かすには、火を通しすぎないことがポイント。マコモダケの重量は、下処理後の可食部を目安にしています。
マコモダケのきんぴら

マコモダケのシャキシャキとした食感を生かした、手軽な和風の副菜です。ニンジンを合わせて彩りを添え、甘辛い味つけでご飯によく合う一品に仕上げます。
材料(2人分)
- マコモダケ 150g
- ニンジン 40g
- ゴマ油 小さじ2
- 赤唐辛子(輪切り)少々
- しょうゆ 小さじ2
- みりん 小さじ2
- 酒 小さじ1
- 砂糖 小さじ1
作り方
- マコモダケは長さ4~5cmの細切りにする。ニンジンも同じくらいの長さの細切りにする
- フライパンにゴマ油と赤唐辛子を入れて中火で熱し、マコモダケとニンジンを加えて2~3分炒める
- しょうゆ、みりん、酒、砂糖を加え、汁気がほとんどなくなるまで炒め合わせる
- 仕上げに白いりゴマ(分量外)を加えてもよい
マコモダケの丸ごとグリル バルサミコソース

マコモダケは丸ごと焼くと、甘みと香ばしさが際立ちます。定番のしょうゆとかつお節もいいですが、とろりと煮詰めたバルサミコソースを合わせて洋風アレンジ。皮付きの場合は、皮を数枚残して焼くとしっとり仕上がります。
材料(2人分)
- マコモダケ 4本(可食部で約240g)
- オリーブオイル 小さじ2
- 塩 少々
- 粗びき黒こしょう 少々
- バルサミコ酢 大さじ3
- しょうゆ 小さじ1
- はちみつ 小さじ1
- バター 5g
作り方
- マコモダケは根元の硬い部分を切り落とす。皮付きの場合は、外側の皮(葉)を数枚残してはがす
- 全体にオリーブオイルを塗り、塩をふる
- 魚焼きグリルの中火で12~15分、途中で2~3回転がしながら焼く。焼き色がつき、竹串がすっと通ればOK
- 焼いている間にソースを作る。小鍋にバルサミコ酢、しょうゆ、はちみつを入れて中火にかけ、とろみがつく2/3量ほどまで煮詰める。火を止めてバターを加え、余熱で溶かす
- マコモダケを器に盛り、ソースをかけて粗びき黒こしょうをふる
- 仕上げに粉チーズやイタリアンパセリ(分量外)を散らしてもよい
マコモダケとエビのガーリック炒め

シャキシャキしたマコモダケと、プリッとしたエビの食感を楽しめる洋風の主菜です。ニンニクの香りを利かせ、仕上げのしょうゆとレモンで味を引き締めます。
材料(2人分)
- マコモダケ 150g
- むきエビ 150g
- ニンニク 1片
- パセリ 適量
- レモン 1/4個
- オリーブオイル 大さじ1
- 酒 小さじ1
- 片栗粉 小さじ1
- 塩 小さじ1/4程度
- 粗びき黒こしょう 少々
- しょうゆ 小さじ1
作り方
- マコモダケは5mmほどの厚さの斜め切りにする。ニンニクとパセリはみじん切りにする
- エビは背わたがあれば取り除き、水気を拭く。塩少々(分量外)と酒、片栗粉をまぶす
- フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて弱火で熱し、香りが立ったらエビを加え、両面の色が変わったら、いったん取り出す
- 同じフライパンにマコモダケを入れ、中火で2~3分炒める
- エビを戻し入れ、塩、粗びき黒こしょう、しょうゆを加えて炒め合わせる
- 器に盛ってパセリを散らし、くし形に切ったレモンを添える
マコモダケの肉巻き照り焼き

棒状に切ったマコモダケを豚肉で巻き、香ばしく焼いて甘辛いたれを絡めます。豚肉のうま味とマコモダケの歯切れのよさがよく合い、お弁当のおかずにもおすすめです。
材料(2人分)
- マコモダケ 160g
- 豚ロース薄切り肉 8枚(約160g)
- 塩 少々
- こしょう 少々
- 小麦粉 小さじ2
- サラダ油 小さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- 大葉(千切り) 適宜
作り方
- マコモダケは長さを半分に切り、縦に4等分する
- しょうゆ、みりん、酒、砂糖は混ぜ合わせておく
- 豚肉を広げて塩、こしょうを振り、マコモダケを4本ずつのせて巻き、全体に小麦粉を薄くまぶす
- フライパンにサラダ油を中火で熱し、肉の巻き終わりを下にして並べる
- 巻き終わりが焼き固まったら転がしながら全面を焼き、さらにふたをして弱火で2~3分蒸し焼きにする
- 余分な脂をキッチンペーパーで拭き、合わせておいた調味料を加え、中火で転がしながら、照りが出るまで煮絡める
- 食べやすい大きさに切って器に盛り、大葉を散らす
マコモダケと鶏肉のタイ風グリーンカレー

タケノコのような食感を生かし、ココナッツミルクのまろやかなグリーンカレーに合わせます。鶏肉のうま味と赤パプリカの甘みが加わり、彩りも鮮やか。ご飯のほかゆでたそうめんにかけてもOK。グリーンカレーペーストは製品によって辛さが異なるため、味を見ながら調整してください。
材料(2人分)
- マコモダケ 180g(約3本)
- 鶏もも肉 180g
- 赤パプリカ 1/2個
- グリーンカレーペースト 20g
- ココナッツミルク 200ml
- 水 100ml
- ナンプラー 小さじ2
- 砂糖 小さじ1
- サラダ油 小さじ1
- バジル 適量
作り方
- マコモダケは長さ4cm、厚さ5mm程度の短冊切りにする。赤パプリカはヘタと種を取り、縦1cm幅に切る。鶏肉は一口大に切る
- 鍋にサラダ油とグリーンカレーペーストを入れて弱火にかけ、焦がさないように30秒~1分炒めて香りを立たせる
- 鶏肉を加えて表面の色が変わるまで中火で炒める
- ココナッツミルクを少しずつ加えてペーストを溶きのばし、溶けたら残りのココナッツミルクと水を加える
- 煮立ったら弱めの中火にし、鶏肉に火が通るまで5~6分煮て、ナンプラーと砂糖を加える
- マコモダケを加えて3分ほど煮たら、赤パプリカを加えてさらに2分ほど煮る。味を見て、足りなければナンプラーで調える
- グリーンカレーを器に盛り、バジルを飾る
マコモダケの栽培方法

マコモは水底に根を張り、茎や葉を水面から伸ばす水生植物です。家庭でも「バケツ稲」の要領で育てられます。苗は前年の収穫株を株分けしたものか、通販で入手します。日本の水辺に自生するマコモは食用に向かず、栽培されているのは中国などから導入された食用の系統です。苗を買うときに確認しておきましょう。
準備・土づくり
バケツに水を張って育てます。容量10L以上の容器を用意し、水持ちのよい土を8分目ほどまで入れ、元肥に有機肥料を混ぜ込みます。プランターを使う場合は、底の穴をふさいで水がたまるようにしてください。
植え付け
植え付けの適期は4~5月です。バケツ1つに1株を目安に、田植えの要領で植えつけます。根についた土は洗い落とさず、そのまま植えるのがコツです。植えたあとは、土の表面から2~3cm上まで水を張ります。順調に育つと草丈は2m近くになるので、風で倒れにくい置き場所を選んでおくと安心です。
管理・水やり
水を切らさないことが大事です。春から秋の生育期は、根が常に水につかっている状態を保ちます。バケツの水は1~3日に1回入れ替えると、水質の悪化を防げます。置き場所は日当たりのよいところを選びましょう。水温は生育期で15℃以上、株元から新しい茎が増えはじめる頃は、20℃以上あるとよく育ちます。殺菌剤は肥大に欠かせない黒穂菌も死滅させるので、使わないでください。
収穫
9月下旬から11月ごろ、茎の根元がふくらみ、葉の合わせ目がゆるんで白い部分がのぞいてきたら適期です。太ったものから順に手でもぎ取り収穫します。収穫が遅れると中に黒い斑点が出て食味が落ちるため、2~3日おきに株の様子を観察して、収穫どきを見逃さないようにしましょう。
収穫を終えた株は早春までに、新しい芽が1~2本つくように株分けして植え替えます。
短い旬に味わいたい、ちょっと変わった秋野菜

マコモダケは、菌の働きでふくらんだ茎を食べる、ちょっと変わった野菜です。アクがなく下処理も簡単。それでいてタケノコのような歯ごたえが楽しめる野菜です。味が穏やかなぶん味つけを選ばず、和風にも洋風にもエスニックにもなじんで、料理の幅を広げてくれます。まずは炒め物などで手軽に試してみてはいかがでしょう。出回る時期は短いものの、旬には産地の直売所や道の駅などに並びます。栽培に興味があれば、家庭でもバケツひとつで育てられます。春に苗を植えれば、秋には自分で収穫したマコモダケを味わえますよ。

















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