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農業はいのちの原点 自ら農作物を育て本物の食と健康を取り戻す(2/3)

農業はいのちの原点 自ら農作物を育て本物の食と健康を取り戻す

農林水産省では、健康長寿社会の構築に向け医福食農連携プロジェクトを推進しています。医療・福祉の現場では、心身の健康を左右する食の重要性が改めて見直されるなか、熊本県で御幸病院や老健施設などを経営する総合施設「みゆきの里」は「農業生産法人 株式会社みゆきの里健康ファーム」を設立。職員が自ら農業の現場に携わることで、同施設のスローガンにある“コミュニティヘルスの実現”に向けた取り組みをスタートさせています。

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2ヶ所の圃場でハーブと野菜の栽培をスタート

新規事業の担当となった稲田さんは、以前から仕事上でつながりのあった南阿蘇村の「農業生産法人 株式会社南阿蘇農園」の圃場見学に訪れました。南阿蘇農園では、農薬や化学肥料に頼らずに南阿蘇の清らかな水と豊かな土壌の力を借りて、約20種類のハーブを栽培しています。そしてハーブティーの生産販売や卸しも行っています。

見学の際に、南阿蘇農園の宮野敬之(みやのたかゆき)社長から「レモングラスの圃場6反分を、みゆきの里さんで作りませんか」との提案があり、みゆきの里の御幸ファーム2反と南阿蘇村の南阿蘇ファーム6反、2ヶ所の圃場で農業生産法人の活動をスタートさせることになりました。

「うちの富島会長はガーデンセラピー協会のメンバーですし、御幸病院看護部を中心にアロマテラピー活動も盛んです。みゆきの里にとってハーブは切り離すことのできないものですし、大変ありがたいお申し出でした」と稲田さんは語ります。

現在は、南阿蘇ファームでレモングラス栽培や南阿蘇農園の業務受託としてカモミールの収穫支援を行っています。御幸ファームでは専門家のアドバイスを受けながらバジルやエキナセアなど数種類のハーブと、タマネギやジャガイモ、郷土野菜の一文字(※)など比較的育てやすい野菜を栽培しています。

※ 一文字(ひともじ):ワケギに似た小ネギの一種で、熊本県が選定する「くまもとふるさと伝統野菜」、また熊本市が選定する「ひご野菜」の一つ。

食と健康を創造 人を活き活きと変化させる農業を実践

当ファームでは、「農作物の生産販売」「園芸療法を取り入れたリハビリテーション農場の運営」「ハーブなどの農産物の効能研究と開発」を目標に掲げて、実践しています。

医療・福祉との関わりが深いファームリハビリテーション(ファームリハ)活動も盛んに行っています。畑で共同作業を行いながら地域住民と交流することで、会話と運動量が自然と増加し、認知機能の向上が期待されます。

以前、同施設の認知症対策室で行っていたファームリハ活動でも、杖を常用している高齢者が畑に入ったとたんに杖を置いて自力で立ったりしゃがんだりする様子や、普段は口数が少ない方が「子どもの頃はよく畑を手伝っていてね…」と話し出す姿など、職員らが驚くような良い傾向が見られていました。

重篤な認知症や身体機能の低下で農作業ができない方でも、散歩の途中に花や緑に触れることで心の癒しを感じてもらうことが狙いだといいます。

高齢者だけでなく、若い世代の職員たちにも農業を体験してもらおうと、新人研修のプログラムへの組み入れもはじめました。定植や収穫作業など繁忙期の手伝いも定期的に募っています。

南阿蘇の雄大な景色を眺めながら、通常の業務では使わない筋肉を動かす農業体験は、「きついけれど癒された」「とてもリフレッシュできる」と職員に好評です。

みゆきの里が、地域住民向けに開講する健康講座を受講したOBたちのレクリエーションにも利用されるなど、地域の方々の参加も可能です。農業を通じた地域の健康づくりに一役買っています。

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