山梨県の概要
山梨県の主要農産物をみてみると、ブドウ・モモ・スモモの3品目が全国1位のシェア率を誇っています。また全国では、2013年時点で黄桃(おうとう)が2位、スイートコーンが4位と、いずれも高順位です。
さらに、野菜の生産状況をみてみると、伝統・特産野菜は限られた地域で育てられており、生産量が減少傾向にあります。しかし近年は地域やJAが伝統・特産野菜の生産振興や加工品の開発に取り組み、地域活性化にも伝統野菜が活かされています。
富士の国やまなしの逸品農産物認証制度
「富士の国やまなしの逸品農産物認証制度」は、山梨県の高品質な農産物を認証する制度として2012年に設立されました。
2014年6月にはモモやブドウをはじめとした19品目・品種が登録されており、今後も「やまなしブランド」として全国へ向けてアピールしていくといわれています。
ここからは山梨県の代表的な生産物について、紹介します。
クレソン
南都留郡道志村で生産されているクレソン。さわやかな香りとぴりっとした辛さが特徴的な野菜です。水田を利用して栽培されます。
葉型が丸く小さく締まり、節間(※)が詰まって辛みのあるものが良品とされています。クレソンは消化促進や食物繊維の補給に効果的とされているため、肉の付け合わせやサラダ、おひたし、炒め物など、幅広く料理に使用されています。また、クレソンうどんやクレソン煎餅、クレソンアイスといった加工品としても販売されています。
年間通して安定した生産・供給をするための作付けが行われており、生産農家は少ないものの、日本一の産地です。
※節間 節と節との間。葉や枝の出ている箇所を節という。
サクランボ
甲州市・山梨市・南アルプス市・韮崎市などで生産されているおうとう。「高砂」「佐藤錦」が主力品種です。果肉の硬さや酸味は品種ごとに差があり、多くの品種が自家不結実性(※)で、実がなるのが不安定という特徴があります。
成熟期は雨除けハウスで栽培されているケースが多いです。4月上旬から6月下旬にかけて収穫されています。
※自家不結実性 自身の花粉で受粉して実がならないこと
貴陽(きよう)(スモモ)
甲府盆地で生産される貴陽は、スモモのなかでも大きなタイプです。1個あたり200グラムで、なかには300グラムを超える非常に大きなものがあります。高級スモモとして、贈答用としての人気も高いです。糖度は15度と高く、酸味は少ないです。また果汁の多さと食味の良さも特徴的です。
「富士の国やまなしの逸品農産物」認証品目に登録されています。「貴陽」という名前は、育成者の高石鷹雄氏(南アルプス市)によって命名されました。
生産状況を見てみると、従来のスモモにはないサイズと食味の良さが評価され、栽培面積が増加していることがわかります。7月下旬から8月中旬にかけて収穫されます。
モモ
甲府盆地で生産されているモモ。品種が多く、代表的なものとしては「白鳳」「浅間白桃」などがあります。6月中旬から8月下旬にかけて成熟します。
一般的なモモは表面に細かい毛があり、果実は白色ですが、毛のない「ネクタリン」や果肉が黄色の「黄桃」など、様々なタイプが栽培されています。定められた認証基準を満たしたモモは「富士の国やまなしの逸品農産物」の認証品目に登録されています。
近年の栽培面積はほぼ横ばいです。県を代表する夏果実で、また山梨県は日本一の産地でもあることから、今後も維持・発展に注力していく見込みです。
巨峰
甲府盆地で生産される巨峰。黒紫色の果粒は12~15グラムほどで、1房500グラム以上の大きなブドウです。果皮と果肉の分離が良く、食べやすい種なし栽培が主流です。種なし巨峰は「富士の国やまなしの逸品農産物」の認証品目に登録されています。
山梨県のブドウの栽培面積のなかでは最も多い品種で、ハウスでは4月中旬から7月下旬、露地では8月上旬から10月上旬に収穫されます。
甲州牛
県内全域で生産されている甲州牛は、黒毛和種肥育牛のなかでも品質ランク4、5等級に格付けされた黒毛和種です。やわらかい肉質と鮮やかな肉色、風味豊かな舌触りが特徴的で、ステーキやしゃぶしゃぶなどの高級食材として用いられます。
県内には32戸の生産農家があります。優良農家が多く、県内外の販売店から引き合いが強い傾向もあり、順調に生産が続く見込みです。
ニジマス
県内の山間地域および富士北麓地域で獲れるニジマス。高冷地に湧く15度以下の水や、清冽な河川水を用いて飼育されています。締まった身と、くせのない味わいが特徴です。
生産量は全国3位、一定の基準を満たす赤身の1キログラム以上の大型のニジマスは「甲斐サーモン」という名称で販売されています。
塩焼きやムニエル、バター焼き、甘露煮などによる食べ方が人気です。また、大型魚は刺身や燻製、切り身にも利用されています。
山梨県の代表的な生産物について、紹介しました。ブドウやモモだけでなく、野菜や牛肉、魚など、育成に適した自然環境を活かしたさまざまな生産物があることがわかりました。その他の「やまなしブランド」にも注目してみると、意外な名産品に出会えるかもしれません。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
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参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)