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夏場の葉野菜になる!? 茎葉がおいしく食べられるサツマイモ「すいおう」(2/3)

夏場の葉野菜になる!? 茎葉がおいしく食べられるサツマイモ「すいおう」

サツマイモは根を食べる野菜ですが、農研機構九州沖縄農業研究センターが開発した品種「すいおう」は、茎葉をおいしく食べることができるといいます。また、サツマイモの茎葉には栄養がたっぷりあるほか、今後は夏場の葉野菜として活躍する可能性も秘められているそうです。農研機構九州沖縄農業研究センターの広報担当、伊瀬知憲治(いせちけんじ)さんに、話をうかがいました。

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試行錯誤を繰り返して行われた「すいおう」の開発

「すいおう」の開発は1995年にスタート。まずは、優良なサツマイモの系統を選ぶために、国内外の多数の既存品種や、食用・加工用として育成中の系統について、茎葉部の収量性や食味、成分含有量などが調査されました。

次に、大学や野菜・茶業試験場の協力のもと、選び抜いた系統の食味試験を実施。加工適性や機能性、栽培法の研究に関しては、農林水産省のプロジェクトや企業との共同研究「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」等で実施されたといいます。

「開発段階では、サツマイモの茎葉のえぐみや青臭さが不評で、食味試験のパネラーを集めるのが大変だった」。また、開発当初は茎葉利用研究に賛同する研究者が少なく、理解と協力を得るまでに時間がかかったそうです。

その後、試行錯誤を重ねた末、ついに収量性や食味に優れている品種の開発に成功。葉が大きく、濃厚な翠色をしていることから『すいおう(翠王)』と名付けられ、2004年に品種登録されました。

※1反あたりの収穫量になります。

一般的なサツマイモと「すいおう」の違い

べにはるか

「すいおう」の見た目は一般的なサツマイモと異なり、表面が黄色みを帯びた白色で、少しガサガサしています。

葉が大きく茎葉が良く繁茂し、収穫量が多くなりますが、ツルは長く伸びません。「すいおう」のように、茎が少し立ち上がり、あまり地面を這わない特徴を持つ草型(※)は「やや立ち型」と呼ばれ、サツマイモの中ではコンパクトな草型だといわれています。

※草型 茎や枝張りなどの特性による分類。草姿。

「芋の部分は筋が多く甘みも弱いため、そのまま食べると芋の部分は筋が多く甘みが弱いですが、調理素材として使うことは可能です」。焼酎の原料として利用することもできるそうです。

「茎葉の風味は、くせがなく、香りもありません。焼き肉などを巻いて、生のまま食べる方もいますね。葉柄(※)の皮を剥いて調理すれば、様々な料理に使うことができます」。

※葉柄 葉を茎や枝と繋ぐ、葉の細い柄の部分。

また、生の茎葉を炒め物や和えものなどに使えば、葉柄のシャキシャキとした食感が、料理のアクセントになります。そのほか、茎葉を粉末にして、お茶やもち、パン、パスタなどの製品の原料に用いている例もあるそうです。

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