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古来種「鶯宿梅」の梅パワー 徳重紅梅園の自然栽培(2/3)

古来種「鶯宿梅」の梅パワー 徳重紅梅園の自然栽培

温暖な気候に恵まれた宮崎県と鹿児島県にまたがる都城盆地。ここに50年以上、ウメの古来種である「鶯宿梅(おうしゅくばい)」を育てる徳重紅梅園があります。自然の摂理に沿った土作りを行い、農薬・化学肥料を使用せずに堆肥や油粕(菜種・椿)、梅園の刈り取った草を肥料とした日本古来の農業を守っています。農園創業者の徳重文子(とくしげあやこ)さんと、後継者で社長の徳重俊一郎(とくしげしゅんいちろう)さんに話をうかがいました。

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健康に良いとされる、古来種の「鶯宿梅」

鶯宿梅

徳重紅梅園は日本に代々伝わってきた鶯宿梅を栽培し、天日で乾燥させた塩とシソだけで漬けた梅干しの販売も行っています。また、青梅の果汁を土鍋で1週間前後煮詰めた「梅肉エキス」も販売しています。

「栽培している品種は古来種の鶯宿梅が主で、他に花粉樹として玉英などの品種もあります。鶯宿梅の特徴としては、果肉は柔らかくなく、身がしまっていて、ウメの中で健康成分が非常に高いことで知られています。

地元の土地で育て、旬にとれたものを食べることが健康に良いとされる『身土不二(しんどふに)』という考え方があります。鶯宿梅はこの考え方に合致した部分が多く、栄養価も高いことから健康に良い品種の一つだといわれています。

鶯宿梅の収穫量は他の品種に比べて少なく、南高梅の半分以下ですが、ミネラルの含有量が非常に多いのです(※1)」と俊一郎さんは語ります。

鶯宿梅

ウメは昔から家庭の常備薬としても重宝されてきました。

「ウメの果汁を煮詰めた梅肉エキスは、胃腸の調子を整えたり、体に良い働きがあるとされ、昔から健康促進のために民間療法として使われてきました。ウメは日本の食文化に深く関係する食材の一つであり、その加工は古来より伝承されてきた知恵の結晶です」。

梅に長時間熱を加えることで、さらに栄養価が高まる

鶯宿梅

数ある梅肉エキス製品の中でも、徳重紅梅園の梅肉エキスは評判が高く、顧客から、「どうしてこんなに体に良いのですか」と聞かれるそうです。

「それは自然が育てた青梅の果汁だけを土鍋で長時間煮詰める、昔の人の知恵です。ムメフラールはウメが持っている成分ではなく、ウメに長時間熱を加えることにより発生する成分といわれています。さらに私たちの梅肉エキスの成分を分析したところ、クエン酸や鉄分、亜鉛など、ミネラルやビタミンがバランスよく、かつ豊富に含まれていました(※1)」。

梅干しの成分分析では、全国基準値と比較して、鉄は9.9倍、亜鉛は3.2倍、ビタミンA、カロテンは23倍、葉酸は5倍多く含まれていることが明らかになっています。(※1. 2005年9月 財団法人日本食品分析センター調べ)

文子さんは子供の頃は体が弱い時期もありました。ですが、その時に飲んでいたのがこの梅肉エキスだったそうです。

梅肉エキスの滋養の高さはテレビなどのメディアでも取り上げられ、注文も多くなっていきました。

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