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クマ鍋、鹿ロースト、ヒヨドリご飯etc. 猟師が家庭で作る代表的ジビエメシ

連載企画:狩猟入門

クマ鍋、鹿ロースト、ヒヨドリご飯etc. 猟師が家庭で作る代表的ジビエメシ

ハンターは仕留めた獲物をどうやって食べているの? 狩猟をしない人でも興味がありますよね。ここでは狩猟者が家庭で作る代表的なジビエ料理を紹介します。スーパーのお肉ではあまり行わない「臭み抜き」についても説明しますので、ジビエ肉を手に入れた人は試してみてください。

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ジビエ肉の臭み抜き

ジビエメシ

ジビエ肉は野生ならではの風味が魅力ですが、どうしても臭みが気になることもあるでしょう。独特のクセは個体差が大きく、部位によっても違いがあります。海ガモ類や発情期のオスイノシシは特に臭みが強く、食用にするのは難しいと言われています。手間をかけて臭み抜きをすると食べやすくなる場合もあるようです。色々試してみましょう。
 
臭み抜きの方法として以下の3つがあります。

  • 調理前に一晩、塩水・牛乳・酒・ワインといった液に漬ける(マリネする)。臭みが強い場合は液を替えつつ数日間冷蔵庫に置く。
  • 熱湯をさっとかけるか、沸騰したお湯にさっとくぐらせる(湯引き)。
  • 料理の際、そのお肉に合った調味料やスパイスを組み合わせる。

 
臭み抜き以前にも、狩猟で捕ったお肉は保存方法によって大きく味が変わります。お肉をそのままビニール袋などに入れて保存すると、むれて臭くなってしまいます。一般の狩猟者がイノシシやシカを自家消費する場合は、部位に分けたお肉をペットシーツなどの血を吸収できるもので巻き、これを1~2日おきに交換しながら冷蔵庫で保存します。捕れたてのお肉は死後硬直で硬くなっていますが、4~5日経つと軟らかくなります。硬直が取れたら食べやすい大きさに切り分け、ジッパー付き保存袋などで冷凍保存します。

イノシシ・クマ・シカ

ここからは種類別に料理法を紹介します。どれも簡単なレシピばかりですが、これらのお肉をおいしくいただくためには火加減や下ごしらえが大事なポイントになります。

シシ肉の「ぼたん鍋」

シシ肉(イノシシ肉)料理の定番と言えば「ぼたん鍋」。すき焼きを味噌(みそ)仕立てにした鍋料理です。シシ肉は味噌との相性が良いんですよ。

ぼたん鍋

作り方

味噌をメインにした調味料で、シシ肉と好みの野菜などを煮て食べます。お好みで砂糖を入れても、こっくりとした甘めの味付けがシシ肉によく合います。シシ肉はできるだけ薄切りに、煮込み過ぎずさっとつけ煮程度にするのがコツです。

クマ肉の「クマ鍋」

「北海道の猟師さんからクマ肉をもらった」という話を耳にすることがあります。クマ肉は滅多に手に入りませんが、ネット通販で購入することも可能です。クマ料理のなかで最も一般的なのは「クマ鍋」で、マタギのまかない料理としても古くから食べられてきたそうです。

クマ鍋

作り方

「クマ鍋」の作り方は上記で紹介した「ぼたん鍋」と同様です。鍋に入れる前の下ごしらえとして、塩コショウしたクマ肉に、おろしショウガ、ニンニクを合わせてフライパンで軽く炒めると臭みがとれます。

シカ肉の「鹿ロースト」

シカ肉を扱う外食店が増えてきましたね。家庭でも焼き方を工夫すれば、おいしくシカ肉を食べることができますよ! レストランのような炭火焼きは無理でも、フライパンとオーブンで絶品ローストができます。

鹿ロースト

作り方

シカ肉を塩コショウで味付けして1時間ほど寝かせてから、弱火~中火のフライパンで表面に焼き色がつくまで焼きます。さらに150度のオーブンで10~20分程度焼いた後(大きさにあわせて加熱時間を変えてください)、アルミホイルに包んで30分ほど余熱を入れたら出来上がり。シカ肉は高温で焼くと硬くなるため、低温で慎重に火入れするのがポイントです。

カモ・キジ・ヒヨドリ

狩猟できる鳥類は28種ありますが、ハンターによく食べられている人気のトリ肉と言えばカモ、キジ、ヒヨドリではないでしょうか。カモは個体差が大きいのですが、キジ、ヒヨドリのお肉は大変おいしいものです。

カモ肉の「鴨南蛮」

大みそかに食べる年越しそば。ハンターの中には自分で捕ったカモで「鴨南蛮」を作る人もいます。捕ったお肉で年を越すのも狩猟者ならではの楽しみ方です。

鴨南蛮

作り方

適宜に切ったカモ肉を、水、しょうゆ、酒、砂糖などで作ったつゆで煮上げ、ソバや薬味を加えて食べます。

キジ肉の「水炊き」と「焼き鳥」

料亭の高級食材としても知られるキジ肉。野鳥の中でも格別においしいとされています。濃厚な出汁(だし)が絶品で、ガラでスープもとれます。筆者は水炊きにしたりコンロのグリルで焼いたりして食べています。

キジ肉の水炊き

「水炊き」の作り方

鍋に水をたっぷり入れ、適宜に切ったキジ肉と好みの野菜を入れて煮込みます。ポン酢を付けていただきます。

キジ肉の焼き鳥

「焼き鳥」の作り方

塩で味付けしたキジ肉を魚焼きグリルやスチームオーブンなどで焼くだけ。焼き時間は180度で10分ぐらいが目安です(大きさにあわせて加熱時間を変えてください)。非常に弾力の強いお肉ですが、かむほどに味わい深いキジ肉ならではのうまみが楽しめます。レバーや砂肝も串に刺して焼きます。

ヒヨドリ肉の「ヒヨドリご飯」

最後に紹介するのは「ヒヨドリご飯」です。初めて聞くとビックリしますね。

「ヒヨドリご飯」は、毛をむしって内臓を取り出したヒヨドリを湯通しし、丸ごと炊き込みご飯の具として炊飯器に入れて炊き上げる!という実に豪快な料理です。空気銃で鳥撃ちをする人の間でヒヨドリは特に人気があり、「ヒヨドリご飯」の他にも丸焼きなどで食べられています。

ヒヨドリ肉のおいしさの秘密はエサです。ヒヨドリは柑橘類が好物で、よく果樹園のミカンを食い荒らすことで知られます。果物を食べているヒヨドリのお肉は甘みがあり、ミカン畑で捕獲されたものは特別おいしいとか。ということは、都会で「ヒーヨ!ヒーヨ!」と鳴いているヒヨドリはまずいのでしょうか……!? 一風変わった野鳥料理を研究するのも、ハンターたちの楽しみのひとつです。

キジ肉の焼き鳥
 
参考文献:
「ジビエハンターガイドブック シカ編」(応用芸術研究所発行)
「狩猟読本」(大日本猟友会発行)
 
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