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子どものアイデアメニューも!? 日野市の学校給食をレポート

子どものアイデアメニューも!? 日野市の学校給食をレポート

地産地消を先駆けて取り入れ、独自の学校給食で注目されている東京・日野市。小学生を対象にレシピを応募し、子どもが調理を実践する「ひのっ子シェフコンテスト」を開催したり、全国学校給食甲子園の決勝大会に東京で唯一、日野第一小学校が出場を果たすなど、食育に力を注いでいます。日野方式とも呼ばれる日野市独自の給食をレポートしてきました。

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日野市の給食、ここがすごい!

日野市が独自ですすめている学校給食は、食育にいいことがたくさんあります。今回は、日野市教育委員会学校課の山口敦子(やまぐち・あつこ)さん、日野市立三沢中学校学校栄養職員の吉田由身香(よしだ・ゆみか)さんにお話を伺いました。
「日野市は各学校に栄養士がいて、学校ごとに献立を考える“自校式”を取り入れています。また、30年前から地産地消の取り組みを独自のスタイルで取り入れています。そのため、それぞれの学校の近隣農家から届く野菜を使ったメニューを作ることが実現。献立は各学校にお任せとはいえ、日野市の学校給食全体で献立作成や食材選定の厳しいルールがあります。できる限り市販の調理加工品は使用せず、素材をしっかり確認して一から手作りをしています。ダシも鰹節や昆布、豚骨など自然のものから取っているんですよ。だから日野市の給食は、本当においしいんです」(吉田さん)

それでは、実際に小学校・中学校でどんな給食を提供しているのか見ていきましょう。

日野市立三沢中学校の3年生。全クラスが揃って食堂で給食をいただきます

農家の新鮮なとれたて野菜を給食に

日野市では、学校の栄養士が地元農家が作る野菜を地元農業者団体を通して注文できるというシステムがあります。必要な野菜の注文書を出すと、それを農業者団体が担当を割り振って、使用する日の朝に配達してくれるため、朝とれたての新鮮な野菜を使えます。
農家さんが直接届けてくれる際に「変わった形の野菜がとれたよ」と見せてくれたり、子どもたちが畑に行く授業があったりと、交流が生まれるきっかけに。学校では、「いただきます」の前に、今日の日野産農産物を紹介する習慣があるため、子どもたちが自然に地元の野菜に親しみを感じることにつながっています。
野菜以外の、果物、卵、米、黒米も地場産。足りない食材は、八百屋や業者に注文するという流れです。

ふだん給食の野菜を届けてくれる農家で収穫体験の授業も

和洋食のテーブルマナーも学べる

どの中学校にも、食堂を設けているのも日野市のスタイル。小学校には1クラスの児童が入れるランチルームがあります。全校生徒が入れない学校は、1学年ごとになりますが、食堂で給食をいただくという試みをしています。テーブルクロスを敷き食事をすることで、気分も一新。場所を変えることで、授業の延長ではなく、“食事をとる”という認識が生まれます。
中学生になると、マナー給食があり、和食と洋食のテーブルマナーを学べます。お箸の持ち方、フォークやナイフの使い方、魚の食べ方などを教えてもらえます。

洋食のマナーの授業では、一人ずつにフォークとナイフが用意されます

自然のダシの味を感じられるから美味しい

給食で、添加物を一切使わないことは、自然のうまみを感じる舌を育てることにつながります。実際「日野市の給食の味に慣れると、市販のレトルト食品の味が濃く感じる」という声も。大きな釜でじっくりと豚骨や昆布などのだしをとるのは、時間はかかりますが、やっぱり自然のだしは味に深みが出ておいしい。カレーも市販のルーは使わず、カレー粉を使って作るため、学校によってカレーの味が全然違うのも日野市の特色です。トマトピューレも、不揃いのトマトを使った手作りなのだとか。

八宝麺に使われる魚介類も冷凍食品は使いません。麺にかかった餡に豚骨だしが効いています

自分のメニューが給食に!? 小学生対象のシェフコンテスト

日野市中央公民館では、2007年から日野市の小学校4~6年生を対象に給食のアイデアを募る「ひのっ子シェフコンテスト」を毎年実施しています。コンテストに出す子どもたちは、学校の栄養士の先生方に使う食材や作り方などを相談し、イラスト入りで応募。なかでも、栄養士・調理員で選んだ特別賞は、日野市の小中学校全校で実際の給食で出されます。
「審査基準は、日野産の食材を使ったり調理のアイデアや工夫、給食にふさわしいか、味、見た目、手際の良さなど。2次選考では実際に子どもたちが自分の考えたメニューを調理室で作るので、調理や盛り付けなどもがんばっています。このコンテストをきっかけに、食の栄養、調理、レシピのアイデアなど、多方面で食に関心を持つ心が育ちます」(吉田さん)

日野市の全小中学校で実際に給食で出された特別賞

日野市の小学校が全国学校給食甲子園に出場

昨年度の「全国学校給食甲子園」の決勝大会に、東京で唯一日野市の日野第一小学校が出場を果たしました。この大会は、“地場産物を活かした我が校の自慢の料理”をテーマに、学校給食の日本一を競うもの。競う献立は、給食として実際に過去に出されてメニューに限られています。
日野第一小学校では、日野産の黒米、トマト、大豆、卵などを使った献立で大会にのぞみました。

・黒米ごはん、
・牛乳
・なんちゃってロールキャベツ
・ごまあえ
・かきたま汁

ひのっこシェフコンテストや全国学校給食甲子園に参加したというニュースが飛び交うだけで、日野市の給食や地元産の食材に市民たちが目を向けるきっかけにもなりそうですね。「小中学校の9年間の給食で何を食べてきたか、ということは、今後の味覚や食に対する考え方にも大きく影響するに違いありません。食育は家庭だけに任せるのではなく、学校や地域が一体となって取り組んでいけたらいいと考えています。実際に、日野市では食育に力を注いでから、給食の食べ残りがグンと減りました。今後も子どもたちにとっていろいろな学びのある給食を提供し続けたいと思っています」(山口さん)

日野市
 

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